第1部Ⅱ-2.インタビューウルフアロン選手［柔道］失敗の中に成功のかけらを見つけて

柔道男子100kg級での金メダル、混合団体での銀メダル獲得、おめでとうございます。

　ありがとうございます。高校の3年間は千葉県で柔道に打ち込みましたので、僕にとって千葉県は柔道の故郷です。千葉県からは毎年さまざまな支援をいただき、それを力に変えることができました。次の世界選手権、オリンピックに向けて頑張っていきます。

東京2020大会が1年延期になった後、どのようにモチベーションを維持されましたか。

　2019年の年末に右膝の半月板を損傷してしまいました。次の年がオリンピックだったので少し焦りもあったのですが、1年延期になったことでパフォーマンスを上げるための期間が増えたとプラスに考えるようにしました。その結果、1年間しっかりと準備をすることができたので、僕にとってこの延期はマイナスではなかったと思っています。

これまで何度もけがをされた経験があると思いますが、挫けそうになったとき、どのように自分を奮い立たせて成果にたどり着いてこられましたか。

　けがとの向き合い方というのはすごく大事で、けがをすると気持ちが沈んでしまう選手も多いと思うのですが、けがをしたときにしかできないことが必ずあります。

　膝をけがしたのであれば上半身の強化。またそのリハビリの部分でも、快復して試合に復帰したとき、けがをしたときよりも強くなった自分で戻って来られるように。そういうことを考えながら日々リハビリやトレーニングをするようにしていました。

ウルフ選手にとって、柔道の魅力はどのようなところにありますか。

　みんなもちろん努力しているのですが、天性の才能というように、もともと持っているものありきの競技もある中で、柔道は、本当に考えれば考えるほど奥が深く、どんな選手でも、またセンスがなくても勝てる競技です。僕自身はそこが柔道の魅力だと思っています。僕よりも技が切れる選手はたくさんいますが、どうしたら勝てるかをすごく考えます。そういう選手に勝ったときにより達成感を感じます。

東京2020大会で初めて団体が種目に入りました。出場されてみていかがでしたか。

　団体戦で対戦した選手は100kg超級の選手でしたので、100kg級よりもひと回りもふた回りも大きく、力強いと感じました。一方、動きが遅いところもあったので、そこが隙だと思いました。

団体での銀メダルというのは、皆さんで勝ち取った一つの成果ですね。

　そうですね。優勝に越したことはなかったということにはなりますけど、日本選手全員で勝ち取った銀メダルなので、そこには大きな意味があると思います。やはりみな悔しい思いをしましたので、次のパリのオリンピックでは優勝できるように、これからの3年間、しっかりと準備をしていきたいと思います。

けがをしたり、何かにつまずいたりしたとき、挫けない強い心を持つにはどうすればよいか、改めて子どもたちにメッセージをお願いします。

　子どもたちには本当にさまざまなことにチャレンジしてほしいと思います。その人に合うもの、合わないものというのは人それぞれたくさんあると思いますし、それを見つけるためにも、まずはさまざまなことにチャレンジしてほしいです。そうすると、やれることの幅も広がりますし、また自分に合ったものが見つかると思います。
　また、挫折したり、けがをしたり、失敗したりすることはたくさんあると思いますし、僕自身もありました。失敗から目をそらさずに、その失敗から見つけられるもの、その失敗の中に成功のかけらが必ず何かあると思うので、それを見つけて、自分自身の目標に向かって頑張ってもらいたいなと思います。

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