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更新日:平成30(2018)年5月9日

ページ番号:7328

ニホンナシ幼木の生育促進

1.はじめに

ニホンナシ「幸水」は、樹齢が30年を超えると収量が大幅に低下するため改植が必要になります。しかし、改植した幼木が連作障害の悪影響により生育不良となることがあります。そこで、幼木の生育促進が期待されるジベレリン塗布剤(以下ジベレリン)や株元マルチについて、単独及び併用して処理した場合の効果を紹介します。

2.ジベレリン及び株元マルチの処理法

「幸水」の1年生苗木を圃場に定植し、その後3年間継続してジベレリンを塗布する区(ジベレリン区)、株元にポリマルチを行う区(マルチ区)及び両処理を併用する区(ジベレリン・マルチ併用区)を設け、稲わらマルチのみを行う対照区と生育を比較しました。

ジベレリンは植物ホルモンの一種で、ニホンナシでは果実肥大や熟期促進を目的に広く使用され、近年は新梢伸長促進を目的に登録が拡大され普及が進んでいます。試験では、定植1年目は主枝候補とする新梢基部に、定植2年目から3年目は主枝先端から発生した新梢基部に、ジベレリン100ミリグラムを4月中旬に塗布しました(写真1)。

ポリエチレンフィルムによるマルチは、地温上昇や土壌水分保持等を目的として野菜栽培で広く用いられています。ニホンナシでも、新根の伸長時期である5~6月の地温が高く保持されることにより、生育促進に有効と考えられています。試験では、定植1年目から3年目のいずれも4月下旬から11月下旬にかけて、株元の地表面を透明のポリエチレンフィルム(厚さ0.02ミリメートル)で被覆しました(写真2)。被覆の範囲は、定植1年目が縦横50センチメートル、定植2年目が縦横100センチメートル、定植3年目が縦横150センチメートルとしました。

写真1ジベレリンを塗布した新梢
写真1ジベレリンを塗布した新梢

写真2株元マルチ
写真2株元マルチ

3.幼木の生育促進効果

定植3年目の幼木の生育を表1に示しました。ジベレリンを塗布した区では主枝基部直径が太くなり、1年生枝の発生本数が増加しました。なお、ジベレリンは主枝のみに塗布しているため、1年生枝の発生本数の増加は直接的な作用ではなく、主枝の生育が促進されたことによる間接的な効果と考えられました。一方、株元マルチを行った区では主幹径が太くなり、1年生枝の発生本数や枝長合計が増大しました。

以上のように、ジベレリンの塗布及び株元マルチは定植後3年間の幼木の生育促進に有効でした。ただし、今回の試験では、ジベレリン・マルチ併用区の生育はジベレリン区及びマルチ区と同程度であることが多く、両処理を併用した効果は得られませんでした。したがって、資材費や作業労力等を考慮して、いずれかの処理を選択すればよいと考えられました。

表1ジベレリンの塗布及び株元マルチが、定植3年目の「幸水」幼木の生育に及ぼす影響

試験区 主幹径
(ミリメートル)
主枝長
(センチメートル)
主枝基部直径
(ミリメートル)
1年生枝
発生本数
(本/樹)
枝長合計
(メートル/樹)
基部直径
(ミリメートル)
ジベレリン 62 283 37 58 48.7 11
マルチ 64 285 36 63 56.2 11
ジベレリン・マルチ併用 64 290 38 61 52.4 11
対照 55 235 31 30 26.7 11
分散分析 ジベレリン NS NS * * NS NS
マルチ * NS NS * * NS
交互作用 NS NS NS * * NS

注)*は5%水準で有意差あり、NSは有意差なし

4.おわりに

幼木の生育を促進させることで早期成園化が可能となり、改植による収量低下を最小限に抑えることができます。ジベレリンの塗布又は株元マルチの導入を検討されてはいかがでしょうか。


初掲載:平成27年5月

農林総合研究センター果樹研究室
主任上席研究員
押田正義
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