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更新日:令和6(2024)年1月19日

ページ番号:461584

ちば県民だより(令和3年10月号)2面

スポーツを通じて 広がる世界
パラトライアスロン 秦 由加子(はた ゆかこ) 選手

プロフィール 1981年4月10日生まれ。千葉市出身、和洋国府台(わようこうのだい)女子高校卒。キヤノンマーケティングジャパン・マーズフラッグ・ブリヂストン所属。東京2020パラリンピック6位入賞。

周りの視線が怖かった

13歳で骨肉腫(こつにくしゅ)を発症し、右脚を切断。当時は障害があることが恥ずかしく、人前に出ることも苦痛でした。社会人になってから、自分を変えたいといろいろなことに挑戦。子どもの頃好きだった水泳を再開しましたが、周りの視線が気になってプールサイドに長くいられず、「大好きだった水泳でさえ楽しめないのか」と思うと苦しかったといいます。

障害があっても人生楽しいよ

大きな転機となったのは身体障害者の水泳チーム「千葉ミラクルズSC(スイミングクラブ)」との出会い。チーム代表の上田さんは自分と同じ障害を持っていましたが、生き生きと大好きな水泳を楽しんでいました。「これから一緒に水泳をやって、どんどん人生が楽しくなるよ。」そう声を掛けてもらったことが忘れられない、全ての始まりだったと当時を振り返ります。

「義足、かっこいいかも?」

障害を持つ仲間との出会いを経て、本格的に水泳を再開し、2013年に32歳でトライアスロンに転向。「毎日が挑戦の連続で、大変だけど、すごく楽しい」といいます。

競技のために義足の長さや角度を調整したりする中で、初めて義足にも愛着が湧きました。「見方を変えれば、義足もかっこいいんじゃないか」と思えたといい、ずっと隠していた義足も、気にせずに外出できるようになったそうです。

競技を通じて 広がる世界

年齢や障害、国籍もさまざまなトライアスリートたちとの出会いも秦選手の世界を広げていきます。

「それぞれが自分なりの楽しみ方で競技に向き合う姿は憧れだし、海外では、失敗を恐れずに人生を楽しむ人たちが印象的だった」という秦選手。「競技はやって終わりではなく、それを通じて人生を豊かにするもの。多くの人と出会い、その考え方に触れたい」と話してくれました。

「知ること」が希望につながる

最後に語ってくれたのは「知ること」の大切さ。「障害は人それぞれで、一人を知っただけで全ては理解できないけれど、一人を受け入れた経験が、他の障害を受け入れることにつながる。自分や、周りの大切な人が障害を負ったときにも、障害について知っていることが自分の希望にもなるし、大切な人の気持ちに寄り添うことにもつながる」と力を込めます。

これからについては、「私を目にした人が、体を動かしてみようとか、車いすの人が外に出てみようとか、小さなきっかけになれたら嬉しい。誰もが心地よく暮らしていける社会に、自分ができることをしていきたい」と笑顔で語ってくれました。

スポーツチームの絆 千葉ミラクルズSC(スイミングクラブ)

2008年に結成した、身体障害者の水泳チーム。千葉県国際総合水泳場(習志野市)を拠点に活動。

今年3月の日本パラ水泳選手権大会では、メドレーリレー、フリーリレーで全国優勝。東京2020パラリンピックにも、秦由加子選手ら3人のメンバーが出場した強豪チーム。

約20人のメンバーで活動する千葉ミラクルズSC(スイミングクラブ)。先天性の方や病気・事故等で手足に障害を持った方など、メンバーの障害はさまざまですが、「日本一のチームになる」という同じ目標に向かって、日々練習を重ねています。

ビート板やシュノーケルを使い、自分の体の動きに合わせた練習を行うメンバーの皆さん。練習中は笑顔が絶えません。リハビリをきっかけにチームに参加したメンバーは、「お互いがサポートし合いながらの練習はとても楽しい」といいます。障害により激しい痛みを感じるときなども、メンバーが前向きに頑張る姿に、自分もまだまだ頑張れると励まされるそうです。

チーム代表の上田孝司(うえだ たかし)さんは、なんと55歳でも現役で活躍中。「若いときのような体力はないけど、チームの代表として恥ずかしい姿は見せられない」と意地を見せます。今後は、身体障害者だけでなく知的障害者もメンバーに迎えたり、初心者を指導するような活動にも幅を広げて、水泳の楽しさを多くの人に知ってほしいと語ってくれました。

県立幕張総合高校がインタビュー動画を作成しました
※特定非営利活動法人 映画甲子園が公開しています

水越ほの香(みずこし ほのか)さん

脳症後遺症による右半身麻痺。中学からチームに参加。

目標を持って頑張るメンバーを見て、障がいがあっても全てが悪いことではなく、頑張れる道があるんだと前向きに捉えられるようになりました。千葉ミラクルズと出会えたこと、そしてその仲間と水泳をできてとても幸せです。

四宮恭代(しみや やすよ)さん

両側股関節の機能障害で歩行困難に。リハビリをきっかけに参加。

前向きな人々に触れて、今までなかった自分の生きる方向を見つけられました。世界レベルの選手と一緒に練習できたことも生涯の宝物です。障がいのおかげで多くの出会いや学びがあり、今はこの障がいに感謝しています。

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