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更新日:平成30(2018)年4月11日

湿地性カラーの切り花栽培

「カラー」は、サトイモ科ザンテデスキア属の植物です。南アフリカ原産で、常に水分の豊富な場所を好む湿地性種と乾いた畑を好む畑地性種に大別されています。畑地性種は黄色やピンク色など花色が豊富です。これに対し、花色は畑地性種に比べ少ないが、湿地性種は苞(ほう)と呼ばれる花が大きく草丈も立派です。さらに、畑地性にはない純白からややクリーム色がかった白の花色がブライダルなどの業務需要に人気が高く、市場においても安定した価格が維持されています。また、栽培が盛んな君津市では豊富な地下水を活用することで低コストな栽培が可能となっています。

1.栽培方法

1.品種

導入初期に栽培されていた純白品種「チルドシアーナ」は早生で茎も細く人気が高かったのですが、疫病に弱いことから全国的に栽培が困難となっています。そのため疫病に強い「ウェディングマーチ」が主力品種となっています。千葉県では「チルドシアーナ」と「ウェディングマーチ」から育種した「アクアホワイト」も栽培されています。

2.ほ場条件

湿地性カラーの栽培で、一定以上の採花期間を確保するためには、年間を通じて地温を15~20℃にすることが必須です。そのため地下水をかけ流しで栽培します。それには10アールあたり毎分200リットル以上の豊富で良質の地下水を確保する必要があります。君津地域では昔から自噴井戸が多く、有利に地下水を利用することが出来たことから湿地性カラーが産地化されました。最近ではモーターによるくみ上げによる栽培も多くなっており、水量が確保されれば他地域でも栽培は可能です。さらに多量の水をかけ流すため、排水路も考慮してほ場を選定します。土質は、壌土が適しています。

3.ほ場準備

パイプハウスを建設したら、ハウス内に水をためられるようにハウスの内側周囲に盛り土をし、畦シートなどで補強します。基肥は10アールあたり成分量で窒素10キログラム、リン酸10~15キログラム、加里10キログラム程度が目安です。よく耕うん整地して浅く水を張っておきます。ハウス中央は、採花などの作業のために土のうなどを並べて通路を確保します。入水口から排水路まで、水が滞らないよう整地や株の植え方に注意して水ができるだけ均一に流れるようにします。

4.苗の確保

新規に栽培する場合には、球根を購入します。また、既に栽培している株からわき芽を切り取って定植します。一度定植すれば長期間栽培が可能で、新植後20年以上経過しているハウスもあります。

5.定植

これまで採花終了後の5~6月が植え付け適期とされてきましたが、最近は夏の猛暑で株が傷むことがあるため、残暑が落ち着いた9~10月に定植することが多くなっています。深植えにならないように、条間50センチメートル、株間50センチメートルを目安に植え付けます。定植時には水を落として、活着後に湛水します。
定植後約4週間のハウス
定植後約4週間のハウス

6.栽培管理

ア.温度管理

夏場は、水温を25℃以下に管理することを目標に、梅雨明け後~9月上旬頃まで遮光率40~50%の遮光資材を張ります。9月の彼岸頃を目安に遮光資材をはずします。10月下旬頃、夜温10℃以下を目安にビニール被覆し、昼間は気温25℃以下を目安に換気します。冬期は、昼間はハウス内気温が上昇し湿度がこもりやすいので、換気に努めて生育適温の18℃を目安に管理します。

イ.除草

雑草やウキクサ類、藻類が発生すると、水の流れが停滞し、水温変化や病気の発生につながるので、適宜取り除くことが大事です。

ウ.株管理及び施肥

11月以降開花が本格化します。株元に日が当たらないと花芽が少なくなり、開花しても軟弱なものが多くなるので、黄化した古葉は適宜取り除き株元をすかせます。5月中旬頃開花量が少なくなります。採花期が終了する5月下旬~6月上旬頃を目安に、地上部を20~30センチメートル残して刈り取る「台刈り」を行います。これは多くなる黄化した葉や病葉を除去し、無駄な開花による株傷みを軽減するためです。「台刈り」後は、水を一時的に止め、6月及び9月に生育を見ながら10アールあたり成分量で窒素5キログラム、リン酸5キログラム、加里5キログラムを目安に追肥を行います。
最盛期の湿地性カラーのハウス
最盛期の湿地性カラーのハウス

2.収穫・調製

収穫適期(切り前)は、花穂が見えてやや開いたときです。採花は花茎の基部近くを手で持ち、軽くひねりながら引き抜きます。朝夕に採花し、苞を傷つけないように丁寧に作業しなければなりません。アザミウマ類などの虫がいないこと、苞が切れていないこと、斑点やシミ等がないことを注意深く点検し、規格に合わせて選別します。
5本1束にして、苞をセロファンで覆った後、茎の長さを揃えて水揚げを行います。さらに最近では、春先の日持ち向上のため、サイトカイニン系の品質保持剤の浸漬処理が行われることもあります。水揚げが完了したら出荷規格ごとに箱詰めして出荷します。

3.病害虫防除

湿地性カラーの重要病害は、冬場の「疫病」と夏場の「軟腐病」です。
「疫病」がハウスに侵入すると、数ヶ月後にはハウス全体の株が次々発病します。発病株は根が水浸状に腐り、地上部では葉を数枚残し株がわい化して健全に生育しません。汚染された場合、根本的な対策はなく、疫病耐性品種「ウエディングマーチ」、「アクアホワイト」などを利用するしかありません。
「軟腐病」は夏に水温が高くなると発生が多くなり、球根や葉柄が腐敗します。発生は散発的で、ほ場全体が発病することはあまりありませんが欠株になったり収穫が遅れたりします。夏場の遮光などで水温上昇を防ぐことや、黄化葉や腐敗株を適切に除去することで蔓延を防ぎます。
春先から晩秋までの間は、「アブラムシ類」、「ヨトウ類」、「アザミウマ類」、「ハダニ類」などの発生が見られます。発生が認められた場合は、適宜「花き類・観葉植物」に登録のある薬剤で防除します。特に夏場は管理が行き届かないことが多く、株の傷みや生育遅延の原因となるので、こまめな観察と適期防除が大切です。

4.これから

湿地性カラー栽培に関する研究は十分に行われておらず、栽培法についてはまだまだ開発の余地が残されています。産地においても高値で取引される年内の出荷量を増やすため積極的な改植や遮光、早生品種「アクアホワイト」の作付などを推進しています。県ではさらに湿地性カラーについて早生の疫病抵抗性品種の育成を進めており今後が期待されます。

初掲載:平成26年10月

君津農業事務所改良普及課
主任上席普及指導員
市東豊弘
(電話:0438-23-0299)

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