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更新日:令和4(2022)年6月2日

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銚子特別支援学校の食育 ~校内での連携を活かした取組~

 千葉県立銚子特別支援学校がある銚子市は、千葉県の北東部に位置し、漁業や農業が盛んな市です。学校の周りにはキャベツ畑が広がり、太平洋を望むことができる自然豊かな場所です。
 本校は、「心豊かにたくましく」を学校教育目標に掲げ、一人一人のよりよい社会参加、自立を目指し、幼稚部から高等部までの幼児児童生徒が学ぶ、知肢併置の特別支援学校です。また、寄宿舎が併設されており、舎生は自立に向けた基本的生活習慣の確立等を目指し、日々学んでいます。

1 全校での取組

リクエスト献立

 本校では、今年度も児童生徒からのリクエスト献立を給食に取り入れています。小学部、中学部、高等部の順で、1か月毎に各学部からリクエストが出てきます。
 以前は、各クラスからそれぞれ出されたいくつものリクエストから、栄養教諭が組み合わせを考えて1食の給食として提供していました。昨年度からは、食育の意味合いを深めるため、各クラスで1食分の組み合わせを考えてもらうようにしました。
 あるクラスでは、まず一人一人が1食分の献立を考え、それらを再度全員で見比べて、その中で1番良い献立を決め「クラス代表献立」として提出したり、また別のクラスでは、主食・主菜・副菜・デザートと1品ずつを全員で話し合いながら最終的に1食分を決めて提出したりするなど、取り組み方は様々です。学年や、学部が上がるほど、栄養面・季節・値段・地産地消など、様々な視点から献立を考え、リクエストするようになりました。クラスでの取り組みに応えるため、できるだけリクエストどおりの献立を提供するようにしています。
 自分たちで考えた献立が給食として提供されることを、子供たちはとても楽しみにしています。

【各学部で掲示方法の工夫もしています】

 

 

 文字を読むことが苦手な子供もいるため、文字だけでなく料理の写真や、リクエストしたクラスの子供たちの顔写真を掲示しています。また、栄養教諭からのコメントも楽しみにしてくれているようで、それを参考にして次回のリクエスト献立を考えてくれます。

【栄養士からのコメント例】

  • 赤、黄、緑の食べ物がそろっていて良い献立ですね!
  • サラダなどの野菜を使ったメニューが入ると栄養バランスがもっとよくなりますよ。(幼・小学部)
  • 食べ物カードで選んでくれた献立です。メロンは季節的に出せなかったのでゼリーに変えてあります。みそ汁も良いですが、主食がパンのときはスープの方が合うかもしれませんね。(幼・小学部)
  • 1食分のバランスを考えて献立を立ててくれました。野菜やきのこを使った料理で食物繊維がたくさんとれる良い献立です。リクエスト通り採用です。(中学部)
  • テーマを決めて献立を考えてくれました。テーマが「お昼に食べたい給食」ということでパンの献立を考えてくれました。少しカロリーが高めですが、野菜と果物がたくさんとれる良い献立です。(高等部)

地産地消の推進

 給食では、千葉県産の食材を多く使用するよう心がけています。食堂の入り口に、毎日その日に使用される千葉県産の食材を掲示しています。また、千葉県で多く生産されている野菜を取り上げた食育ニュースを各学部に配付し、廊下や教室にも掲示しています。そして、実際に野菜等に触れる体験など、視覚だけでなく触覚、嗅覚などの五感に働きかける取組も行っています。掲示物は、車いすの子供たちの目線の高さに合わせ、少し低めの位置に掲示しています。

2 グループ単位・個別での取組

肥満に対する個別的な相談指導

 肥満傾向にある児童生徒を対象に、個別的な相談指導を実施しています。養護教諭から保護者へ、休日を含む3日間の食事調査を依頼し、栄養教諭が栄養価等を計算します。保護者、担任、養護教諭、栄養教諭で実施可能な対策を検討し、学校と家庭とで協力して取り組んでいます。

【実施している対策の例】

  • 定期的に保健室で体重の測定と記録をし、意識付けをする。
  • 早食いを予防するため、給食の量を少量ずつに分け、時間をかけてゆっくり噛んで食べる習慣を身に付ける。
  • おやつの量について、保護者へ写真付きの資料を配付する。

食育授業

 高等部の生徒には、卒業後の自立した生活を考え、自身の健康を守るために必要な食品を選択する力を養ってもらいたいと考えています。食育授業の内容では、主に五大栄養素や、料理の組み合わせについて取り上げています。
 コロナ禍以前は、生徒の苦手なトマトを使ったピザを作るなど、調理実習を取り入れながら偏食指導を行いました。
 昨年度は感染症対策を取りながら、「バランスの良い食事(五大栄養素)」「身体活動レベルに合わせた食事」「がん教育」等の授業を担任が行い、その内容を受け、担任と栄養教諭とが協力して授業を行いました。
 脂質についての授業では、働きや必要量について学んだ後、生徒が普段よく食べるお菓子に含まれる脂質の量を知り、その量に驚いている様子がみられました。

【脂質についての授業】

 

 

 

【授業後の生徒の感想1】

【授業後の生徒の感想2】

3 寄宿舎での取組

 寄宿舎生は給食のほかに、朝食と夕食も学校で食べます。寄宿舎食は、給食に準じた内容で、栄養教諭が主食、主菜、副菜のバランスを考えた献立を提供しています。
 寄宿舎生を対象にした食育では、学校の授業や普段の給食、寄宿舎食で学んだことを活かし、バランスのとれた食事を絵カードから選ぶ学習をしました。

 コロナ禍になり、以前のように食堂に全校が集まって食事をすることが難しく、また学部間の交流も少なくなりましたが、それぞれの学部・学級で給食時間を楽しい時間にできるよう工夫しています。
 食育の取組を通して、児童生徒が自分の考えを相手に伝える力の育成や自身の健康に関心をもてるよう、これからも教職員・家庭と協力し、児童生徒のよりよい社会参加・自立を目指した指導を工夫していきたいと考えています。 

 

 文責:千葉県立銚子特別支援学校 栄養教諭 三浦 智子

 

お問い合わせ

所属課室:教育振興部保健体育課給食班

電話番号:043-223-4095

ファックス番号:043-225-8419

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