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更新日:令和3(2021)年4月5日

ページ番号:20542

知事定例記者会見(平成19年9月20日)概要

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知事定例記者会見概要

日時

平成19年9月20日(木曜日)10時30分~11時10分

場所

本庁舎1階多目的ホール

発表項目

  1. 『(仮称)千葉県良好な景観の形成に関する条例骨子案』の公表及びパブリックコメントの実施について
  2. ピンクリボンキャンペーンについて
  3. 「ちばプロモーション協議会(仮称)」設立総会の開催について

 知事発言

舛添厚生労働大臣の視察ついて

(知事)

皆様、おはようございます。記者会見を始めさせていただきます。

昨日は舛添厚生労働大臣が千葉にいらっしゃいました。あんなに盛大な記者会見が行われるとは思ってなかったのですが、皆さんも現場まで来てくださってありがとうございました。

私が一番印象に残ったことは、11日に全国知事会と大臣との面談があったわけですが、その場で「千葉へ行きますからね」と一言おっしゃった。それから1週間たたない間にもう実行に移されるということは、これから内閣改造があるからかもしれませんけども、それにしても早いなと思いました。

皆様もお聞きになったと思いますが、昨日は妊産婦の救急体制、特にお産を前にして、切迫流産とか、急にぐあいが悪くなるようなこと、いろいろな怖い病気がお産は時として伴いますので、そういったときの救急体制について、私の受けた印象では、男性だけど、私よりも産科婦人科については大臣の方がお詳しいのかなというぐらい、産婦人科学会と連携をとっていろいろやっておられるということでした。

私の方からお願いしたのは、千葉は大変広いので、今、ドクターヘリが1機あるんですけれども、もう1機ぜひとも、本当の意味で今、救急を迅速にやるんだとすれば、車での搬送ということになると、長いときは40分、50分かかります。ヘリが来たら、それが15分、20分で着けるということもあるし、もう一つは、ドクターがヘリに乗っているので、どういう措置が病院に着いたら直ちに必要かということの連絡もとれるので、そういう意味では、本当に緊急の場合、ドクターヘリが重要だということも話をさせていただきました。そして何よりも医師不足について、病院のほうとも大いにみんなで話し合った。短いご視察でしたけども、大変内容の充実した視察をしていただけてよかったと思っております。これは、ドクターヘリをよろしくお願いしますという陳情書を大臣に渡しているところですね。

 産業廃棄物処理施設の許可制度の改善に向けた環境大臣への要望について

(知事)

では、次の話題に移らせていただきます。一昨日、環境省の小林光官房長に緊急の要請をしてまいりました。皆さんもよくご存じですけれども、その要請をした大きな理由は、県民の生活に大きく影響する産業廃棄物処理施設を設置する際の許可基準を定めた法令に不明確な点があるので、これを改善していただきたいという緊急要請でございます。

そのもととなったのは何かというと、先月の千葉地裁の判決です。旭市、銚子市、東庄町にまたがる民間の産業廃棄物処理施設の設置事業者に対して行った許可について、県の許可を取り消す一審の判決がありました。こうした行政訴訟で県が敗訴したのは全国で初めてのケースでございます。

千葉県では、この許可に当たって、現行の制度で決められた提出書類に基づいて可能な限り審査を行い、そして、その判断をした上で許可をしております。

しかし、この判決では、設置事業者の経営状況について、申請書類として提出されているか否かなどだけではなくて、県は知る知らないにかかわらず審査すべきということで、法の枠を超えた審査を県に要求するものとなっています。例えば簿外債務、あるいは登記簿の第三者債務といったような、これは行政としての調査権限がございません。そういったことまでを求めて結論が導かれているわけなので、私たちとしてはどうしても納得がいかない。地域の皆様の立場、あるいはご意見、十分わかっておりますけれども、この判決をそのまま認めることは、我々県の立場としてはできない状況にございます。

審査基準が不明確な現行制度の問題を何も解決しないでそのままにしておくことは、将来の産業廃棄物行政の運営が大変難しくなってきてしまう可能性があります。そこで、控訴に踏み切りました。

その意味で、今回の判決は、現行制度に改善すべき点があることを示していると言っても過言ではないと思います。今後、同じようなケースについて的確な審査をするためには、設置事業者の経営状況等を具体的、客観的に審査することができるような基準の明確化が必要で、今回の緊急要望になったわけですが、国のほうとしては、ぜひともこうした要望に早く答えていただきたいと思っています。

もう一つ、これのほかにあわせて行った要望は、産業廃棄物処理施設の設置許可の基準の一つである「周辺への適正な配慮」の具体的な範囲や内容を明確にすること、それから、地域の実情に応じた取り組みができるように、都道府県等の裁量の拡大についてもお願いをしてきました。これは八都県市からお願いもしているところです。

そして、千葉県では、ご存じのとおり産業廃棄物の問題は本当に大きくて、不法投棄もとてもあって、今まで不法投棄をなくすために力を入れてきました。この5、6年で、グリーンキャップとか、制度を改正したことなどによって大幅に改善はされているのですけれども、まだまだ解決しなければならない問題が、法規上も、それから現場での具体的な対応と、両方の面でまだまだあると思っています。いずれにしても、県民の皆様が安心、そして安全に暮らせるように、そして千葉県の環境を守るために、これからも県としても努力していきたいと思いますが、国にもそのことがきちんとできるような法制度を整えてほしいと強く思っております。

 『(仮称)千葉県良好な景観の形成に関する条例骨子案』の公表及びパブリックコメントの実施について

(知事)

では、次へ参ります。このほど千葉県の景観条例の骨子案がまとまりました。この骨子案は、今月5日に「千葉県の景観に関する条例検討委員会」からいただいた提言の趣旨を十分に踏まえてつくりました。

海の景観もあれば、里山の風景もありますけども、今、多くの人たちがそういった自然、あるいは街並みなどの美しさに感動を覚えていると思います。それだけに景観についての関心が高まってきています。平成16年には「景観法」が国のレベルで制定されたことなどを背景にして、全国各地で景観についての取り組みが、条例づくりなどが活発に進んでいます。

こうした中で、千葉県ももちろん一生懸命やり始めております。県民の皆様とのタウンミーティングを数多く開いて、ご意見を伺いながら条例の制定に取り組んでまいりました。

今回まとまった条例の骨子案の主な特徴を申し上げたいと思います。

まず、1つ目は、景観づくりの担い手を育て、地域の財産である「景観」を次世代に引き継いでいくという「育成」という考え方をこの条例の随所に散りばめているところです。

次に、2つ目です。県民の皆様や事業者の方々が県と一緒になって、自主的、主体的に景観づくりに取り組めるよう、それぞれの役割などを明確にしております。

3つ目です。地域住民やNPO、事業者の方々の景観づくりの取り組みを認定し、県から助言や専門家の紹介などをする制度や、事業者の方と県が直接、良好な景観に関する協定を結ぶ制度を創設する点です。

今、この時点で大変誇らしく思っていることは、これらの特徴は千葉県独自の制度で、地域の景観づくりを活性化させるためにつくったものでございます。

今回まとまった景観条例の骨子案については、明日の21日から10月22日までの約1カ月間、パブリックコメントを実施いたします。どうぞ皆様、積極的に、ご自分自身の問題だと思ってご意見を寄せていただけたらうれしく存じます。

千葉県には、他の都道府県にない、そう、九十九里の海岸線、長いですね。そして、本当に私は農村の原風景といつも思ってますけど、里山、里海の風景があります。そうかと思うと、昨日も大臣と一緒に鴨川へ行く途中も、本当にうっそうとした森林が続いているかと思えば、今度、香取のほうへ行けば、江戸の街並みがあるといったふうに、いろいろな景観があります。

これを守って、育てて、そして継承していくためには、県民の皆様一人ひとりがこれを守っていこうという積極的な意思を持っていただくことが何より大事だと思っております。これは行政が守るでもなければ、だれか業者が守るのでもなくて、県民一人ひとりが本当にこの景色、この自然、この街並み、この住みやすさ、そういった景色や風景を守っていこうという強い意思が結集したときに、本当の景観を守る、そういった条例や法律が機能するのだと私は思います。県民の皆様お一人ひとりにぜひとも、今の景色をもっといい景色にしようというぐらい欲張って考えていただけたらと思います。

 ピンクリボンキャンペーンについて

(知事)

次に、がんのお話です。がんの中でも乳がんのお話でございます。千葉県では、若い女性の乳がんに対する関心を高めるために、積極的に検診を受けていただくピンクリボンキャンペーンを始めます。

ピンクリボンキャンペーンによるこういった活動は、1980年代にアメリカで乳がんで家族を亡くされた方が、このような悲劇が繰り返されないようにとの願いを込めてつくったリボンから始まったもので、千葉県では今回が初めてです。

私はカナダでの世界乳がん大会に出たことがあるのですが、日本よりも乳がんの発症率がとても高くて、8人に1人が乳がんになるというのがアメリカからカナダでの当時の状況でございました。何とかしてそういった状況をなくそうということで、世界大会で5万人もの人が集まって、本当に大きな大会でした。結構男の方もいるのですね。どういう人かと思ったら、乳がんで妻を亡くした、あるいは娘を亡くした、あるいは男性の医師でございました。みんな明るいんですけど、どこかとても重い空気があったのを今でも覚えています。そして、皆さん本当に熱心に議論をして、女性の科学者、あるいは専門の医師なども、女性の立場から、そしてさっき申し上げた男性の方たちもみんな協力して、どうやってなくしていこうかという本当に大きなキャンペーンでした。

そのことを改めて私は今思い出しているのですけれども、乳がんで一番つらいことは、先ほども申しましたように、若い女性に多い。結婚していない女性の場合も、結婚していたり、あるいはもうお母さんになっている女性の場合もたくさんあります。そのために、ある日突然、本当に小さい赤ちゃんや、まだ幼い子供たちが残されるという事態が起きるのです。ですから、どなたが亡くなってという比較はできません。しかし、お母さんが亡くなった後の子供たちのことを考えると、お母さんになる人も、お母さんである人も、できるだけ検診をしていただいて、自分がそのような立場に立たない努力をしていただくことがとても大事だろうと思っています。

千葉県では、がんで亡くなった方が去年は1万3,750人でした。お亡くなりになった方の実に3人に1人ががんで亡くなっているということです。特に乳がんでかかる方は年々増えております。昭和62年と比べると2.7倍、約3倍になっていて、1,457人。この1,457人の方たちの中には大勢のお母さんたちがおられたと思いますが、そのような増え方をしています。

他のがんと比較して、若い女性に多いということがとても深刻なのです。若い女性の人たちは、自分はがんになんかならないと思っておられるかもしれないけれど、早期に発見すれば、今は治癒が可能です。手遅れになってしまったときに本当に大変なことになるのですけど、早くに見つければ大丈夫なので、何が大事かといえば検診でございます。

そこで、今回、若い女性の方が多く集まるのがサッカー場ということですけども、野球場のご協力もいただいてキャンペーンを行います。今回は、今月の23日に柏レイソルのホームグラウンドである日立柏サッカー場で、また24日にはロッテマリーンズのホームグラウンドの千葉マリンスタジアムで、乳がん検診を受けるように呼びかけのイベントを行います。そして、さらに30日にはジェフユナイテッド市原・千葉のホームグラウンドであるフクダ電子アリーナでキャンペーンを行います。

千葉県では、平成16年度に独自の「乳がん検診ガイドライン」を策定いたしました。全国に先駆けて、毎年30歳以上の方を対象とした超音波検診を導入するなど、効果的な検診を進めております。

平成17年度の乳がん検診の受診率、乳がんの検診を受けてくださった方は、全国平均の17%を上回る23%になっていますが、さらに検診をお受けいただく方を増やしていきたい。そして皆さんにぜひとも自分のためだと思って、子供のためだと思って、夫や父親、母親、みんなのためだと思って、まずは検診を受けていただきたいと思います。何ともなければそれで安心できますし、何か見つかったら、本当にすぐにでも治療をしていただきたい。いつまでも健康で生き生きと暮らすために、ぜひご協力ください。とても積極的にキャンペーンのお知らせをさせていただきましたけども、本当に訴えたい気持ちでいっぱいです。1,000人以上のお家で悲しい思いをしていることを思うと、どうぞそういうことのないように、これからもお願いいたします。

 「ちばプロモーション協議会(仮称)」設立総会の開催について

(知事)

次に、ちばデスティネーションキャンペーンのことでお話をしたいと思います。オール千葉県で観光立県を継続的に発展させるために、「ちばプロモーション協議会」を今日午後、設立いたします。

デスティネーションキャンペーンはおかげさまで成功しました。この協議会は、行政や観光の関係者だけではなくて、企業やNPO、大学など、幅広いセクターにご参加いただいております。さまざまな分野で十分に活用されていない観光資源の掘り起こしや、ちばデスティネーションキャンペーンでの反省を踏まえ、反省というのは、こういう点をもっとよくすればよかったという点が幾つかあったのですが、反省というよりも気づきと言ったほうがいいかもしれませんが、点ではなくて、これからは線から面へと広げていこう、広域連携に取り組もう、県の広域連携をしたときに、ずっと観光の形が変わっていくと思います。そういった広域的に連携した観光にぜひとも取り組みたいと今考えています。

このような活動により千葉県の魅力を磨き上げ、県内の観光地に多くのお客様にいらしていただきたい。もちろん県内の都会の部分から、県内の海辺や里山を訪ねてくださるのもとてもすてきなことだと思っています。

また、今年度の観光の総仕上げとして、来年の1月から3月にかけて、千葉県全域を対象とした早春キャンペーンを実施いたします。この時期にあわせて、JR東日本も千葉の重点的な売り込みに取り組んでいただけるということです。ミニDCなんて言っておりますけども、千葉の観光を総合産業としてより確かなものにするためには、このことがとても大事だと思っています。

そうした意味でも、牽引役となるこの協議会の持つ役割は非常に重要であり、県民の皆様と一緒になって観光振興を推進していきたいと考えておりますので、よろしくお願いをいたします。

私からの発表は以上でございます。

 

 質疑応答

かかりつけ医キャンペーン等について

(記者)

9月県議会が明日から始まりますが、それに向けての意気込みというか、どういう気持ちで迎えられるのかというところが1点と、あと、昨日の舛添大臣との記者会見の中で、かかりつけ医キャンペーンを行いたいとおっしゃったと思うのですが、そのキャンペーンは具体的にどのようなことをなさりたいとお考えなのかを教えてください。

(知事)

はい、わかりました。9月議会、21日から、もうすぐです、明日ということですね、始まります。一番の意気込みというか、この議会の大きな一つの局面というのは、安倍内閣が退陣されて、総理が決まるのが25日でしょうか。私たち地方から、財政の問題だけではないのですね、もっと包括的な意味での地方の分権ということを確かなものとするために、新しい総理に期待を申し上げたいと思っています。知事だけではなくて、議会全体として、そのことについての関心を大いに盛り上げていただきたいということが1つ。

それから、今度は新しく当選された議員さんたちからの質問もたくさん用意してくださっているように思いますので、本当に新鮮な議会での質疑が展開されることを期待しています。

それから、かかりつけ医のことですけども、これは本当にこれから大事なことで、風邪を引いたからといって病院へ行くということではなくて、病院の周りに大勢かかりつけ医がいるということがとても大事なのですね。それは産科の場合も言えることで、産科のかかりつけ医がいることがとても大事。その場合、産科専門のドクターであるべきなのか。昨日の鴨川の亀田総合病院のケースでは、「家庭医」という言い方でおっしゃっていて、出産を控えた方たちもそこに何人も来ている。そして内科も外科も、あらゆる科を、12人、それぞれ専門性を必ずしも持っているということではなくて、そこで家庭医の育成をしているのだというのが亀田さんのほうのおっしゃり方でしたけど、そういった形で、あらゆる科の方たちをそこで診て、検診を受けたり、あるいは診察を受けたり、昨日、テレビ電話で私も話させてもらったのですが、館山の家庭医とのテレビ電話だったのですけれども、難しいことがあった場合には鴨川に専門医がいるので、そこに要請をして、どういうふうに対応したらいいかということを相談する。こういう機能があると、ご自分の専門性以外の科の問題でもそこで対応できる。それから、いざというときは、その親病院と言ったらいいのでしょうか、核の病院のところへ搬送して、そこで手術を受けるとか、そういうこともできるということで、非常にいい、機能的な形だと思いました。

亀田総合病院を中心として、そういった形での展開がされているのですけども、同時にオール千葉でも、今、利用者、要するに県民一人ひとりの視点から、医療を提供する、供給するほうの側の論理ではなくて、いわゆる患者さんや健康な人なら県民なのですが、その側で、そういった家庭医から、急性期の病院、今度はリハビリの段階、あるいは療養するような施設、あるいは家庭に帰った場合に、どういう形で往診とか、また家庭医のところへ戻れるかといったような循環型の医療の体制、それを健康づくり、医療、福祉ということを結びつけて今、展開しようとしています。

昨日、大臣にも、千葉ではこういう形で展開しようとしているので、それが時として国のほうが、高齢者だ、障害者だ、病気の問題というふうに縦割になっているので、現場でもってどうぞそういう展開がやりやすいような形を国としても努力していただきたいというお願いをしました。

産業廃棄物処理施設の許可制度の改善に向けた要望等について

(記者)

産廃処分場の関係で2点お聞きいたします。1点目なのですが、2日前に環境省に行かれたということなのですが、まだそんなに日にちがたっていないと思うのですが、環境省側から何らかのフィードバックというか、反応があったのかどうかということと、2点目は、今までおっしゃったことと重複するかと思うのですが、今回の選択肢としてなのですが、現行の法制度、法律に問題があるという主張はよくわかるのですが、控訴しないで環境省にこの問題点を主張されていくという選択肢もあったというような話を住民団体の方がされているのですが、その点に関して、環境省に主張していくだけではなくて、あえて控訴に踏み切ったことについて、理由をもう一度お聞かせいただければと思います。

(知事)

1つ目は、検討しますということで、そこから先のお返事はまだいただいていません。

それから、2番目のことですけども、控訴しないで国に訴えていけばいいのではないかということについては、その場合には今の経理的基盤が不十分であった。そして、簿外債務とか第三者債務についても調べなければいけないということをこちらが認めたということになります。その判決で確定しますと、千葉県内はもちろんですが、全国、判決というのは必ず前例を重んじますから、それが通用することになる。そうすると、一体どういう基準で判断をしたらいいのかということが非常に不明確になってしまう。ですから、先ほどまさに申し上げたとおり、産廃行政の運用という面で、これから混乱と申しますか、私、さっきは「難しい」という言葉を使いましたけども、運用が難しくなる。そういう状況にありながら、行政としてそれを是として認めるわけにはいかないということです。ですから、控訴審の中でも、そのことをしっかりこちらとしては主張していかなければいけないわけです。

ですから、原告の方たちの、あそこに産廃場がつくられると困る、飲み水の問題なのだという立場やご意見、それは先ほども申しましたように十分理解はいたします。しかし、行政は、海上のあの産廃場だけではなくて、これからたくさんある産廃の処分場それぞれに許可を出したり、不許可にしたりすることの判断を担当者は迫られるわけですが、今の判決の内容で言いますと、その都度、大変不明確です。ですので、そこのところをきちっと国のほうで決めてくれない限り、あるいは県で条例化でもしない限り、私たちは産廃行政を展開していかなければならない立場として大変困るわけで、それが控訴の意味です。

医療の財源問題等について

(記者)

昨日の視察の関係と絡むのですが、医療の崩壊を防ぐためには財源問題を逃げてはならないという話を舛添大臣がなさったわけですが、千葉の場合もかなり医療では問題を抱えていることはあると思いますが、国全体の問題ではありますが、千葉県知事として、地方のほうからのそういう動きを期待される発言もありましたが、舛添大臣のそういったお考えについてはどうお考えでしょうか。

(知事)

本当にこれは難しい問題で、日本の場合には皆保険ですね。その中にいろいろな保険があります。国民健康保険もあるし、共済の保険もあるし、いろいろな保険があるのですけれども、それが一本化されていないということが一つの問題。それから、保険だけではとても足りなくて、国の予算から医療費が出されていますが、それが国家予算の中で一番大きいです。全部で今どのぐらいでしょう。去年ぐらいまでは32~33兆円だったと思いますけども、それは国家予算の中で一番大きい割合を占めています。今、正確な数字は覚えていませんが、国の予算と保険と両方まぜてそういう大きさです。

しかし、GDPの中での医療費のパーセンテージを見ると、決して欧米諸国ほど大きくない。例えばイギリスのように徹底して全部税金でやろうという国だとか、アメリカのように逆に民間の保険で徹底的にやろうとしている国だとか、そういうところがありますけど、日本は両方合わせているものですからピンク色になってしまって、赤の国と白の国があるとすれば、制度が2つ一緒になってしまって、どこで増やすのかという問題です。保険料を上げるのか、あるいは税金で使う部分を増やすのか。昨日、何度も舛添大臣がおっしゃいましたけども。

ですので、日本の医療保険の制度を根本から、構造的なところからどう変えていくのかという話を昨日おっしゃっていて、私も医療制度改革に相当深入りしてかかわっていたものですから、そこのところは本当に嫌というほどわかりました。今は微調整でやっているのですね。少しずつそこの予算を増やすとか、医師を減らすことによって予算を減らそう、それからベッド数を減らすことによって予算を減らそう、そういったことが続いてきた結果、今の徹底した医師不足という、「医療崩壊」という言葉を昨日は使いましたけども、医療崩壊のほうに転がるようにして向かっていってしまっている。これは非常に困る状況で、県の段階でそこの構造改革はできないのです。やはり国の制度なのです、保険制度という。ですから、医療保険の制度、介護保険の制度、その両方が抜本的見直しというよりも構造的な改革をしなければどうにもならないだろうと思います。

海の向こうのアメリカでも、ヒラリー・クリントンが保険制度の改革ということで、最大のイシューになってきているというふうに報道されていますけれども、日本でも、もしかしたら今、国民の最大の関心事は医療の問題かもしれません。そういう目で見ますと。

県の方として、財政問題はどうかとお聞きになりましたけども、医療税制などというものを県単独でできるかというと、緑税制などというのはあるのですけども、余り医療税制などというのはないし、そういった財政的な問題、それから、何度も大臣が言ったのは、県民、そして国民の理解が必要だということは、増税をしてでも、もっと医療費を増やさなければいけないという観点からおっしゃったのだと思います。保険で増やすのか、税で増やすのかというところはありますけれども、減らす方向性はもうこれ以上だめです。減らしたら、本当に国民が悲鳴を上げてしまう。だから、そうではなくて、どういう形で財源を確保していくのかというところが問われているということが返事になるのでしょうか。

羽田の国際化等の空港問題について

(記者)

空港問題に関してなのですが、今月末に羽田-上海のチャーター便が運航するということで、羽田の国際化の問題がまた浮上するかなと思われるのですが、羽田も成田も、両空港とも、今後拡張しても容量不足が予想される中で、今後も成田の役割は大きいとは思われるのですが、それに関して、新政権に対しても、内際分離という原則は堅持すべきということを県としても引き続いて主張されるのかどうか、その理由をまた改めてお聞きしたいのです。

(知事)

現状で申しますと、もし羽田を国際化した場合、国内便を減らすという形でしかできません。そういった場合に、岩手とか新潟とか、そういうところの知事さんも、それは困るという声を大変に上げておられます。ですので、これも国の空港行政の根幹にかかわる問題ですけども、どのように日本の空港行政をこれから10年、20年、30年後まで見据えて展開していくのかということになっていくと思います。

その場合に、国内便、国際便、両方を考えた場合、騒音の問題もあるし、それは抜きにはできないです。例えば、どんどん増やしていくというときに、本当に東京都の上空から着陸するとか、神奈川県を通って着陸するということを容認できるのかどうか。全部千葉の上というわけにはいかなくなると思うのです。その辺のところまで考えたときに、どういった空港づくりが可能なのかというところまで大きな問題になっていくとは思いますけども、少なくともこの10年ぐらいの間のことを考えたらば、私は国際空港としての機能を成田は今も果たしていますし、これからも、そういった国際空港ということを国が少なくとも現段階でははっきりと決めているわけですね。

だから、内際分離の見直しはしないということを国交省が言っている以上は、成田空港を擁している県としては、その国の方針に従って、精いっぱいいい形での国際空港の機能の拡大ということも、これは会社、あるいは国がすることですが、それを見据えて、我々としては国際空港都市をきちっと確立していくと。

今までどちらかといえば、いろいろネガティブなものをしょってきました。でも、ここでは相当大胆な意識改革が、成田の市民、あるいは周辺の市民にも必要だし、私たち県としても前向きに、ブレーク成田というのが、本当に魅力がある、その魅力ゆえに、やはり成田はすごく大事だと、そして首都圏の機能を成田と羽田で有機的な連携の中で果たしていくのだということをはっきりわかるような形で示していきたい。それは政策的に実現することとしての内容もお示ししなければいけないし、そういったことが、宣伝合戦という言葉がありますけども、まさに合戦にはなっていると思うのです。空中戦になっていると思っています。羽田国際化絶対論、成田限界論みたいな空中戦が展開されている。でも、私たちは、そういった広報の、広報というよりもむしろ宣伝合戦みたいな、いささか空論のところもあるわけです。本当にきちっとした航空事情、空域の問題とか、物流の問題とか、貨物の問題とか、顧客の場合とか、いろいろなことを十分に知った上での議論ばかりではないように思いますので、私たちもきちっと理論武装して、その上で成田の主張をきちっと貫いていきたいと考えています。

松沢神奈川県知事の「羽田・成田のリニア新線」構想について

(記者)

今の話に関連してちょっとお伺いしたいのですが、羽田と成田の国際化という話で、先日、神奈川県の松沢知事が成田と羽田のリニアシステムの構想を出していますが、それに関しての知事のお考えを教えてください。

(知事)

ビジョンとしてはよろしいのではないでしょうか。ただ、それには膨大な予算を必要とするし、ちょっと夢物語かな。松沢知事が雑誌を送ってくださったのですけども、一体化というよりも有機的な連携なのですね。それには圏央道とか、成田新高速とか、首都圏をずっと取り巻く、飛行機だけではないと思うのです。その中での、どういうふうにお客様や貨物を輸送するか、どこで倉庫をつくるかとか、いろいろなことがあります。リニアモーターカーは大変速くてよろしいかもしれない、成田まで羽田から通すということは。前にも盛んにおっしゃっていたのですね。

だけど、現実的なのは圏央道だと思っています。圏央道が成田まで行くと、1時間切るというのです、羽田-成田間。そうすると、ヒースローとイギリスの国内空港もちょうどそのぐらいなので、アメリカでもそうですね、ケネディー空港のほかに国内空港ありますけども、40~50分というところの空港は幾らでもあります。ですので、首都圏の空港の機能としては大変よろしいのではないか。それだけに圏央道の建設は、羽田の4本目、あるいは成田の北伸が完成するまでにはぜひとも、成田までは、それまでにちょっと届かないかもしれないけど、できるだけ伸ばしてほしい。それから、成田周辺の道路、同時に今度は東京へ行くための成田新高速鉄道と北千葉道路、これを有機的に結んでいったときに、例えば湾岸の車も随分そっちへ回るようになると空いてくるかもしれないし、首都圏全体の交通事情にも影響してくると思います。ですから、空の問題と陸の問題とを立体的に考える、そんな次元にもう来ているのかなと思う。私のほうは相当プラクティカルで、現実的なことで、とにかく圏央道、圏央道と言っているのですけど、松沢さんはちょっと夢物語かな。だけど、発想としてはよろしいのではないかと思っております。

(記者)

今後、八都県市とか首都圏サミットでそういう話が松沢知事から恐らく出てくるのかなと思うのですが、やはり圏央道とか、そちらのほうを知事としては主張していかれるのですか。

(知事)

別にこれは競合しないのですよ。リニアモーターカーか圏央道なのかという選択ではないです。夢物語としてリニアモーターカーもいいのではないか、現実の問題としてはやはり圏央道は八都県市でどんどん進めようねという、目の前の政策と、ちょっと50年か100年先を見据えての政策の時差がありますから、そこで対立する必要は全然ないと思っています。

内容についてのお問い合わせ先

  • 『(仮称)千葉県良好な景観の形成に関する条例骨子案』の公表及びパブリックコメントの実施について
    →県土整備部公園緑地課【電話】043-223-3279
  • ピンクリボンキャンペーンについて
    →健康福祉部健康づくり支援課【電話】043-223-2666
  • 「ちばプロモーション協議会(仮称)」設立総会の開催について
    →商工労働部観光課【電話】043-223-2419

お問い合わせ

所属課室:総合企画部報道広報課報道室

電話番号:043-223-2068

ファックス番号:043-225-1265

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