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更新日:令和3(2021)年2月18日

発がん制御研究部

消化器がん・婦人科がん・脳腫瘍・神経芽腫に対して、遺伝子改変マウスやオルガノイド(ミニ臓器)を活用した研究を展開しています。院内若手医師も積極的に研究に参画しています。


(1) マウス正常オルガノイドを用いた臓器横断的発がんモデルの確立
マウス正常オルガノイドへの遺伝子導入とヌードマウス皮下への移植により大腸多段階発がん過程の再現に成功して以来、多彩な臓器で同様の発がんモデルの確立を進めています。同一の遺伝子変異を導入しても臓器ごとの発がん性やその組織型は同一とは限らず、また過去の遺伝子改変マウスでの発がん性とも一部異なる場合があります。これらの結果を統合して発がん機構の解明を臓器別に進めると同時に、新規のがん特異的変異や融合遺伝子の発がん性検証にも活用しています。

ヒト子宮頸部正常SCJ由来オルガノイド

(2) ヒトがん臨床検体のオルガノイド培養を用いた橋渡し研究の推進
婦人科領域ではオルガノイド培養の活用が遅れていましたが、我々は卵巣がんと子宮体がんに対する効率的な培養手法を新規に開発しました。また、子宮頸がんの希少例や子宮頸がんの起源細胞である扁平円柱境界領域(SCJ)正常細胞に応用し、オルガノイドとして培養することに世界で初めて成功しました(上図、ヒト子宮頸部正常SCJ由来オルガノイド)。胆道・膵臓領域の手術不能がん患者から内視鏡で採取した胆汁・膵液の余剰検体を用いて正常、前癌病変、がん細胞が培養可能であることを確認しています。これらを利用して創薬開発および精密医療の実装に向けて検討を進めています。


(3) MYCN/NCYMを起点とした転写ネットワークによる神経芽腫発がん機構の解明
小児の神経芽腫の発症や悪性化に関与する転写因子MYCNおよびそのアンチセンスである新規進化遺伝子NCYMは小児神経芽腫で共増幅している症例が多く、以前遺伝子改変マウスで忠実な疾患モデルを作成し報告しました。両者が協調的に関与する転写ネットワークについてその制御機構解析を進めており、発がんメカニズムの解明とともに、その阻害に基づく革新的治療法開発の可能性を現在模索しています。

メンバー

部長 筆宝 義隆
研究員  丸 喜明

研究員

末永 雄介

集合写真

 

最近の主な業績

  1. Maru Y et al., Establishment and molecular phenotyping of organoids from the squamocolumnar junction region of the uterine cervix. Cancers. 12(3): 694. 2020

  2. Suenaga Y, Nakatani K, Nakagawara A. De novo evolved gene product NCYM in the pathogenesis and clinical outcome of human neuroblastomas and other cancers. Jpn J. Clin. Oncol. in press

  3. Matsuura T*, Maru Y* et al., Organoid-based ex vivo reconstitution of Kras-driven pancreatic ductal carcinogenesis. Carcinogenesis. 41(4): 490-501. 2020 (*equal contribution)

  4. Suenaga Y et al., TAp63 represses transcription of MYCN/NCYM gene and its high levels of expression are associated with favorable outcome in neuroblastoma. Biochem Biophys Res Commun. 518(2): 311-318. 2019

  5. Maru Y et al., Establishment and characterization of patient-derived organoids from a young patient with cervical clear cell carcinoma. Cancer Sci. 110 (9): 2992-3005. 2019

  6. Maru Y and Hippo Y. Current status of patient-derived ovarian cancer models. Cells. 8(5). 2019

  7. Maru Y et al., Efficient use of patient-derived organoids as a preclinical model for gynecologic tumors. Gynecol. Oncol. 154(1): 189-198, 2019

  8. Ochiai M*, Yoshihara Y*, Maru Y* et al., Kras-driven heterotopic tumor development from hepatobiliary organoids. Carcinogenesis. 40(9): 1142-1152. 2019 (*equal contribution)

  9. Maru Y et al., Shortcuts to intestinal carcinogenesis by genetic engineering in organoids. Cancer Sci. 110(3): 858-866. 2019