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更新日:令和3(2021)年11月12日
ページ番号:7347
一般的にねぎはえんぴつ程度の太さ以上になり、一定時間低温に遭遇すると花芽分化し、抽台してしまいます。そのため、夏ねぎ栽培では抽台の発生を抑えるために晩抽性品種を用い、さらに低温による花芽分化を抑制するためにトンネル被覆を行って栽培します。抽台を抑制するためには品種の選定、播種時期の順守、トンネル被覆が重要になります。
夏ねぎは早どりできれば葉の病害虫の発生も少なく、高い秀品率が見込めます。ここでは1条トンネルを用いた夏ねぎの早どり栽培を中心にポイントを紹介します。
品種は晩抽性品種を用います。早どり栽培には春扇が適しています。(表1)
品種 | 晩抽性 | 特徴 | ||||||||||||
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春扇 | 晩抽 | 肥大性に優れるため、夏ねぎの中で最も早い作型に用いられる。生育が早い半面、老化しやすいため、6月中旬以降の収穫には適さない。ボトリチス葉枯病に弱い | ||||||||||||
龍まさり | 晩抽 | 太り、伸び共に緩やかで安定している。秋冬、春ねぎとしても用いることができる万能品種である。 | ||||||||||||
初夏扇 | 晩抽 | 春扇より太りはやや遅い。葉鞘部が円形で姿が良い。 | ||||||||||||
初夏一文字 | 晩抽 | 形と色が良い。べと病、さび病に弱い。首元の緩みがやや早いので6月中旬までの収穫が良い。 | ||||||||||||
羽緑一本太 | 極晩抽 | 晩抽性に最も優れる。葉が長く、太りよりも伸びが優先される特徴がある。止め土後も伸びやすいため、収穫適期を守る。 |
播種は早くても10月上旬以降に行います。早まきは抽台の危険性が高まるため、避けます。
チェーンポット(CP303)の場合、1穴に2粒まき又は、2.5粒まき(2粒と3粒を交互に播種)で播種します。2粒まきでは栽植密度が1メートルあたり約40本程度となるため、肥大が早く、収穫時期を早めることができます。培土は、ねぎ専用培土を用います。
日中の育苗適温は20から25度、日当たりの良い場所で育苗します。光が弱いと細く徒長した苗になってしまうので気をつけます。
徒長を防ぐため、本葉が伸びてきたら10センチメートル程度まで剪葉します。育苗期の後半は徐々に外気温に慣らしていきます。
トンネル被覆をしてしまうと追肥ができないため、基肥には緩効性肥料を用い、十分量施用します。栽培途中での肥料切れは抽台や生育遅れに繋がるため特に注意します。(表2)
成分量 | 窒素:りん酸:加里 | 22:26.8:18.4 | |
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施肥例 | 肥料名 | 基肥 | 追肥 |
苦土石灰 | 80 | ||
SCねぎ専用047 (緩効性肥料) |
120 | ||
野菜美人 | 80から100 (20から30×3から4回) |
11月下旬から12月上旬に定植します。条間90から100センチメートル、溝の深さ10から15センチメートルとし植え溝を掘ります。チェーンポットの場合、「ひっぱりくん型番:HP-6」を用いて定植します。定植後は雑草の発生を抑制する除草剤を散布します。
トンネルは12月中旬頃に被覆します。120センチメートルのダンポールを用い、50センチメートル間隔でトンネルを作ります。被覆は、厚さ0.03ミリメートル、幅115センチメートルのユーラックやホットコート、農ポリを用います。(写真1)
写真1被覆後の様子
被覆後に5センチメートルの穴を1から2メートルおきに開けます。2月中旬以降トンネル内の最高気温が35℃を超えないように穴数を増やします。3月中旬、天井に葉が当たり始めたら葉が外にでるように頭上に切り込みを入れます。
トンネル撤去は、ねぎが外気に順応するまで待ち、4月上旬に行います。トンネル撤去と同時に除草と1回目の追肥と土寄せを行います。その日のうちに作業が完了するよう、時間配分に注意して行います。
白絹病、ボトリチス葉枯症、べと病、さび病、アザミウマ類の被害に注意し、予防的に防除を行います。使用する薬剤は収穫前日数に十分注意し、止め土後も防除を行います。
4月中旬に2回目の追肥、土寄せを行い、その後はねぎの伸長と肥大を確認しながら10日間隔を目安に追肥、土寄せを繰り返します。土寄せ前に白絹病の防除をします。土寄せ位置は首下とします。
止め土も首下位置とし、収穫20日前に行います。止め土後30日以上経過すると品質が低下するため、収穫予定量から逆算して順次止め土を行います。5月上旬に止め土できれば5月下旬に収穫できます。
写真2止め土の状態
初掲載:平成27年10月
海匝農業事務所
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普及指導員
小林理
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