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更新日:令和3(2021)年7月14日

ページ番号:7448

生育診断結果を生かして高品質・高収量の水稲栽培を!

生育診断は稲の状態を把握し、その後の管理に活かす重要な技術です。最近では、ドローンを使った生育診断も登場しています。

1.生育診断は栽培管理上重要な技術です。

生育診断では主に以下の2つを診断し、結果に基づいて管理を行います。

  • 生育ステージ診断:分げつをする期間なのか、穂を作る時期なのかなど
  • 生育量診断:葉色や草丈など稲の状態

水稲の高品質・高収量に向けた栽培管理においては、適期に適量の施肥をすることが重要です。施肥の適期を判断するために「生育ステージ診断」を、施肥量を判断するために「生育量診断」を行います。

診断結果は施肥管理に加え、水管理などにも活用し、生育制御をすることで高品質・高収量の水稲生産を行います。

2.生育ステージを把握して適期に穂肥を施用しましょう。

生育ステージのうち、品質や収量に影響するのが、幼穂形成期です。幼穂形成期は、これまで葉や茎を増やしていた稲が穂を作り始める重要な時期(生殖生長期への切り替え)です。

なお、穂肥の施用時期は幼穂形成期をもとに決定するので、正確に把握する必要があります。幼穂長を測定し、穂肥の施用時期を決定しましょう。

(1)幼穂長の測定方法

ほ場内で平均的な5株を選び、株の中で最も長い茎を抜き取り、幼穂長を測定

(2)幼穂形成期の定義

幼穂長が1ミリメートル以上の株が80パーセント以上になった時

(3)穂肥の施用時期

幼穂形成期から約1週間で幼穂長は1センチメートルになった時(表1参照)

表1.品種ごとの穂肥の施用時期と幼穂長
品種 穂肥の施用時期 幼穂長
ふさおとめ 出穂前25から18日 0.1から1センチメートル
ふさこがね 出穂前18日 1センチメートル
コシヒカリ 出穂前18から10日 1から8センチメートル

3.生育量を正しく知って施肥量を決定しましょう。

生育量診断は施肥量の目安にする上で重要です。肥料に含まれる窒素は、光合成をする葉緑素を構成する物質なので、吸収した窒素量が多いほど良く生育します。高収量を達成するために、窒素が必要な時期に稲の窒素量を確保することが重要です。稲の窒素量を葉色で推定し、基準量より多いのか、少ないのかを判断して施肥量を決定する必要があります。

葉色の診断方法には以下のような方法があります。

  • 葉緑素計(SPAD-502)による診断
  • 葉色票(富士葉色カラースケール)による診断
  • ドローンなど無人航空機を用いた葉色診断

葉色のほか、草丈や茎数を計数して、以下の表2を参考に施肥時期や量を決定しましょう。

表2.幼穂形成期におけるコシヒカリの穂肥・倒伏軽減剤の要否判定

穂肥・倒伏軽減剤の要否判定

表2の拡大(PNG:57KB)

注1)表はコシヒカリを対象としている。

注2)これらの区分に入らない生育を示すものについては、現在の技術では倒伏回避、収量確保が困難である。

(出典:稲作標準技術体系、千葉県、平成26年)

4.生育量診断にICTが活用されています。

近年、リモートセンシングによる葉色診断の方法が注目されています。人工衛星やドローンなどを用いて省力的にほ場の状態を把握する技術です。山武地域では、横芝光町や山武市でリモートセンシングを活用した葉色診断が試験的に導入されています。最近では、自動で施肥量を調整する無人ヘリコプターへ、リモートセンシングにより得られたデータを読み込ませることで、追肥作業をより精密にできる技術も登場しています。

非常に有効な技術ですが、データの取得や活用には費用がかかるため、導入の際は自身の経営に合わせて判断することが重要です。

初掲載:平成30年7月

山武農業事務所改良普及課

普及技術員

水鳥希洋人

電話:0475-54-0226

 

お問い合わせ

所属課室:農林水産部担い手支援課専門普及指導室

電話番号:043-223-2911

ファックス番号:043-201-2615

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