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更新日:令和3(2021)年6月28日
ページ番号:7442
抑制トマトは、育苗から生育前半は高温期、生育後半は徐々に気温が低下する晩秋期、その変わり目の9月頃は、残暑・長雨・台風など不安定な気象条件になりやすい季節です。この作型のポイントは、高温期と不安定な気象条件時の管理となります。
写真1.パイプハウスでの抑制トマト栽培の様子(収獲開始期)
定植前には、ほ場にたっぷりとかん水を行うことで、地下に水の「貯金」をしておきましょう。毎年トマトを作付するほ場では、元肥の量を、前作や土壌診断の結果に応じて調整します。この作型はかん水回数が多いため、肥料が過剰に吸収されやすく、異常茎(メガネ・芯止まり)や尻腐果、着色不良の原因となります。元肥を入れ過ぎず、生育に合わせて追肥で調整出来るようにします。
活着不良は収量に影響します。ハウス外にネットを展張したり、塗料を塗布することで遮光(遮光率30から40パーセント)を行い、萎れを防ぎましょう。萎れの程度が大きい場合には、活着までに頭上かん水を1から2回行います。
写真2.遮光ネットの展張
生長点の色や葉の巻き具合、葉色といった樹の状態を見ながらかん水を行います。定植後に高温が続く場合は、3段花房開花前でも少量ずつかん水を行い、樹に水分を補給します。かん水は1度に多量行うよりも、回数を分けて少量ずつ(例:5日おきに30分かん水よりも2日おきに15分かん水)行う方が、生育が安定します。
夕方の日差し(西日)によって果実が日焼けすることがあります。南北方向ハウスの場合は西側が日焼けしやすいため、ハウス西側の重点的な遮光が効果的です。
平成28年は8月中旬以降、平成29年は7月下旬に低温・日照不足となり、着果不良、異常茎、病害が発生し、減収となりました。
低温・日照不足下では樹勢が落ちやすいため、異常が起こってからの対策は効果が現れにくい場合が多いです。長期予報に注意し、早めの備えを心がけましょう。活着後から収穫中までのポイントは以下のとおりです。
収穫が終わった花房の下までを目安に、古い葉を取り除きましょう。一度に摘葉すると樹勢の低下を招くので、1株1回あたり2から3枚を目安に、複数回に分けて行います。
曇天時でもハウス側面を少し開け、湿度を下げて病気の蔓延を防ぎます。また、台風通過後は高温多湿になりやすいので、出来るだけ早く風下側を開けて換気を行いましょう。
曇天時には異常茎(メガネ・芯止まり)が起こりやすく、症状が激しいと生長点が無くなります。側枝を残し、異常茎に備えましょう。ただし、側枝は15センチメートル以上になったら取り除きます。異常茎のおそれがある場合は、葉面散布や液肥によりカルシウムやホウ素を補給します。葉面散布剤は生長点付近に重点的に散布します。台風などの急な天候の変化により主枝の伸びが望めなくなった場合は、代わりに側枝を伸ばします。
写真3.異常茎発生時における側枝確保の例
曇雨天が数日間続く場合は、遮光ネットを外し、ハウス内への日照を確保することで、光合成と樹勢の回復を図ります。
日照不足時は果実にカルシウム欠乏が起こりやすく、尻腐れ果の原因になります。日照不足が予想されるときは予め葉面散布でカルシウムの補給を行いましょう。
葉かび病、すすかび病、褐色輪紋病の発生が多くなります。特に雨や台風の前に予防的に殺菌剤散布を行うことで、病気の発生を未然に防ぎましょう。
初掲載:平成30年4月
山武農業事務所改良普及課
北部グループ
普及指導員
阿部倉緑
電話:0475-54-0226
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