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更新日:平成30(2018)年12月10日

ページ番号:2632

伝えたい(平成27年度心の輪を広げる体験作文入賞作品)

伝えたい

中学生部門

千葉県知事優秀賞

筑波大学附属聴覚特別支援学校中学部3年
水江 光希(みずえ みつき)

私は心の影で焦っている。私は誤解されている。聴覚障害者について誤解されている。これは、最近思ったことだ。

実は、私の障害について知っている友達が速い口調でしゃべってくる。私はなんとか読み取ることができるけれど、親近感がわかないときがある。その友達は、私と同じ聴覚障害者の友達がいるそうだ。その子は、私と違って聴力が良いみたいで、健聴者の口調に慣れているようだ。友達はその子と私が同じだと思って、速い口調でしゃべる。

「私はその子と少し違うんだ。聴力のレベルが違うんだ。聴覚障害者と言っても、ひとりひとり違うんだ。」

と説明しようかと思った。何度も思った。しかし、分かってもらえるだろうか。友達はよく笑う、明るくて優しい子だ。私の話を聞いてくれる。私が「なんて言っているのか分からない、もう一度話して。」と言ったら、友達はどう思うだろうか。前みたいにいろいろな話をしてくれなくなるだろうか。この誤解をどうしようかと悩んでいた。

そして、あることを思い出した。小学生のとき、私はスイミングに通っていて、Mちゃんという友達がいた。Mちゃんの口調は分かりやすく、補聴器をつけていなくても話ができた。補聴器をつけていなかったからMちゃんは私の障害を知らなかったし、私が普通に話すから何も気付かなかったと思う。しかし、どうしてもMちゃんの話が分からないことがあった。そういうときは「うん」と言って会話を終わらせていた。話したくないからではないのに、そんなことをするのが辛かった。スイミングで一人だけの友達であるMちゃんに嘘をついているようで、私はどんどん辛くなった。嘘はつきたくない。でも嫌われたくない。どうしようか悩んだ挙句、私は打ち明けることを決心した。手に汗を握りながら、声をかけて耳が聴こえないことを話した。怖かった。Mちゃんがどんな反応をするのか。どんな顔をするのか。次の日からは、他の友達のところへ行っちゃうのかな。

私の予想は外れた。Mちゃんは「そうなんだ。」と言って、いつも通りに接してくれた。分かりやすい口調で話してくれた。他の人が話すときは、「分かる?」と声をかけてくれた。少し距離を感じていた他の子どもたちのところにも、私を連れて行ってくれて、さりげなく助けてくれた。私は笑顔でありがとうと返事した。分からなくなっても、手に文を書いて工夫してくれる。私はもう辛くなかった。毎週のスイミングがとても楽しかった。Mちゃんのおかげで、いろんな不安が吹きとんだようだった。私はなんて優しい友達に会えたのだろう。それだけでも私は幸せだ。

今はスイミングをやめて、Mちゃんとはそれっきりになってしまったけれど、あのとき、私は自分の聴こえについて説明して良かった。なぜなら、Mちゃんと本当の友達になれたから。

ちゃんと自分から言葉にして、自分のことを分かってもらうことが大切だと思う。聴覚障害者は皆同じと思っている友達にもちゃんと伝えたい。そして、本当の意味で分かりあえる友達をたくさん作っていきたいと思う。

私には夢がある。聴覚障害だけでなく、障害についてたくさん学んで、全国の人に伝えること。手話が世界共通であると思っている人が多いと聞いて、本当のことを伝えたいと思ったことがきっかけだった。でも今は、障害のある人とない人の架け橋になりたい。もし、私のように悩んでいる人がいたら「大丈夫だよ」と背中を押してあげたい。障害について、たくさんの人に知ってもらえるように、伝える勇気を持って生きていきたい。そして、お互いに分かりあえる社会をつくっていきたいと思う。

お問い合わせ

所属課室:健康福祉部障害者福祉推進課共生社会推進室

電話番号:043-223-2338

ファックス番号:043-221-3977

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