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ホーム > 環境・まちづくり > まちづくり > 景観・屋外広告物 > ちばの景観づくり > 景観に関するイベント情報 > 過去の景観関連イベント開催結果 > 平成26年度第3回景観セミナーの開催結果
更新日:令和3(2021)年5月13日
ページ番号:16163
平成26年度第3回景観セミナーは、千葉県、千葉県屋外広告美術協同組合が主催、国土交通省、千葉市、船橋市、柏市の後援により千葉市で開催しました。
第1部では、講師の武山先生から、景観についての考え方や定義などを学術的に御講演いただき、第2部では、良好な街づくりにおける「屋外広告物」の在り方についてグループワークを行い、多くの参加者から御意見や御感想をいただきました。
日時:平成26年11月27日(木曜日)13時30分~17時00分
会場:千葉市中央保健センター大会議室(きぼーる11階)
講師:武山良三(たけやまりょうぞう)氏(富山大学芸術文化学部学部長/日本サイン学会会長)
内容:講演概要
「景観とは」というと、英語では「land(土地)+scape(大地らしさ)」と言いますが、そのもとは、オランダ語の「風景画」、つまり「まわりの眺めの美しい所」ということからきているそうです。では、「景観」と「風景」の違いはあるのでしょうか。私は、好みにより、どちらを使っても良いと思っていますが、「風景画」「殺風景」などという言葉は、命が宿っている感じがします。「景観画」とはいいません。そうなると、道路などの工学的なものは「景観」、自然は「風景」といわれることが多いかなあとも思います。
ここで、「まちのイメージ」についても、述べておきましょう。ケヴィン・リンチ(米国の都市計画家)は著書『都市とイメージ』の中で、「印象度の高い都市=視覚的にわかりやすい」といっています。まちをイメージする時、私達は、普通、山並みなどの群で視認する「遠景(250m以遠)」、建物や通りなどの「中景」、ファサードや看板などの「近景(30m以内)」を思い浮かべます。そして、まちにインパクトを与えるのは、駅や道などの交通網との「接点」と、看板などに代表される「近景」です。みなさん、広告物が多いと感じる街を想像してください。さて、実際に、360度見渡せる写真で広告物を取り出してみると、大阪市道頓堀は32.7%、渋谷の交差点が11.5%でした。それから、もうひとつ、まちにインパクトを与えるものとして「人の姿」があります。実は、パリのシャンゼリゼは、私の生活圏である高岡駅より広告面積は大きいのですが、パリは、人々のファッションも含め、世界的にみると高岡より「お洒落な街」として認識されているところです。このように、私達は、駅に降り立った時、まず、景色をみて、その「まちのイメージ」をつくります。また、私達は日常生活でも、毎日、景色(景観)をみています。それらの景色の中には、必ず、人々の生活の営みが含まれています。人がいないゴーストタウンでは、「景観まちづくり」はできません。そして「まちのイメージ」が上がれば、地域の価値も上がります。
さて、「まちのイメージ」において、景観を阻害する物には、「放置自転車」「電柱」「擁壁」「看板」などがあげられますが、特に、この中で「景観」を議論する時、頻繁に取り上げられるのが看板です。また、先程、看板は「まちのイメージ」に大きく左右している事実を確認していただきました。看板は、制限をかける「規制」、ガイドラインなどによる「誘導」、そして、イベントなどでの「活用」により、コントロールすることができます。手法の中では、「台数調査&印象評価」が重要といえます。具体例から解説しますと、よくわかると思いますが、植栽や地域の特性も加味した方が、看板の広告物としての効果も上がります。看板は、単体で扱うのではなく、「まちのイメージ」をつくる情報ツールとすることにより、例えば「高価な材質」あるいは「地域の独自ルール」を広告主が納得し、それにより業者は潤い、そして、その結果「まちのイメージ」が上がるのです。
西洋の都市計画は、城郭により、自然を支配する街を形成していますが、日本は違います。城下町は自然と折り合いをつけながら、スパイラル状に拡大することができる街です。「景観まちづくり」には、その地域で生活をする人、その人たちの共通の文化的アイデンティティ(イメージや概念)がなければ、形成されません。今回は、具体例として看板中心にお話ししましたが、「まちを活用する」という観点から、官民の協働で、住民・事業主・地権者等による主体的な取り組みを行い、地域をよくしていきましょう。
内容:ワークショップ(グループ討論)
グループに分かれ、街並みのスライド写真を見ながら、良好な景観の街づくりにおける「屋外広告物」の在り方について討論をしました。景観に配慮した屋外広告物については、一般の方、屋外広告物業界の方、行政の方の感想に大きな違いはありませんでした。一方、個々の屋外広告物のデザインについては、様々な意見がでました。これからも、ワークショップなどを通して、行政と屋外広告業界で都市のイメージを共有していくということが大切だという認識でまとまりました。
武山良三氏
会場の様子(グループ討論)
千葉県屋外広告美術協同組合挨拶
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