移住支援者 永森昌志さん
新宿では「HAPON新宿」、南房総では「ヤマナハウス」を運営しながら南房総の地域活性に取り組む永森昌志さんに、都心に暮らす人にとっての2拠点生活や里山暮らしの価値についてお聞きしました。
都内ではHAPON新宿というワーキングスペース兼シェアオフィスで、2018年から「南房総2拠点サロン」という南房総に関わりたい人や関わっている人が集うコミュニティイベントを毎月開催しています。毎回、異なるテーマで「南房総エリアを立体的に浮かび上がらせる」を目的としたコミュニティイベントを行っています。もう一つ南房総では、古民家、畑、裏山を楽しむシェア里山として「ヤマナハウス」を南房総市三芳地区で運営しています。これは都心から月に1回程度で来る人、移住者、地元の人が集うコミュニティスペースで、そこでDIYをしたり、マインドフルネス講座やヨガ講座、林業講座、狩猟講座など里山をフィールドとした色々な講座を開催しています。
僕が地方に興味を持って移住して、南房総にフォーカスして都心と太いパイプでつなげられないかなと思って開催したのが「南房総2拠点サロン」です。また、僕が2拠点生活をしていく中で、いろんなことをシェアした方が経済的にも良く、心理的にも楽しいと感じていて、シェアって本当に良い仕組みだなと思って始めたのがシェア里山「ヤマナハウス」です。暮らしていく中で古民家や里山、アウトドアやネイチャーには拡張性があるって気づきました。例えば家だったらDIYしやすいし、土地だったら畑にしても、色々自由度が大きくなっていきます。
新宿と南房総、2つのコミュニティで暮らしていると、他のコミュニティもあると思えるので1つのコミュニティにとらわれなくて済むし、今いるコミュニティも大事にできる。つまり、優しくなれると感じます。 みんなも、やっぱり息苦しさがなくなることを求めてヤマナハウスへ来られているみたいです。 都市的なものが好きな人でも田舎を必要としていると思います。 田舎暮らしって、例えばDIY、原始的な生活、オーガニックが好きな人たちだけのものだと思っている人が多く、そこで線を引いてしまうけれども、都会の人でも「田舎にいくと気持ちよくてリラックスする」と、ヤマナハウスに来られる人たちは言っています。だから、そういう人たちこそ1回来てみるといいと思っています。
田舎な南房総エリアと都心の距離感は、やっぱりユニークです。 南房総に移住した人と都心の人が相互に行き来する社会になれば面白いし、新しいものが生まれるんじゃないかなと思っています。例えば、ヤマナハウスの裏山の木を切って広場を作って、プロジェクターで映画を観られるようにして、裏山焚き火シアターを作ってみたり、洞穴があるので、そこを閉じて洞穴サウナを作ってみたり、古民家の裏でサウナに入ったり。自然や田舎が元にあって、そこに現代的なものを融合していく、そういうどうなるかわからないものはワクワクしますよね。このワクワクにはすごくクリエイティブを感じます。そういうものをコミュニティの関わりの中で作り出していけたらと思っています。
都心の人も参加するし、2拠点の人も参加する。「南房総2拠点サロン」をやって気付いたのは、3分の1ぐらいの人は房総半島や南房総に興味ある人たちです。講座に来られる方の年齢層は20代から50代ぐらいまで、男女比は男性がちょっと多いぐらいです。ヤマナハウスにいらした方の中に、仕事が忙しい20歳代のSEの女性がいて、彼女は数か月に1回しか来れないんですが、来ると「すごくリフレッシュする」と言ってくださいます。SNSではないコミュニティに自分が属しているっていう感覚は、息苦しさも無くなると感じられるそうです。あとは、リモートワークしている人もいますね。土日と月曜日は南房総で仕事して、都心に帰るという形です。 東京出身だから感じるところですが、地方のコミュニティは普段都心では会えない人にも会える、年齢の幅も仕事の幅も広がるという声はよく耳にします。都心にいれば、キャリアアップはしやすいと思います。ただ、それ以外にも、みんな自分の実現したいことはあると思っていて、それを試すのは田舎の方がやりやすいです。
移住支援者
永森昌志さん