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更新日:令和3(2021)年7月2日
ページ番号:7296
厳寒期のキャベツは単価が高く、安定生産できれば高い収益が見込めます。一方で、低温に長時間遭遇すると凍害や腐敗病が発生することから、厳寒期を経て収穫に至る2から3月どりは耐寒性の強い品種が求められます。また、3月下旬どりでは、低温により花芽分化したキャベツが抽台を始める時期にあたることから、抽台が遅い品種を選定することも重要です。
ここでは、東総地域内陸部に位置する東総野菜研究室で行った2から3月どりの品種選定の結果とキャベツ外葉を用いた寒害軽減対策を紹介します。新品種の導入に当たっては、収穫時期に適した品種を適期に播種、定植することが重要です。したがって、気象条件の異なる地域では、ここで紹介した播種適期や収穫時期を参考に、各地域での適応性を確かめてください。
東総地域内陸部では、12月中下旬から2月中旬までの間、日平均気温が5度を下回り、最低気温はマイナス5度に達します。1月収穫の品種としては、比較的生育が早く肥大性の良い「YR春系305号」(増田採種場)や「潮岬」(タキイ種苗)、「TCA-463」(タキイ種苗)が適しますが、腐敗病を回避するために「YR春系305号」は1月上旬まで、「潮岬」は1月下旬まで、「TCA-463」は2月上旬までの収穫を目安とします。
2月から3月上旬収穫の品種としては、腐敗病の発生が少なく葉の巻きが比較的強い「春系643」(増田採種場)が適します(図1)。この品種は、播種時期が遅い場合や肥料が少ないと、外葉の発達が不十分で小玉になりやすいことから、8月下旬に播種し、基肥窒素として10アール当たり20キログラム程度を施用します(表1)。
3月中旬から下旬収穫の品種としては、腐敗病の発生が少なく、花芽の発達が遅い「金瑛」(サカタのタネ)が適します。播種時期が遅いと形状が乱れやすいことから、8月末から9月5日に播種します。
図1.冬どり春系キャベツの収穫時期別の適品種(東総地域内陸部)
供試品種 | 基肥窒素量 (10アールあたりキログラム) |
地上部重 (1株あたりキログラム) |
結球重 (1株あたりキログラム) |
球高 (センチメートル) |
球幅 (センチメートル) |
外葉数 (枚) |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|
最大葉長 (センチメートル) |
|||||||
春系643 | 10 |
1.69 |
0.85 |
11.2 |
19.9 |
13.0 |
35.4 |
20 |
2.06 |
1.14 |
12.3 |
18.2 |
12.6 |
35.5 |
|
30 |
2.09 |
1.16 |
12.6 |
18.0 |
12.6 |
37.3 |
|
YR春系305号 | 10 |
2.00 |
1.33 |
12.9 |
18.6 |
9.5 |
34.9 |
20 |
2.28 |
1.51 |
13.4 |
19.1 |
9.8 |
35.5 |
|
30 |
2.21 |
1.41 |
13.3 |
19.6 |
9.5 |
36.8 |
注1)セル苗を用い、播種は平成24年8月25日に、定植は9月17日に畦間60センチメートル、株間35センチメートルで行い、平成25年1月24日に調査した
注2)追肥は行わなかった
キャベツは、気温がマイナス5度以下になると凍害や腐敗病が発生しやすくなります。一方、日中に気温が上昇すると腐敗病の病原細菌の増殖が活発になり、病気の進行が早まります。この対策として、採取したキャベツ外葉で結球部上面を覆うことにより、マイナス5度以下に遭遇する時間が少なくなり、日中のキャベツの温度上昇も抑制されるため、凍害や腐敗病の発生を軽減できます(表2、写真1)。外葉は、あらかじめ切り離して萎れたものを用いることで、風で飛ばされる可能性が低くなります。
試験区 | 供試品種 | 結球重 (1株あたりキログラム) |
凍害 | 腐敗病 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
発生株率 (パーセント) |
発生度 | 発生株率 (パーセント) |
発生度 | |||
被覆処理区 | YR春系305号 |
1.37 |
83 |
35 |
73 |
49 |
春系643 |
1.03 |
17 |
4 |
17 |
8 |
|
無処理区 | YR春系305号 |
1.33 |
100 |
78 |
93 |
74 |
春系643 |
1.08 |
47 |
18 |
40 |
22 |
注1)播種は平成24年8月25日に、定植は9月17日に畦間60センチメートル、株間35センチメートルで行った
注2)被覆処理区は、平成24年12月27日から平成25年2月4日の間、他株のキャベツ外葉を結球最外葉の外側から被覆した。収穫、調査は2月4日に行った
注3)凍害及び腐敗病の発生度は、4:著しい発生-1:わずかな発生-0:発生なしとし、以下の式により算出した。発生度=Σ(各指数別株数×各指数)/(調査株数×4)×100
写真1.キャベツ外葉を結球部に被覆した株
注)矢印は被覆した外葉
初掲載:平成26年7月
農林総合研究センター水稲・畑地園芸研究所
東総野菜研究室
研究員
小塚玲子
(電話:0479-57-4150)
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