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更新日:令和3(2021)年11月2日

ページ番号:23671

答申第154号

答申第154号

平成28年2月3日

千葉県病院局長矢島鉄也様

千葉県個人情報保護審議会

会長土屋俊

 

異議申立てに対する決定について(答申)

平成25年7月4日付け○○第○○号による下記の諮問について、別添のとおり答申します。

平成25年6月10日付けで異議申立人から提起された、平成25年6月3日付け○○第○○号で行った自己情報部分開示決定に係る異議申立てに対する決定について


諮問第138号

答申第154号

1.審議会の結論2.異議申立ての経緯3.異議申立人の主張要旨4.実施機関の説明要旨5.審議会の判断6.審議会の処理経過

 1.審議会の結論

千葉県病院局長(以下「実施機関」という。)が平成25年6月3日付け○○第○○号で行った自己情報部分開示決定(以下「本件決定」という。)について、千葉県個人情報保護審議会(以下「審議会」という。)は、次のとおり判断する。

実施機関が本件決定において不開示とした情報は、全て開示すべきである。

 2.異議申立ての経緯

(1)異議申立人は、平成25年5月20日付けで、実施機関に対し、千葉県個人情報保護条例(平成5年千葉県条例第1号。以下「条例」という。)第16条第1項の規定により、「平成△年△月△日開催特定県立病院医療情報システム管理委員会議事録」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

(2)本件請求に対し実施機関は、対象文書を平成△年△月△日開催の千葉県特定県立病院医療情報システム管理委員会(以下「本件委員会」という。)の議事録(以下「本件文書」という。)と特定した上で本件決定を行った。

これに対し異議申立人は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により、実施機関に対し、平成25年6月10日付けで本件異議申立てを行った。

(3)本件異議申立てを受けて、実施機関は、条例第46条第1項の規定により、平成25年7月4日付け○○第○○号で審議会に諮問した。

 3.異議申立人の主張要旨

(1)異議申立ての趣旨

「本件決定を取り消す。」との決定を求める。

(2)異議申立ての理由

ア異議申立書

(ア)条例における不開示理由に該当しない。

(イ)「保有していない。」は、規定により虚偽である。

(ウ)処分(不利益)は重大であり、率直な意思表示は尊重されるべきであるが「透明性」及び「公平性」、「公正性」が最も重要であり、求められる。

(エ)求める情報(録音テープ起こし書面)に関する回答が、全くない。

イ異議申立理由書3

平成25年6月18日付けで異議申立人が実施機関に対し任意に提出した「異議申立理由書3」において、概ね次のとおり主張している。

(ア)まず、次の主張をする。

そもそも、異議申立人に対する「平成○年○月○日付警告書」の不当性もしくは違法性を明らかにする「医療情報システム委員会議事録」を「隠ぺい」しようとする意思が明らかな「非開示決定処分」である。

そして、「非開示決定処分」は、条例第21条第3項によれば、「実施機関は、開示請求に係る個人情報の全部又は一部を開示しないときは、その理由を前各項に規定する書面に記載しなければならない。」と記載されており、最高裁判例に鑑みて、「具体的な処分事由の明示」の要件を満たさない本件決定は、取り消されるべきである(警視庁情報非開示決定処分取り消し請求事件、最判H4.12.10)。

(イ)そして、予備的に次の主張を追加する。
a委員会の出席者等に関する情報

(a)条例第17条第5号に該当しない。

「県の機関の内部における審議等に関連して作成された情報であって、開示することにより、率直な意見交換や意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるため」は、虚偽である。

「県の機関の内部における審議等に関連して作成された情報である。」は真実である。しかし、「委員会の出席者等に関する情報を開示する」ことにより、「『率直な意見交換』や『意思決定の中立性』が不当に損なわれるおそれがあるため」は、虚偽である。

そもそも、特定県立病院(以下「特定病院」という。)の医療安全管理委員会(以下「委員会」という。)のメンバーは公開されている。委員会のメンバーのうち誰が出席したか、欠席したかの事実を「開示する、開示しない」にかかわらず、「率直な意見交換」や「意思決定の中立性」は不当に損なわれたであろう。むしろ、現実は、「開示しないこと」により、審議過程は外部の批判にさらされる心配がない。そこで、特定病院○○○○院長(以下「院長」という。)は、委員会を恣意的に操り、審議する前から決定していた院長の結論を、「『率直な意見交換』や『意思決定の中立性』は組織批判そして組織秩序違反行為につながる行為である」と恫喝し、「率直な意見交換」や「意思決定の中立性」を損ない、そのうえで、委員会の結論として承認させた。したがって、「『開示する』ことにより、『率直な意見交換』や『意思決定の中立性』が正当に保全される。」のである。

公開されても、何ら恥じるところがないよう審議すべきであった。

(b)条例第17条第6号ハに該当しない。

「評価等に関する情報であって、開示することにより、当該事務及び将来の同種の事務の目的が達成できなくなり、事務の公正又は円滑な執行に支障を及ぼすおそれがあるため」は、意味不明である。

「評価等に関する情報である。」は、真実である。しかし、「当該事務の目的」は、院長の、異議申立人のいわゆる「冤罪」をでっち上げることにより、「偽りの正当性」を付与することである。そのような「当該事務の目的」及び「将来の同種の事務の目的」は社会的通念上正義を欠いており、達成されるべきではない。当該事務は公正性がなく、不正で不当であり、そのような当該事務が「円滑」に執行されるようなことがあってはならない。そもそも、委員会のメンバーは公表されている。そして、審議内容は被処分者に開示されても何ら恥じるところがないよう審議されているはずである。

b本件委員会の審議内容に関する情報

(a)条例第17条第5号に該当しない。

「県の機関の内部における審議等に関連して作成された情報であって、開示することにより、率直な意見交換や意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるため」は虚偽である。

「県の機関の内部における審議等に関連して作成された情報である。」は真実である。しかし、「開示する」ことにより、「『率直な意見交換』や『意思決定の中立性』が不当に損なわれるおそれがあるため」は虚偽である。それどころか、現実は「開示しない」ことにより、「率直な意見交換」や「意思決定の中立性」が不当に損なわれた。現実は、「開示しないこと」により、審議過程は外部の批判にさらされる心配がない。そこで、院長は、委員会を恣意的に操り、審議する前から決定していた院長の結論を、「『率直な意見交換』や『意思決定の中立性』は組織批判そして組織秩序違反行為につながる行為である」と恫喝し、「率直な意見交換」や「意思決定の中立性」を損ない、そのうえで、委員会の結論として承認させた。したがって、「『開示する』ことにより、『率直な意見交換』や『意思決定の中立性』が正当に保全される」のである。

公開されても何ら恥じるところがないよう審議すべきであった。

(b)条例第17条第6号ハに該当しない。

「評価等に関する情報であって、開示することにより、当該事務及び将来の同種の事務の目的が達成できなくなり、事務の公正又は円滑な執行に支障を及ぼすおそれがあるため」は意味不明である。

「評価等に関する情報である。」は真実である。しかし、「当該事務の目的」は、院長の、異議申立人のいわゆる「冤罪」をでっち上げることにより、「偽りの正当性」を付与することである。そのような「当該事務の目的」及び「将来の同種の事務の目的」は、社会的通念上正義を欠いており、達成されるべきではない。当該事務は公正性がなく、不正で不当であり、そのような当該事務が「円滑」に執行されるようなことがあってはならない。そもそも、委員会のメンバーは公表されている。そして、審議内容は被処分者に開示されても何ら恥じるところがないよう審議されているはずである。

(c)条例第17条第6号ホに該当しない。

「人事管理に関する情報であって、開示することにより、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるため」は意味不明である。

「人事管理に関する情報である。」は真実である。しかし、開示しないために、院長の不当でかつ悪意を持って実施された人事管理に対して、「『率直な意見交換』や『意思決定の中立性』は組織批判そして組織秩序違反行為につながる行為である」と恫喝し封殺した。「被処分者に開示する」ことにより、はじめて院長の恣意性を減殺し、何ら恥じるところがないよう審議すべきとの認識が、院長以外のメンバーに生まれ、公正かつ円滑な人事が期待・確保できるのである。

ウ意見書

実施機関の理由説明書(下記4)を受けて、異議申立人が審議会に対し、平成26年1月24日付けで提出した意見書において、概ね次のとおり主張している。

(ア)「本件文書について」(下記4(2))
a「患者の診療記録の取り扱い」について

「患者の診療記録の取り扱い」の検討・評価の名のもとに行われた「個人情報保護法違反」及び「条例違反」の不法行為が、その実態である。しかも、「刑法第134条違反」に該当する可能性がある。

b本件文書の内容について

千葉県病院局の主張とはかけ離れ、異議申立人を「法令違反」が無いにもかかわらず、「法令違反」と断定して、冤罪に陥れ、不当に弾劾するための道具として、院長に悪用された。

(イ)「部分開示の理由について」(下記4(3))
a本件委員会の出席者等に関する情報

(a)条例第17条第5号

「当該文書を開示した場合、今後の委員会での率直な意見交換や意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある。」は、捻じ曲げた作話ともいえる虚偽である。「率直な意見交換や意思決定の中立性」は、現在、院長により、すでに毀損されており、存在しない。院長の恣意的なコントロールの呪縛から解放して、将来予定されている同種の審議・検討に係る意思決定に不当な院長の影響を与えるおそれを排除する目的のために、開示すべきである。院長は、刑法上の訴追を受けるおそれがあることから不開示としたにすぎない。

(b)条例第17条第6号ハ

「当該事務」とは、「異議申立人を、合理的理由なく、特定病院から排除する。」ことであり、不法行為である。「将来の同種の事務」とは、「院長が排除したいと思う職員を、合理的理由なく、特定病院から排除する。」ことであり、不法行為である。不法行為の目的の達成は、社会通念上許されない。現在すでに、特定病院では、事務の「公正」及び「円滑」な執行は支障をきたしている。本件文書を「開示」することのみにより、「公平性」、「公正性」及び「透明性」が確保され、事務の「公正」及び「円滑」な執行は回復される。

b本件委員会の審議内容に関する情報

(a)条例第17条第5号

「当該文書を開示した場合、今後の委員会での率直な意見交換や意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある。」は、捻じ曲げた作話ともいえる虚偽である。「率直な意見交換や意思決定の中立性」は、現在、院長により、すでに毀損されており、存在しない。院長の恣意的なコントロールの呪縛から解放して、将来予定されている同種の審議・検討に係る意思決定に不当な院長の影響を与えるおそれを排除する目的のために、開示すべきである。院長は、刑法上の訴追を受けるおそれがあることから不開示としたにすぎない。

(b)条例第17条第6号ハ

「当該事務」とは、「異議申立人を、合理的理由なく、特定病院から排除する。」ことであり、不法行為である。「将来の同種の事務」とは、「院長が排除したいと思う職員を、合理的理由なく、特定病院から排除する。」ことであり、不法行為である。不法行為の目的の達成は、社会通念上許されない。現在すでに、特定病院では、事務の「公正」及び「円滑」な執行は支障をきたしている。本件文書を「開示」することのみにより、「公平性」、「公正性」及び「透明性」が確保され、事務の「公正」及び「円滑」な執行は回復される。

(c)条例第17条第6号ホ

現在、特定病院では、院長の不法行為により公正かつ円滑な人事管理が毀損されている。本件文書を開示して、初めて、公正かつ円滑な人事の確保ができる。公正かつ円滑な人事の確保に支障をきたすことがないために、本件文書を開示すべきである。

(ウ)「異議申立てに対する実施機関の考えについて」(下記4(5))
a下記4(5)アについて

虚偽である。条例第20条に該当しない。しかも、本件文書は、異議申立人に対する懲戒処分の正当性を、事実に反して、根拠づけるものである。憲法第31条に基づき、懲戒処分の具体的処分事由を知る権利が存在する。

b下記4(5)イについて

具体的な処分事由は明らかにされていない。

c条例第17条第5号(下記4(5)ウ(ア))について

憲法第31条に基づき、懲戒処分の具体的処分事由を知る権利が存在する。「県の機関の内部における検討」において不法行為が行われている。「証拠隠滅」に該当する。

 4.実施機関の説明要旨

平成25年12月3日付けで実施機関が審議会に対し提出した理由説明書において、概ね次のとおり主張している。

(1)対象行政文書の特定について

特定病院は、本件請求に係る本件委員会の議事録についての行政文書(本件文書)を保有している。

(2)本件文書について

ア本件文書は、異議申立人を含めた職員の患者の診療記録の取扱いに関する検討・評価を行った、平成△年△月△日に開催された本件委員会の議事録である。

イ委員会は、カルテ等の電子化に対して、平成11年4月22日付けの厚生省健康政策局長等からの通知により、医師法・医療法等の法令上の保存義務が課されている診療記録等を電子媒体で保存する場合の保存の可否及び基準が示されたことを受けて、院内の診療記録等の電子保存データを適正に管理する目的で、設置されたものである。

(3)部分開示の理由について

ア本件委員会の出席者等に関する情報

(ア)条例第17条第5号

本件文書は、異議申立人を含めた職員の患者の診療記録の取扱いに関する検討・評価を行うための委員会での審議に関する議事録である。本件文書中の出席者等に関する情報を開示した場合、今後の委員会での率直な意見交換や意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあること、また、将来予定されている同種の審議・検討に係る意思決定に不当な影響を与えるおそれがあることから不開示とした。

(イ)条例第17条第6号ハ

本件文書は、異議申立人を含めた職員の患者の診療記録の取扱いに係る評価等に関する情報である。本件文書中の出席者等に関する情報を開示した場合、当該事務及び将来の同種の事務の目的が達成できなくなり、事務の公正又は円滑な執行に支障を及ぼすおそれがあることから不開示とした。

イ本件委員会の審議の内容に関する情報

(ア)条例第17条第5号

本件文書は、異議申立人を含めた職員の患者の診療記録の取扱いに関する検討・評価を行うための委員会での審議に関する議事録である。当該文書を開示した場合、今後の委員会での率直な意見交換や意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあること、また、将来予定されている同種の審議・検討に係る意思決定に不当な影響を与えるおそれがあることから不開示とした。

(イ)条例第17条第6号ハ

本件文書は、異議申立人を含めた職員の患者の診療記録の取扱いに関し評価を行った委員会での審議の議事録である。当該文書を開示した場合、当該事務及び将来の同種の事務の目的が達成できなくなり、事務の公正又は円滑な執行に支障を及ぼすおそれがあることから不開示とした。

(ウ)条例第17条第6号ホ

本件文書は、異議申立人に対する診療記録の取扱いに関し評価等を行っているが、内容は人事管理に関する情報でもあり、当該文書を開示した場合、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあることから不開示とした。

(4)異議申立ての理由について

異議申立人が主張する理由は、以下に要約されると考える。

ア条例における不開示理由に該当しない。

イ処分(不利益)は重大であり、率直な意思表示は尊重されるべきであるが「透明性」及び「公平性」「公正性」が最も重要であり求められる。

ウ「具体的な処分事由の明示」の要件を満たさない本件決定は、取り消されるべきである。

エ本件委員会の出席者等に関する情報

(ア)条例第17条第5号に該当しない。

「県の機関の内部における審議等に関連して作成された情報である。」は真実である。しかし、「本件委員会の出席者等に関する情報を開示する」ことにより、「『率直な意見交換』や『意思決定の中立性』が不当に損なわれるおそれがあるため」は虚偽である。

(イ)条例第17条第6号ハに該当しない。

「評価等に関する情報であって、開示することにより、当該事務及び将来の同種の事務の目的が達成できなくなり、事務の公正又は円滑な執行に支障を及ぼすおそれがあるため」は意味不明である。

オ本件委員会の審議内容に関する情報

(ア)条例第17条第5号に該当しない。

「開示することにより、率直な意見交換や意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるため」は虚偽である。「開示する」ことにより、「率直な意見交換や意思決定の中立性が正当に保全される」のである。

(イ)条例第17条第6号ハに該当しない。

「評価等に関する情報であって、開示することにより、当該事務及び将来の同種の事務の目的が達成できなくなり、事務の公正又は円滑な執行に支障を及ぼすおそれがあるため」は意味不明である。

(ウ)条例第17条第6号ホに該当しない。

「人事管理に関する情報であって、開示することにより、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるため」は意味不明である。開示することにより、はじめて、院長の恣意的人事管理を抑制することが可能となり、公正かつ円滑な人事が確保できるのである。

(5)異議申立てに対する実施機関の考えについて

ア上記(4)ア及びイについて

本件委員会の出席者等に関する情報については、条例第17条第5号、第6号ハにより不開示とした。

本件委員会の審議内容に関する情報については、条例第17条第5号、第6号ハ、ホにより不開示とした。

イ上記(4)ウについて

本件決定において、処分事由を明示している。

ウ本件委員会の出席者等に関する情報(上記(4)エ)

(ア)条例第17条第5号

本件文書中の出席者等に関する情報を開示した場合、今後の委員会での率直な意見交換や意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあること、また、将来予定されている同種の審議・検討に係る意思決定に不当な影響を与えるおそれがあることから不開示としたものである。

(イ)条例第17条第6号ハ

本件文書中の出席者等に関する情報を開示した場合、当該事務及び将来の同種の事務の目的が達成できなくなり、事務の公正又は円滑な執行に支障を及ぼすおそれがあることから不開示としたものである。

エ本件委員会の審議内容に関する情報(上記(4)オ)について

(ア)条例第17条第5号

本件文書を開示することにより、外部からの圧力や干渉等の影響を受ける可能性があると考える。異議申立書等(上記3(2)イ(イ)b(a)及び3(2)ウ(イ)b(a))には「率直な意見交換や意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれはない」とする具体的な理由が示されていない。

(イ)条例第17条第6号ハ

本件文書は、異議申立人を含めた患者の診療記録の取扱いに関し評価を行った委員会での審議の議事録であるが、開示することにより、当該事務及び将来の同種の事務の目的が達成できなくなり、事務の公正又は円滑な執行に支障を及ぼすおそれがあることから不開示としたものである。

(ウ)条例第17条第6号ホ

本件文書は、異議申立人に対する診療記録の取扱いに関し評価等を行っているが、内容は人事管理に関する情報でもある。人事管理に関する情報は、組織の維持、また組織の独自性を確保する観点から、一定の範囲で不開示にする必要があると考える。

 5.審議会の判断

(1)不開示情報について

本件決定において実施機関が不開示とした情報について、以下、検討する。

審議会で本件文書を見分したところ、本件文書は、1枚目及び2枚目(以下「議事録鑑文」という。)、3枚目及び4枚目(以下「議事録本文」という。)、5~8枚目(以下「委任状」という。)並びに9枚目(以下「警告書案」という。)からなり、本件決定における不開示部分(別表の1~11)は、次のとおり分類することができる。

ア本件委員会に関わる県職員の所属、職、姓、印影等に係る情報

別表の1~5及び8~11

イ本件委員会において検討した事案の患者に係る情報

別表の6

ウ本件委員会における検討結果に係る情報

別表の7

(2)上記(1)アの情報について(別表の1~5及び8~11)

ア条例第17条第6号ハ該当性について

(ア)本号は、県の機関や他の地方公共団体等の事務又は事業に関する情報であって、開示することにより、評価等に係る当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものを不開示とすることを定めたものである。

これについて、実施機関は、上記(1)アの情報を開示することにより、委員会の委員が忌憚のない意見を発言しづらくなり、結果として、委員会の機能に支障が生じるおそれがあると説明する。

(イ)審議会で見分したところ、これらの情報は、本件委員会に出席又は欠席した県職員の所属、職、氏名及び印影等に係る情報にすぎない。

そうだとすれば、これらの情報について、委員会の委員による忌憚のない意見の交換が妨げられるという実施機関の説明には、合理性があるものとは認められない。

イまた、上記(1)アの情報について、条例第17条第5号に該当する事情があるとも認められない。

ウしたがって、上記(1)アの情報については、全て開示すべきである。

(3)上記(1)イの情報について(別表の6)

ア条例第17条第6号ハ該当性について

(ア)審議会で見分したところ、かかる情報は、異議申立人がカルテを不適正に使用したとされる患者の氏名情報(以下「本件患者情報」という。)である。

これについて、実施機関は、上記(1)イの情報を開示することにより、委員会の委員が忌憚のない意見を発言しづらくなり、結果として、委員会の機能に支障が生じるおそれがあると説明する。

(イ)しかし、本件文書中、平成□年□月□日付けの警告書案では、異議申立人を含む職員の「診療録への記載」について、特定病院の「診療業務に対する県民の信頼を損なう行為であり、不適切と判断しました」と記載されており、かつ、当該診療録に係る患者の氏名も具体的に記載されている。また、議事録本文1ページ「2.議事」の5~7行目には、本件委員会において、異議申立人らのカルテ不適正使用について、書面による警告書の発行が承認されたことが記載されている。

これらの記載からは、警告書案の内容について異議申立人が知っているか、又は本件委員会として異議申立人に対して知らせることが承認されたことが認められる。そうだとすれば、本件患者情報は、異議申立人が知っているか、又は知ることができる情報であるから、開示したとしても、今後の委員会において、委員の忌憚のない意見交換が妨げられるおそれがあるとはいえない。

したがって、これらの情報について、委員会の委員による忌憚のない意見の交換が妨げられるという実施機関の説明には、合理性があるものとは認められない。

(ウ)よって、上記(1)イの情報は、本号ハに該当しない。

イまた、上記(1)イの情報について、条例第17条第5号又は第6号ホに該当する事情があるとも認められない。

ウしたがって、上記(1)イの情報については、全て開示すべきである。

(4)上記(1)ウの情報について(別表の7)

ア条例第17条第6号ハ該当性について

(ア)審議会で見分したところ、かかる情報は、本件委員会における検討結果に係る情報であり、より具体的には、異議申立人に対してどのような対応をしていくのかという情報(以下「本件対応内容」という。)である。

これについて、実施機関は、本件委員会における検討結果を開示することにより、委員会の委員が忌憚のない意見を発言しづらくなり、結果として、委員会の機能に支障が生じるおそれがあると説明する。

(イ)しかし、上記(3)ア(イ)のとおり、警告書案の内容について異議申立人が知っているか、又は本件委員会として異議申立人に対して知らせることが承認されたことが認められる。そうだとすれば、本件対応内容は、異議申立人が知っているか、又は知ることができる情報であるから、開示したとしても、今後の委員会において、委員の忌憚のない意見交換が妨げられるおそれがあるとはいえない。

したがって、これらの情報について、委員会の委員による忌憚のない意見の交換が妨げられるという実施機関の説明には、合理性があるものとは認められない。

(ウ)よって、上記(1)ウの情報は、本号ハに該当しない。

イまた、上記(1)ウの情報について、条例第17条第5号又は第6号ホに該当する事情があるとも認められない。

ウしたがって、上記(1)ウの情報については、全て開示すべきである。

(5)結論

以上のことから、「1.審議会の結論」のとおり判断する。

なお、異議申立人のその他の主張は、本件決定の適否に関する審議会の判断に影響を及ぼすものではない。

 6.審議会の処理経過

審議会の処理経過は、下記のとおりである。

審議会の処理経過

年月日

処理内容

平成25年7月4日

諮問書の受理

平成25年12月4日

実施機関の理由説明書受理

平成26年1月30日

異議申立人の意見書受理

平成27年11月24日

審議(第252回審議会)

平成27年12月15日

審議(第253回審議会)

 

別表

No.

文書名

本件決定における不開示部分

審議会の結論

1

議事録

鑑文

1ページ

「議事録作成者」欄のうち2行目

開示すべきである。

2

「出席者」欄のうち2~16行目

3

議事録

本文

1ページ

議事進行者

(4行目の7~13文字目)

4

欠席者

(7行目の32文字目以降

及び8行目の1~12文字目)

5

注意勧告提議者

(8行目の19~25文字目)

6

患者名

(10行目の31文字目

及び11行目の1~3文字目)

7

異議申立人に対する対応

(13行目の11文字目以降

及び14~17行目)

8

委任状

1枚目

委任者名及び印影(8行目)

9

2枚目

〃(〃)

10

3枚目

〃(〃)

11

4枚目

〃(〃)

答申第154号(平成28年2月3日)(PDF:196KB)

お問い合わせ

所属課室:総務部審査情報課個人情報保護班

電話番号:043-223-4628

ファックス番号:043-227-7559

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