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更新日:令和6(2024)年3月15日

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平成29年度第1回景観セミナーの開催結果

平成29年度第1回景観セミナーは、千葉県、銚子市の主催により、また一般社団法人千葉県建築士会の後援により、銚子市で開催しました。

銚子市教育委員会から、日本遺産に認定された北総四都市のうち、今、江戸を楽しむことが出来る銚子の魅力について御紹介いただきました。その後、地域で活躍されているパネリストの事例紹介やパネルディスカッションにより、銚子市のこれからのまちづくりについて意見交換を行いました。

「日本遺産・北総四都市江戸紀行 ~江戸を感じる銚子の町並み~」

日時:平成29年5月27日(土曜日)14時00分~16時35分
会場:銚子市保健福祉センター
内容:日本遺産の紹介、事例紹介、パネルディスカッション

開催案内チラシ(PDF:929KB)

日本遺産の紹介「北総四都市江戸紀行 今、銚子の町で江戸を楽しむ」

説明者:銚子市教育委員会生涯学習スポーツ課 赤塚弘美氏日本遺産の紹介

江戸時代は銚子が大きく変化した時代である。紀州から人が移って来て、醤油や新しい漁業が銚子に伝えられ、利根川の東遷があって、いろいろな都市から人が集まって来る。

その利根水運によって江戸から多くの人々が来て、磯めぐりを楽しむ、そして銚子が大いに賑わった。

今ある景観は銚子の風土に結びついた江戸時代から流れている歴史の延長線上にあると言える。私たちが知っている銚子の歴史、大地の物語を思い出して、景観と重ね合わせることで、自分たちの今と江戸をつなぐ物語が出来ると思う。

そしてその地域のことを知るという楽しみが、景観をはじめそれに関わる文化的な資産を大切だなという気持ちを改めて芽生えさせてくれるものになっていくと思う。

大切だという気持ちが、「外川の町並みをどうしていこう」「どうやって守っていこうかな」「自分になにか出来ることはないのかな」というようなことにつながってくると思う。

それをいろいろな形で伝えるというような楽しみを見つけていくことにつながってくれば、日本遺産の活動が充実していくのではないかと考えている。

事例紹介・パネルディスカッション

コーディネーターコーディネーター

  • 金島弘氏(一般社団法人千葉県建築士会)

パネリスト

  • 越川奏一氏(一般社団法人千葉県建築士会)
  • 向後功作氏(前銚子市観光プロデューサー、総務省地域力創造アドバイザー)
  • 石毛宏幸氏、堀美澪氏(千葉県立銚子商業高等学校「銚商夢市場プロジェクト」)

(1)事例紹介

越川奏一氏

越川氏の事例紹介

建築士の地域貢献ボランティア活動として「外川のまちづくりを考える会」を立ち上げ、外川の住民が「安全で、安心して、住み続けられるまちづくり」を提言することを目的に、まちづくり関連の活動を始めた。

銚子は利根川によって江戸とつながることとなり、東北各藩から送られてきた米などの積み替えを行う流通港として重要度を増し、商業や文化も栄えたと伝えられている。

外川のまちの恩人である崎山治郎右衛門が明暦2年に銚子に来て、この地をイワシ漁の拠点とすることに決めた。治郎右衛門は、外川の港の築港と外川のまちの建設のお許しを領主の松平下記から戴いた。

建設費用は莫大だが、10年ほど豊漁が続き、大金を手にしていた治郎右衛門は全ての工事費用に私財を投じて負担した。

外川港の建設にあたって、治郎右衛門は港が砂で堆積しないようにと、風と潮流を研究した。そして自然の力を巧みに利用して、砂の堆積を防いだ。

港を抱くようにして造られた石造りの防波堤は、長さが80mほどあったが、堤防の岸に近いところを3mほど空け、中央堤防の途中には4mほどの石橋をかけた。

また、東側の堤防には、潮吹きと呼ばれる隙間を設けた。

このような築港技術で造られた港は、大正時代に新しい港を築くまで約270年間も現役で使われてきた。

外川の港が開港したことによって、外川は紀州からの移住者がさらに増え、ここから外川のまちの繁栄が始まった。

治郎右衛門は外川の町の都市計画を立て、民間人の手で「碁盤の目のようだ」と言われているこの町を開発した。

向後功作氏

事例紹介2

銚子の皆さんは外川のことご存知かもしれませんが、昭和60年の「澪つくし」の時には何度も舞台に使われて、全国的にもテレビに出ているはずだが、思ったほど外川は観光地化されていなかった。犬吠のネームバリューが大きかったせいか、銚子電鉄に乗っても外川までの観光をされるお客様があまり居なかった。

観光プロデューサーになってからは、外川のまち歩きを商品として販売したり、自らガイドしている。現在もはとバスやJR東日本に外川のまち歩き、銚子市内の観光を商品として発売をするという仕事も続けさせていただいている。

今後の課題は滞在時間を延ばしていくことと考えている。外川にどんな方が興味を持っているのか、どんな方に向けて外川の町あるいは銚子を紹介していったらいいのかも考える必要がある。

ただ見るだけでは最近はリピーターになってくれないそうで、人との交流というのがリピーターになっていく大きな目的や動機づけになっているそう。地方に対して期待を持って出かける方が多いよう。銚子でもぜひ地元愛をどんどん発信しながら、外からいらっしゃる方たちに応えていけたらいいなと思う。せっかくきていただいた方を交流を持たずに帰してしまうのはもったいないので、いろいろな場所でいろいろな関わり方が出来るようになっていけたらいいのではないか。

せっかく日本遺産あるいはジオパークに認定されたことを活かすために、エコミュージアムという文部省や環境省が推薦しているものが銚子にぴったり当てはまるのではないかなと思う。

行政や市民、いろいろな教育機関ですとか市内の企業、施設、こういったものをつなげていって1つの野外博物館にしていこうと、それを大きなビジネスチャンスに仕掛けられるんじゃないかなと最後に提案させていただく。

石毛宏幸氏、堀美澪氏

事例紹介3私たちは4年前から「銚商夢市場プロジェクト」という地域活性化のプロジェクトに取り組んでいます。このプロジェクトは生徒が自分たちでテーマを決めて1年間取り組むという3年生の授業で「銚子市を盛り上げたい」「地域活性化をテーマに取り上げたい」ということを希望した生徒たちのチームによるものです。

ちょうど4年前、新聞を開くと暗い話題が多くありました。そこで、生徒たちは銚子商業高校から地域に明るい話題を提供できないだろうかと考え、銚子商業から地域に夢を広げようという意味合いを込めて「銚商夢市場」と生徒たちが名付け、企画しました。内容は「商品開発」「銚商夢市場」「銚子電鉄の支援」の大きく分けて3つです。

最初に目を付けたのが銚子で有名な灯台キャベツです。銚子はメロンも有名なので、キャベツとメロンが合体した「銚子キャベツメロンパン」というのを生徒たちが考案し、テレビにも取り上げていただきました。

「銚子市の活性化でどういうことをやりたいか」と聞いたところ、多くの生徒が「銚子電鉄をもっと応援したい、活性化したい」「銚子を元気にするには銚子電鉄を元気にするのが1番」ということで、銚子電鉄さんとミーティングをしながら、どういうような応援が出来るかと検討しました。景観ということでは「銚子電鉄メイクアップ・プロジェクト」を立ち上げて犬吠駅の壁を綺麗にしました。また、本社のある仲ノ町駅は築100年を迎え、天井が剥がれ落ちて危険な状態だったので、銚子商業でお金を集めて応援できないかと考え、クラウドファンディングで100万円集めて出来る範囲で直そうと企画し、取り組みました。本当にお金が集まるのかとても不安でしたが、なんと、約200万円もの寄付が集まり、多くの人の銚子を思う気持ちとても感謝しました。このお金を、銚子電鉄へ贈呈し修繕活動を行いました。

我々は銚商夢市場プロジェクトを始めるときに、4年前の生徒たちが常に言っていたのが「自分たちが地域活性化の起爆剤になりたい」「自分たちが動けば、みんな協力してくれるだろう」と、そういう輪を広げることで、地域全体で活性化を行なえる雰囲気が作れるんじゃなかろうかということでした。

これが今の生徒たちの活動にもつながっていますし、これからもつなげていきたいテーマです。

(2)パネルディスカッション
(1)

金島氏)越川さんのお話にあった「窓外に黒潮見下ろす銚子外川のまちづくりを考える会」についてお話いただければと思う。パネルディスカッション

越川氏)発足して14、5年で、当時やっていたメンバーは全部で25名くらいいた。これは建築士会だけではなく、外川のまちに関係する人にも入ってもらって始めた。月に1回4年間通じて、それぞれ自分たちで研究したことを定例会で発表していた。建築基準法にいかに合致させるかを含めて、地域との交流、外川のまちの住人と話し合いが出来るようにしようという活動をしていた。成果として、宇都宮で開催された建築の全国大会で、パネル展示の発表をさせてもらった。それ以外に、外川の町内会長さんの会合で活動を発表したり、外川のミニ郷土資料館でも外川のまちの歴史や構成、自分たちが撮った写真パネルの展示とかで、外川のまちの紹介をさせていただいた。

(2)

金島氏)向後さんから今後の課題として4項目いただいたが、その辺についてお伺いできればと思う。

向後氏)日本遺産に認定されたことを掘り下げて商品化していくことが必要ではないかと思う。最近テレビで取り上げられているということは、銚子が首都圏から近いということ、気軽に来られるというのが1つの利点かなと思う。それといろいろな面白みがあるということ、銚子へ行けばテレビ番組を作れるというのは業界的にはあるのだそうで、いろいろなテレビが来るということも活かしていきたい。それで知名度は上がっていくが、もっと楽しんでいただくとかリピーターを増やしていくとなると、日本遺産にかかわっている人たちにもっと交流する機会を作るとか、人が関わりながら商品化していく。商品化という部分では、企業や点在する施設だとかもうまく活用して、銚子のいろいろな面白みを、いろいろなデータを交えながら、お客様に届きやすい商品づくりを進めていくことが今後大事なのかなと思う。

(3)

金島氏)次に銚子商業さんの発表にあったメロンパン、銚子電鉄とか、リハーサルと本番の2回涙が出ましたけど、素晴らしい活動をしてるなと。特にメロンパンなんかはその辺の苦労話とかお話いただければと思う。

石毛氏)キャベツメロンパンとかの商品開発は、地元の企業さんに非常によく協力をしてもらっている。特に山口製菓舗さんに協力してもらいながら、銚子電鉄と連携を取りながら取り組んでいる。生徒たちも自分たちのアイディアが現実に商品化されて、お買い求めいただいて、「おいしかったよ」と言ってくれるというのはとても嬉しくて、自信につながっている。ただ、自分たちが考えたアイディアがそのまま商品になるのは難しいということも学んでいく。改良を加えて、今の商品が出来上がっている。ヤマザキパンとの商品開発については、最初60種類くらいのアイディアの中からほとんどボツになって、1つのアイディアが採用されたということで、どうしてダメだったのか、コストや流通ライン、原材料との関係だとか実際のビジネスの勉強をさせるつもりで、取り組んでいる。地域の名産品を幅広い方に召し上がっていただいて、地域の名産品を広めるということも含めて、商品開発に取り組ませるなかで、郷土愛とか地域の産業について、生徒たちが学んでいくということも教育の一環として取り組んでいる。

堀氏)イルミネーション列車の企画をしている。冬にピンクの列車がチカチカ走っているのを見たことがある方はいらっしゃいますか。似たようなものを企画して、楽しんでいただけたらなと考えている。

(4)

金島氏)越川さんから今後の課題についてお願いしたいと思う。

越川氏)外川のまちの人口は15年前に調べた時に、外川1丁目から4丁目まで、3150名くらい居たが、現在はおそらく2000名くらい。そのくらい減っている。去年2月ごろに再度自分1人で外川のまちを再度調査した。11ヘクタールくらい、建物の数が480くらいあったところを歩いて回ると、空き家が増えていたり、この前まではあった家がなくなって更地になっていたり、そこに住んでいる人たちが少なくなってきている。やっぱりまちが残るということは必然性があって残るものなので、ある面では自然淘汰的に、例えば石垣とかがけ地を改良することになると、石垣が崩れる。そういうのを含めて建築基準法とのギャップを感じている。

(5)

金島氏)それでは向後さんから今後の課題や思いを。

向後氏)第1回の日本遺産に認定を受けた尾道市へお邪魔させていただいた。いいなと思ったのが、若い方たちがそこでただ住んでいるだけではなく、パン屋さんや喫茶店、アトリエを開いていて、若い人がいるお店が点在していると、人はおしゃれだなと思ってくれる。外川はかつてけっこうおしゃれな街だったので、また復活してほしいなと。若い方が空き家とかをうまく利用して、新しいビジネスを始められるような取組が皆さんで一緒にできないかなと、自分も関わっていけたらなと思う。

(6)

金島氏)銚子商業さんから今後の課題などを。

石毛氏)銚子を舞台にした映画やアニメが公開されていて、注目されているので、この夏とか秋にかけて、若者が大量に押しかけて来る可能性があると思われる。その方たちが銚子に来てよかったなと、もう1度来てみたいなと、あるいは人を連れてくるようなまちにしていかなければいけないと思う。以前、銚子は20歳未満の若者が銚子を出たいと思っている割合が非常に高かった。それを見て非常に愕然として、若者が楽しめるお店とか、他地域の子供たちがそれを目的に遊びに来るようなところを作っていくともっとにぎやかになっていくんじゃないかなと。プラスして、日本遺産に認定されたのを機に、中高年の方たちが外川の街並みを見に来る方が絶対増えてくると思う。その時に地域を挙げてのおもてなしというか、地域ぐるみの活動とか、場合によっては高校生がお手伝いするとかできないかなと考えている。

お問い合わせ

所属課室:県土整備部公園緑地課景観づくり推進班

電話番号:043-223-3279

ファックス番号:043-222-6447

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