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更新日:平成30(2018)年4月11日

鉢物トルコギキョウにおけるLED照明利用の可能性

1.はじめに

鉢物トルコギキョウは、春の鉢花として母の日需要への提案として期待される新品目です。春の鉢花では、カーネーションに次ぐ新たな品目として生産者の関心も高まっています。これまでに、農林総合研究センターでは白熱灯を利用した開花促進技術を開発しており、光による生育制御を行える可能性が示唆されています。
そこで、LED(Light_Emitting_Diode)照明の特徴を利用した、新たな鉢物トルコギキョウの生育制御技術の開発に取り組みましたので紹介します。
近年、農業分野でのLED照明の利用に期待が高まっています。LED照明は赤色や青色等、単独の波長を照射できる特徴があります。一方で、一部の植物では特定の波長が照射されると、特定の部位の生育に影響することが知られています。これらのことから、LED照明を用いることで、従来の照明器具では出来なかった、新たな植物の生育制御方法の可能性に注目が集まっています。

2.育苗中の青色もしくは赤色光照射による花蕾数増加

育苗期(鉢上げ前)に青色光もしくは赤色光のLED照明を照射すると、開花が早まります。また、側枝数の多い「サファイアピンクリム」では開花時の花蕾数が増加します。一方で、側枝数の少ない「一姫ピンクパステル」では花蕾数が減少します(表1)。

表1育苗期の照射光の違いが生育に及ぼす影響
品種名 照射光 開花日 草丈
(センチメートル)
節数
(節)
側枝数
(本)
花蕾数
(個)
1番花 3番花
サファイア
ピンクリム
LED青色 5月3日 5月13日 29.8 7.0 11.8 88.3
LED赤色 5月5日 5月13日 29.8 7.3 12.0 84.1
無処理 5月9日 5月15日 30.8 7.8 10.7 75.4
一姫
ピンクパステル
LED青色 4月26日 5月4日 28.9 8.4 3.6 22.1
LED赤色 5月7日 5月11日 31.9 8.7 4.0 28.1
無処理 5月7日 5月16日 31.2 9.1 4.3 29.9

播種:平成24年10月12日鉢上げ:同年12月26日(15センチメートルポット)加温温度:15℃
照射時間:播種~鉢上げ直前まで終夜(16時30分~翌8時30分)照射

3.鉢上げ以降の遠赤色光照射による開花促進

「サファイアピンクリム」では鉢上げ以降に遠赤色光のLED照明を照射すると、従来の白熱灯よりも更に開花が早まります。しかし、草丈が長くなり、花蕾数が減少するため、間延びした草姿となってしまいます(写真1、表2)

写真1遠赤色光照射が「サファイアピンクリム」の生育に及ぼす影響(左から無処理区、遠赤色光区、白熱灯区)

表2遠赤色光照射が「サファイアピンクリム」の生育に及ぼす影響
照射光 開花日 草丈
(センチメートル)
株幅
(センチメートル)
節数
(節)
側枝数
(本)
花蕾数
(個)
1番花 3番花
遠赤色 4月27日 5月5日 33.7 28.2 7.8 10.3 65.7
白熱灯 5月2日 5月9日 31.0 28.1 7.0 10.5 61.8
無処理 5月9日 5月15日 30.8 29.4 7.8 10.7 75.4

播種:平成24年10月12日鉢上げ:同年12月26日(15センチメートルポット)加温温度:15℃
照射時間:16時間日長となるように日長延長で照射

4.育苗期の照射と鉢上げ以降の照射の併用

「サファイアピンクリム」では育苗期に青色もしくは赤色光照射した苗を鉢上げした後、遠赤色光照射を行うと、各処理を単独で行った場合より、更に開花が早まります。また、草丈は遠赤色光を単独で照射した場合と同様に長くなりますが、側枝の生育が良好となり、光照射を行わない区と同程度の花蕾数となります(表3)

表3照射光と照射時期の違いが「サファイアピンクリム」の生育に及ぼす影響
照射光 開花期 草丈
(センチメートル)
株幅
(センチメートル)
節数
(節)
側枝数
(本)
花蕾数
(個)
育苗期 鉢上げ以降 1番花 3番花
青色 遠赤色 4月24日 5月3日 32.6 26.8 7.2 10.7 71.6
青色 無処理 5月3日 5月13日 29.8 29.9 7.0 11.8 88.3
無処理 遠赤色 4月27日 5月5日 33.7 28.2 7.8 10.3 65.7
無処理 無処理 5月9日 5月15日 30.8 29.4 7.8 10.7 75.4

播種:平成24年10月12日鉢上げ:同年12月26日(15cmポット)加温温度:15℃
照射時間:播種~鉢上げ直前までは終夜(16時30分~翌8時30分)照射、鉢上げ以降は16時間日長となるように日長延長で照射

5.おわりに

今回の試験から、「サファイアピンクリム」では育苗期の青色もしくは赤色光照射と鉢上げ以降の遠赤色光照射により、開花を早めつつ、品質を維持できることが明らかとなりました。この効果は、「サファイアブルー」や「サファイアブルーチップ」でも確認されています。今後は、これらの効果を得るために必要な光量や栽培面積当たりの設置個数等、生産現場での利用を目指した技術の開発を行っていきます。

初掲載:平成26年6月

農林総合研究センター花植木研究室
研究員
中島拓
(電話:043-291-9988)

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所属課室:農林水産部担い手支援課専門普及指導室

電話番号:043-223-2913

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