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更新日:令和3(2021)年6月1日
ページ番号:442289
旭市は、千葉県の北東部に位置し、千葉市から50km圏、また都心から80km圏にあります。南部は美しい弓状の九十九里浜に面し、北部には干潟八万石といわれる房総半島屈指の穀倉地帯となだらかな丘陵地帯である北総台地が広がっています。
産業では、施設園芸、畜産、稲作、露地野菜など盛んな農業をはじめ、水産業、商業、工業など、バランス良く発展しています。
また、市内に給食センターが2施設あり、旭市第一学校給食センターでは、約3200名、旭市第二学校給食センターでは、約2200名の給食提供を行っています。
本市では、学校給食を活用した食育の実践を通して、主体的に学校給食を楽しむ子の育成をテーマに取り組んでいます。テーマの設定理由としては、食育を通して豊かな人間性を育むためには、まず児童生徒が食を主体的に楽しめることが大切であり、児童生徒が主体的に学校給食を楽しむことがその第一歩になると考えたからです。そこで、「給食が好き」「給食を週に3~4回以上完食する」を目指す姿とし、学校給食を教材化した食育を実践してきました。
しかし、新型コロナウイルス感染症対策により、給食の食べ方や学習活動に様々な影響が出ている中、従来の食に関する指導に替わり新しい指導方法が求められています。
そこで、令和2年度はICTを活用した食に関する指導の充実、及び献立の更なる充実を追加し、取組を行いました。
まず、両担任が給食を食べている様子の動画を視聴させ、本時の学習内容を捉えさせ、給食の食べ方の振り返りをしました。(ICTの活用)事前に動画撮影を行い、1組の担任にはよくかんで食べてもらい、2組の担任にはあまりかまずに食べてもらうようにしました。担任に出演してもらうことで、児童が興味を持って動画を視聴し、本時の学習への興味を高めることができました。
【資料1 視聴風景】
次に、よくかんだほうが良い理由を考えさせ、よくかむことで、(1)食べ物のおいしさがわかる(2)消化を助ける(3)虫歯の予防になる(4)記憶力のアップにつながる(5)肥満防止の効果があることを知らせました。 まず、実際に一口大のおにぎりを試食させ、1回目は10回の咀嚼で飲み込み、2回目は30回の咀嚼で飲み込み、口中の様子の違いに気付かせました。児童からは、「甘く感じる」「30回かむとドロドロになる」「飲み込みやすくなる」等の意見が出ました。よくかむことで、 食べ物と唾液が混ざり、(1)から(3)の効果が得られることを伝えました。次に、サーモグラフィ画像を用い、プリンとスルメをかんだ場合のほほやこめかみの温度の違いを示し、血流がよくなることで、記憶力の向上につながることを伝えました。
最後に、かむための具体的なポイントとして、(1)口を閉じてかむこと(2)良い姿勢(3)一口の量(4)飲み物で流し込まないことを例示し、各自実践できるめあてを設定しました。より良い習慣を身に付けようとする姿が見られ、まとめとして、実物投影機を用い、年代による咀嚼回数の変遷を伝え、弥生時代に比べて、現代はかむ回数が約6分の1に減少していることから、意識してかむことが大切であることを学習しました。(ICTの活用)
例年は、小学校全クラスに対し、栄養教諭による給食訪問を行ってきましたが、喫食状況が異なることから、給食指導資料動画(DVD)を作成し、2学期用、3学期用として各5本ずつ、市内全小学校15校に配付しました。
児童に楽しんで観てもらえるように、給食センターのオリジナルキャラクター「ぶーとん」のパペットを作成し、ぶーとんと一緒に学べる内容にしました。豚をキャラクターにした理由は、本市は全国有数の生産地であり、ふるさとの産業に愛着をもってほしいという思いからです。
ア 2学期用給食指導資料動画の内容(給食指導中心)
(ア)給食センターの紹介 ~おいしい給食の秘密~
(イ)食事環境を整えよう ~給食前の4つのポイント~
(ウ)給食当番が気を付けること ~安全に食べるための準備~
(エ)食事のマナー ~気持ち良い食事のために~
(オ)片づけをきちんとしよう ~ルールを守って手順よく~
イ 3学期用給食指導資料動画の内容(食に関する指導中心)
(ア)給食の献立はどのように決めているの?
(イ)給食の食材はどこでつくられているの?
(ウ)千葉県にはどんな産物があるの?
(エ)郷土料理って何?
(オ)もったいないって何?
【資料2 給食指導資料動画の一部】
〇オープニング
○給食センターの紹介
〇もったいないって何?
本市は、毎月の給食に、3つのイベント給食を採用しています。
季節やその月の行事にちなんだ給食を提供しています。
【資料3 WASHOKUの日給食写真】
[ ~冬至給食~ 麦ご飯 牛乳 さばのみそ煮 かぼちゃのそぼろあんかけ さわにわん ゆずゼリー ]
図書館司書の協力のもと、絵本や教科書の内容を料理として再現し、献立に取り入れています。本を選定する際は、季節感や学習計画等を配慮し、本と給食、双方の興味を高められるようにしています。
【資料4 ものがたり給食写真】
[~「参考本:ハリー・ポッターと秘密の部屋」から シェパーズパイ~
鶏ときのこのトマトソーススパゲッティ 牛乳 シェパーズパイ ブロッコリーとカリフラワーのサラダ ]
毎月19日を千産千消デーとし、千葉県内の食材を多く使った給食の提供を行っています。
また、令和2年10月19日には、県農林水産部「国産農水産物を活用した学校給食提供」により、千葉県産いせえびを使用した「いせえびいろどりグラタン」を提供しました。
【資料5 千産千消デー給食写真】
[さつまいもパン 牛乳 いせえびいろどりグラタン 旭の恵スープ ゼリー ]
令和2年度の取組としては、以下のような結果が得られました。
(1)干潟小学校5年生対象ICTを活用した授業実践より、児童は各自めあてを設定し、より良い習慣を身に付けようとする姿が見られました。また、12月に実施したアンケートでは「学校給食が好き」と答えた児童100%、「週に3~4回以上完食する」 と答えた児童78%でした。
【資料6 学校給食に対する意識調査(干潟小学校5年生対象)】
(2)ICTを活用した給食指導の実践より、干潟小学校5年生を対象とした事後アンケートでは、「給食の動画がよかった」87%、「また観たいと思う」89%と肯定的な意見を得られました。
【資料7 給食指導資料動画に対する調査(干潟小学校5年生対象)】
(3)以上、一連の学習を通して、児童はより良い食習慣を身に付け、主体的に学校給食を楽しむことができるようになり、まだ取組段階ではありますが、ICTの活用により食育が向上する可能性を示していると言えます。
昨年度、新たにICTを活用した食に関する指導に取り組みましたが、動画等を使用した情報の伝達という使い方に限らず、幅広くICTを活用することで、更なる食育の推進を図っていきたいと思います。
また、今年度は、学校給食の充実として、千葉県食肉公社(千葉県旭市)の協力のもと、「レバー食べれば、鉄人になれるプロジェクト」を始動させました。これは、コロナの影響で需要が減少している千葉県産の豚レバーを学校給食で活用し、栄養価の高いレバーを児童・生徒にも食べやすい形で献立に取り入れ、鉄人=元気になろうというものです。その中で、レバーの栄養を理解するとともに、旭市の養豚業を知る中で、ふるさと旭を愛し、誇りに思うきっかけづくりを目指しています。
具体的には、6月にはレバーペーストを使用した「鉄人ミートソーススパゲッティ」、7月には本市学校給食センター用に開発していただいた「鉄人ソーセージ」の提供を予定しています。
様々な制限のある昨今ではありますが、今後ともコロナ禍だからこそできる食育を工夫し、学校給食を楽しむ子どもの育成に努めていきます。
文責 旭市立干潟小学校 旭市第一学校給食センター 栄養教諭 石井 幸恵
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