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更新日:令和2(2020)年3月26日

飼料用米、地域内利用のすすめ(養豚の事例)

市原市は県中西部に位置し、市を南北に走る養老川の恩恵を受け、水稲の作付けが盛んな地域です。同市での飼料用米の作付けは、平成28年には約100haにまで広がっています。生産された飼料用米の多くは市内の畜産農家で利用され、水稲農家、畜産農家双方の経営安定に寄与しています。

本稿では、市原市における飼料用米の地域内流通と養豚経営における利用事例を紹介します。

1市原市飼料用米生産・利用協議会の取組

市原市では、飼料用米の生産・利用を柱とした地域内での循環型農業の推進による経営発展を目的とし、平成20年に水稲農家、畜産農家、関係機関等を構成員とした市原市飼料用米生産・利用協議会が組織されました。

平成28年産の水稲農家と畜産農家のマッチング面積は約71haと市内の飼料用米作付面積の約7割にのぼります。利用する畜産農家は、酪農、肉用牛、養豚、養鶏と多様であり、畜産農家の要望に合わせて籾米または玄米で流通しています。

2養豚経営における飼料用米の活用事例

市原市で養豚を営むA農場では、平成20年から飼料用米を使いはじめ、生産された豚は、オリジナルブランドの豚肉として出荷されています。

利用開始当初、飼料用米価格はキロ当たり35円と他の飼料価格と比べても、安くはありませんでした。しかし、耕畜連携による地域循環型農業の必要性を感じていた経営者は、行政からの協議会発足の呼びかけに賛同し、飼料用米を使い始めました。現在では、飼料用米価格も下がり、利用量も増え、飼料用米と他用途米を併せて年間300tの米を養豚用飼料として使っています。

以下にA農場における飼料用米の利用事例を紹介します。

(1)A農場における飼料用米の利用方法

輸送・保管:10月頃、フレコンバッグに入った飼料用米(玄米・検査済)を4tトラックで水稲農家(片道20km)まで取りに行き、農場内の既存の倉庫2棟で常温保管(写真1)します。

(写真1飼料用米保管倉庫)

加工・調製:倉庫1棟を改築し飼料の加工・調製庫として利用しています。飼料用米と他用途米を飼料用米粉砕機(写真2)で粉砕後(写真3)、飼料撹拌機で配合飼料、他の飼料と混合し、飼料用バルク運搬車で、畜舎ごとの飼料タンクに供給します。

(写真2飼料用米粉砕機)

(写真3粉砕後の飼料用米)

給与:A農場では、肉豚90日齢から出荷までの約90日間、飼料用米混合飼料を与えています。以下に飼料メニューを示します(表1)。

表1飼料用米混合飼料メニュー(肥育豚90日~180日齢)
飼料名 混合割合 単価(kg・税別)

飼料用米

11%

15

他用途米

10%

21

パン屑飼料

3%

20

小麦

2~3%

20

製麺屑

0~1%

18

配合飼料

72~74%

40円前後

 

合計

35円前後

利用上の注意点(A農場では以下の事に注意しながら、飼料用米を給与しています)

  • 飼料のバランスが崩れないよう、飼料用米・食品副産物の利用は3割以下に抑える。
  • 飼料用米は、翌夏を過ぎると劣化・変質するのでそれまでに使いきる。
  • 飼料用米はその日に使う分だけ粉砕し、粉砕米のストックはしない。
  • 異物の混入がないか確認する(カビ等)。

(2)飼料米利用にかかる設備や労働時間(A農場の事例)

A農場では、既存倉庫の利用や中古機械を購入したことから、初期費用400万円と安く抑えられています(表2)。飼料米の運搬や加工・調製にかかる労働時間は年間1700時間で人件費は250万円程度かかる計算になります(表3)。

表2施設・設備
施設・機械 費用 備考

既存倉庫160平方メートル×2棟

0円

 

加工・調製庫130平方メートル

250万円

既存倉庫を改修

米粉砕機<1>

60万円

大竹製作所500~1000kg/h
玄米の粉砕用

米粉砕機<2>

26万円

宝田工業100~150kg/h
白米の粉砕用

飼料攪拌機×2台

0円

既存機械

飼料用バルク車

70万円

中古

合計

406万円

 

 

表3労働時間
作業内容 労働時間 頻度

加工・調製等

4時間/日

毎日

飼料用米等の運搬

3時間/回

年間80回程度

合計

1700時間/年

1700時間×1500円/時間=
255万円

(3)飼料用米利用のメリット・デメリット(A農場の事例)

飼料費の削減効果が大きく、施設等に投資しても比較的早く回収できます。

メリット

飼料費の削減(飼料1kg当たり5円削減)

飼料費を5円/kg下げられるので、肥育用飼料の使用が年間2000tであれば1000万円、3000tであれば1500万円のコスト削減になり、初期費用や人件費などを差し引いても、すぐに投資分を回収できます。

肉が淡桃色になり、評価が上がる(※さまざまな研究報告があります)。

デメリット

手間がかかる

飼料用米の運搬や加工・調製に手間がかかります。新たな雇用が必要になることもありますが、飼料費の削減効果が大きいため、十分に回収できます。

保管場所、自家配施設が必要

飼料用米保管用に風雨を避けられる施設が必要です。調製にあたっては既存の自家配合施設があれば、飼料用米粉砕機の導入だけで利用が可能です。

豚に脂肪がつきやすくなる(※さまざまな研究報告があります)。

3飼料用米利用の課題

飼料用米の地域内利用には、以下のような課題があり、生産者、関係機関が一体となって、地域にあった取組を進めていくことが必要です。

(1)マッチング組織の設立

県内でも、飼料用米生産利用協議会等のいくつかのマッチング組織が立ち上がっています。同一の市町村内であれば、輸送距離も短く、また生産者同士で顔の見える関係が築け、情報交換もしやすい組織になります。

(2)保管場所の確保

水稲農家、畜産農家ともに保管場所が少ないことから、飼料用米を安定して利用するためには、補助事業等を活用した保管庫の新設や農協等と連携し、地域内の既存施設を上手く活用していくことが必要です。

(3)自家配合施設の設置

養豚・養鶏では自家配合施設、酪農や肉用牛ではTMRミキサーがあれば効率よく利用できます。飼料用米に限らず、食品副産物等を利用することでさらなるコスト低減につながります。設置にはある程度費用はかかりますが、コスト低減効果を考えると検討の余地は十分にあります。

4水稲農家と畜産農家のよりよい連携を

千葉地域における耕畜連携の取組はまだまだ道半ばです。市原市飼料用米生産・利用協議会においても、飼料用米流通の取組を契機とし、会員間で家畜ふん堆肥の流通が始まったばかりです。

堆肥利用に限らず、稲わらの飼料利用やモミガラの敷料利用、水稲収穫後水田での飼料用麦生産など、連携の可能性はまだまだあります。これらの取組を成就させるための決まった方法はありませんが、水稲農家、畜産農家が話し合いお互いが納得できる形で連携がすすめば、地域農業の発展につながるのではないかと考えています。

(初掲載平成29年1月)

千葉農業事務所
改良普及課市原グループ
普及指導員
野中太輔
(電話:043-300-0950)

よくある質問

お問い合わせ

所属課室:農林水産部担い手支援課専門普及指導室

電話番号:043-223-2912

ファックス番号:043-201-2615

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