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更新日:令和元(2019)年11月18日
ページ番号:7386
千葉県はスイカ生産量全国2位であり、収穫時期は5月中旬から7月中旬で、県内では富里市、八街市、山武市、芝山町が主な産地になっています。今回は5月中旬から6月上旬どりのハウス半促成栽培のポイントについて紹介します(図1)。
図1.ハウス半促成スイカの栽培暦
ハウス半促成栽培には、低温寡日照下でも雌花の着生が良く、花飛びが少ない、花粉の出が安定している品種が求められます。現在用いられている主な品種は「春のだんらん」、「祭ばやしRG」(萩原農場)、「紅大」(ナント種苗)、「一王」(東洋農事)、「縞無双」(神田育種農場)等です。
つる割れ病対策や、低温伸長性の強化による生育促進効果を目的とし、台木を利用するのが一般的です(表1)。
台木 | 低温伸長性 | つる割病抵抗性 | 草勢 | その他 |
---|---|---|---|---|
トウガン | △ | △ | △ | 果実品質良好 |
ユウガオ | ○ | ○ | ○ | |
カボチャ | ◎ | ◎ | ◎ | 食味低下 |
△:弱い~普通○:普通~やや強い◎:強い
定植が低温期にあたる半促成栽培では、低温伸長性のある「ユウガオ」を用います。つる割病や急性萎凋症が問題となる場合は草勢が強くなる「カボチャ」を用いることもあります。
定植後、根の活着と伸長には、地温が必要となります。地温を確保するため、定植の2~3週間前を目安にたっぷり灌水してからベッドをつくり、マルチとトンネルを張ります。
苗は、本葉が4~5枚に展開した頃、摘心します。定植前に摘心しておくと定植後の管理が省力化できます。
10時頃、深さ10センチメートルの地温が15℃程度以上であることを確認します。4本整枝2果どりの場合は株間75~80センチメートル(10アール当たり400~450株)、3本整枝1果どりの場合は株間45~50センチメートル(10アール当たり750~800株)を目安に、鉢土に十分吸水させてからベッドの中央部に植えます。このとき、茎にマルチが触れていると高温障害を起こすので、根鉢が2センチメートル程度マルチ上面に出るように浅めに植えます。また、穂木が土に触れると発根し、土壌病害が発生するので気をつけましょう。
定植から1週間を目安に紙キャップ、または不織布などをかけ(写真1)、トンネルを密閉します。これらの資材を除去したらトンネルの裾換気を始めます。昼は30℃以上、夜は10℃以下にならないようにし、交配から交配後30日頃までは、最低気温15℃を確保するようにします。夜間の冷え込みが予想される場合は、早めにトンネルを閉めましょう。
親づるから子づるが4~5本伸びてくるので、長さ20~30センチメートルになったら、生育の揃った子づるを3本または4本残し方向を揃え、必要のない子づるは除去します。その後、つる先がトンネルに達したらつるを手前に引いて18~22節あたりに着生する雌花の位置をトンネル中央に揃えます(図2)。この位置の果実は草勢とのバランスが良く、果実の形状や肥大が優れます。また、つる引き作業と同時に、交配節ぐらいまでの孫づるを除去します。
写真1.定植後の不織布被覆
図2.整枝方法(4本整枝2果どり)
ミツバチを利用する「ミツバチ交配」と手で授粉する「手交配」があります。ミツバチの巣箱は交配予定の1週間前よりハウスに導入し慣れさせます。悪天候時にはミツバチの活動が鈍くなるため、手交配を行います。手交配は当日に開花した雄花の花粉を用い早朝に行いましょう。
交配時に交配日がわかるように印をつけます。
果実が鶏卵大になってから、肥大が良く、やや長めで花落ち部分が小さいものを3本整枝1果どりの場合は1果、4本整枝2果どりの場合は2果残し、他は摘果します。
交配後20日頃から収穫までに2~3回果実を60~90度ほど回転させて、着色むらをなくし、形を整えます。玉直しは、晴天時に行うと日焼け果になってしまう恐れがあるので、曇天時か夕方に行いましょう。
ハウス半促成栽培の成熟日数は、交配から50~52日頃で、成熟日数前後に試し割をし、糖度、食味を確認します。未熟な果実は食味に青臭さが残り、糖度も十分でないことがあります。また、過熟な果実は食味が不良となるので、適期収穫に努めましょう。
初掲載:平成28年11月
印旛農業事務所改良普及課
八街・富里グループ
普及技術員
露木倫代
電話:043-483-1128
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