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更新日:令和4(2022)年12月2日
ページ番号:7318
コウライシバ、ノシバなどの日本シバは、高温、乾燥条件に強く、管理に手間がかからないことから、校庭や公園などで広く利用されています。しかし、日本シバはカーブラリア葉枯病などの病気に弱いこと、校庭や公園などでは踏圧による障害が発生しやすいこと、さらに冬季は冬枯れし景観を損なうことなどが問題となっています。特に、校庭や公園では農薬の使用が制限される場合が多いことから、病害抵抗性等の形質を持つ品種の育成が求められています。農林総合研究センターでは、このような状況に対応するため、病害抵抗性、耐踏圧性、冬季緑色保持性など複数の形質を持ったコウライシバ新品種「千葉G79号」を育成しました。
細葉タイプのコウライシバで、直立茎及びほふく茎の密度が高く、緻密な芝生を形成します。ほふく茎は、伸長が速いため短期間に芝生を形成できます(写真1)。
写真1「千葉G79号」(左)の形態
注)左から「千葉G79号」、対照品種「エメラルド」、「メイヤー」
重要病害であるカーブラリア葉枯病、葉腐病(ラージパッチ)及びさび病に対する強い抵抗性が確認されています(表1)。
表1「千葉G79号」の病害抵抗性
供試品種 | カーブラリア葉枯病 発病程度 (0:無-4:甚) |
ラージパッチ (葉腐病)発病程度 (0:無-4:甚) |
さび病 発病程度 (0:無-4:甚) |
---|---|---|---|
千葉G79号 |
0.7a |
1 |
0.0a |
メイヤー |
2.0b |
1 |
1.8b |
エメラルド |
1.5ab |
1 |
1.6b |
注1)発病程度は目視で調査
注2)「メイヤー」、「エメラルド」は、ラージパッチに対し抵抗性が確認されている
注3)表中の記号は、Scheffeの多重比較検定(α=0.05)の結果を示す、同一記号間に有意差は無い
踏圧に対する耐性が優れているため、多くの人が足を踏み入れる校庭や運動場の植栽に適しています(表2)。
表2「千葉G79号」の耐踏圧性
供試品種 | 踏圧処理後の 健全葉面積率(パーセント) |
---|---|
千葉G79号 |
75.0b |
メイヤー |
40.0a |
エメラルド |
46.7a |
注1)平成24年9月20日から調査日の11月20日まで軽トラック(接地圧1平方センチ当たり2.4キログラム)で時速5キロメートルで1日4往復した
注2)表中の記号は、Tukeyの多重比較検定(α=0.05)の結果を示す、同一記号間に有意差は無い
初冬季(12月下旬)まで冬枯れせず、従来の品種よりも長い期間、緑の芝生を保てます(表3)。
表3「千葉G79号」の紅葉及び萌芽の開始期
供試品種 | 黄化の開始期 | 萌芽の開始期 | 冬枯れ期間 |
---|---|---|---|
千葉G79号 |
12月15日 |
4月8日 |
114日 |
メイヤー |
11月3日 |
4月6日 |
154日 |
エメラルド |
11月23日 |
4月8日 |
136日 |
注1)黄化の開始期は平成22年に調査し、試験区内の50パーセントの直立茎が黄化した日とした
注2)萌芽の開始は平成23年に調査し、試験区内の50パーセントの直立茎が萌芽した日とした
「千葉G79号」は、公園や運動施設、都市緑化用の素材として優れた特性を持っており、今後の活用が期待されます。
初掲載:平成27年1月
農林総合研究センター花植木研究室
主席研究員
加藤正広
電話:043-291-9988
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