発刊に寄せて（公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長）

　東京2020大会は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、史上初めて開催が延期され、また世界中の人々の暮らしが大きく変化した1年を経て開催された、過去に類を見ない特別な大会となりました。

　多くの困難と厳しい状況の中、ほとんどの会場で無観客での開催となりましたが、これまでの大会と変わらないアスリートの躍動によって、競技をご覧になった全ての方に感動や希望が届けられたと思います。

　特に千葉県においては多くの大会競技が開催されました。釣ヶ崎海岸サーフィンビーチではオリンピック史上初の競技となるサーフィン競技が実施されました。幕張メッセでは1つの施設としては最多となるオリンピック・パラリンピック合わせて7競技が実施され、そのうちパラリンピック4競技は、開催都市に次いで多い競技数となりました。また、会場周辺や沿道を地域の子どもたちの育てたひまわりで彩る活動や、海岸周辺の継続的な清掃活動、またシティキャストによる空港でのオンラインによるお見送りなど、各国選手や大会関係者を「おもてなし」の気持ちで迎える取組も行っていただきました。

　そして、東京2020大会をコロナ禍の下での最初の世界的なイベントとして、安全・安心の下開催するために、千葉県の関係者の皆様には、県内自治体・保健所・医療機関等との連携などコロナ対策に特にご配慮いただきました。その成果として、大会を成功に導くことができ、コロナと闘いつつ、社会の営みを継続するための1つのモデルを示すことができたと考えます。

　千葉県では、大会の開催決定を契機として、パラスポーツの普及や障害への理解促進等にも積極的に取り組んでおり、大会後もこうした取組を継続して、共生社会の実現を進めていくと聞いております。組織委員会としても、東京大会のレガシーをしっかりと構築し、より良い社会への変革へとつなげていけるように、最後まで取り組んでまいります。

　関係者の皆様のスポーツ界への引き続きのご支援をお願いいたしますとともに、東京大会に携わった全ての方々に、改めて感謝申し上げます。

公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
会長　橋本聖子（はしもと せいこ）

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