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更新日:平成27(2015)年8月19日

第3章 家庭における対策|千葉県生活排水対策マニュアル

私たちの家庭で生活排水の対策を進めるにはどのような方法があるのでしょう。

まず,下水道が整備されている地域では下水道に接続することが下水道法で義務付けられています。下水道に接続することでよく管理された状態で排水処理が行われます。しかし,下水道が整備されていない地域ではどうしたらよいでしょうか。

まず,合併処理浄化槽を設置することです。合併処理浄化槽により生活雑排水は処理されますが,適正な浄化槽の維持管理等が必要です。単独処理浄化槽や汲み取りトイレの場合は未処理の生活雑排水が排出されますので,家庭での排水対策が非常に重要となります。

それぞれどのようなことを実行したらよいのかを,この章で紹介していきます。

1 浄化槽による生活排水対策

(1)浄化槽の現状

浄化槽には,し尿排水だけを処理する「単独処理浄化槽(し尿処理浄化槽)」と,し尿排水と生活雑排水を併せて処理する「合併処理浄化槽」があり,千葉県には平成16年3月末現在約58万基の浄化槽が設置されています(表3-1)。

現状ではこのうち,76%近くを単独処理浄化槽が占めていますが,水環境への住民の関心の高まりや設置に対する補助制度などにより,合併処理浄化槽の設置は年々増加しています。さらに,単独処理浄化槽は平成13年4月の浄化槽法の改正により原則的に新規設置ができなくなったため,今後はさらに合併処理浄化槽の割合が増加していくと考えられます(図3-3)。

なお,浄化槽の規模別に見ると,5~20人槽のいわゆる家庭用浄化槽が全体の約89%を占めています。(表3-1)。

表3-1 浄化槽の規模別設置基数(平成16年3月末現在)

表3-1 浄化槽の規模別設置基数(平成16年3月末現在)

(出典:平成16年版千葉県環境白書)

図3-1 県内における浄化槽設置基数の推移

図3-1 県内における浄化槽設置基数の推移

(出典:各年版千葉県環境白書より作成)

(2)設置

下水道などの生活排水処理施設が整備されていない地域では,生活雑排水がそのまま川などに流れ出るのを抑制するため各家庭に合併処理浄化槽を設置し処理することが重要です。

また,合併処理浄化槽の中でも「高度処理型」と呼ばれる浄化槽を設置することにより,BODや窒素などが従来型の浄化槽より除去できます(BOD,全窒素ともにおおむね15mg/L以下)。また最近では,りんも除去できる合併処理浄化槽が開発され,窒素やりんによる富栄養化防止対策が求められている印旛沼・手賀沼・東京湾等の閉鎖性水域の流域への設置推進が重要です。環境研究センターの調査による合併処理浄化槽処理水の水質(高度処理型(窒素除去型)および従来型)を示しました(表3-2)。この結果より明らかにBOD及び窒素について効果が表れています。また,合併処理浄化槽の一例として高度処理型合併処理浄化槽の構造と働きを示しました(図3-4)。

環境研究センターの調査によると,し尿排水だけを処理する「単独処理浄化槽」から生活雑排水も同時に処理する「合併処理浄化槽(高度処理型)」に換えると,汚れの量(負荷量)がBODでは98%以上,窒素では60~70%程度削減されることがわかりました(図3-5)。

単独処理浄化槽は新たに設置することが禁止されていますが,すでに設置されている単独処理浄化槽についても,合併処理浄化槽へ転換するように努めなければなりません。

表3-2 高度処理型および従来型合併処理浄化槽処理水の水質

(mg/L)

表3-2 高度処理型および従来型合併処理浄化槽処理水の水質

処理施設のトラブルによる異常値を除く

(出典:環境研究センター資料)

図3-2 高度処理合併処理浄化槽模式図

図3-2 高度処理合併処理浄化槽模式図

(出典:環境研究センター資料)

図3-3 単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換による
生活排水負荷の削減率(5施設の平均値)

図3-3 単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換による生活排水負荷の削減率(5施設の平均値)

(出典:環境研究センター資料)

(3)維持管理

1)日常の注意

浄化槽は,単独処理浄化槽,合併処理浄化槽とも,水の汚れを微生物に食べさせることによって汚れを少なくして放流する,生きている処理施設です。使い方を誤ると微生物が死んでしまうなど,水をきれいにする力がなくなってしまいます。

以下のことに気をつけて,使う必要があります。

  • ブロアーのモーターの電源は切らないこと
  • 浄化槽の上部または周辺にものを置かないこと(保守点検に支障をおよぼすおそれがあります)
  • 塩酸等の劇薬を含む洗剤の使用を避けること
  • トイレットペーパー以外のものは流さないこと(生理用品,紙オムツなどは絶対に流さないこと)
  • トイレ使用後の水は,適量を流すこと(過度な節水は浄化槽に良くありません)

また,大量の水(風呂の残り湯等)は他の排水がないときに流すなど一気に流さないこと,消毒薬を切らさないことなどにも注意が必要です。

2)保守点検や清掃は「浄化槽の健康管理」です

  • 「健康管理」の第一は保守点検。知事(浄化槽の設置されている場所が千葉市の場合は千葉市長,船橋市の場合は船橋市長)の登録を受けた浄化槽保守点検業者に依頼し,定期的に点検,調整,などを受けます。法令で回数が決められています(通常年3回~4回)ので,必ず行わなくてはなりません。
  • もう一つの管理は清掃です。中にたまった汚泥などを取り除かないと,水をきれいにする機能が失われてしまいます。年に1回(型式によっては半年に1回),機器類の洗浄と調整もあわせて行うことが定められています。浄化槽が設置されている市町村長の許可を受けた浄化槽清掃業者に頼んで,必ず行わなくてはなりません。

3)法定検査は「定期健康診断」

浄化槽法により義務づけられている法定検査は,いわば浄化槽の「定期健康診断」です。浄化槽の大小にかかわらず,必ず受けなければなりません。

  • 法定検査には,次のように,設置後間もなく受ける検査と,以後毎年定期的に受ける検査の二つがあります。
    • 設置後の水質に関する検査
      設置された浄化槽が,適正に施工され,機能していることを確かめるための検査で,浄化槽法第7条に定められているので,「7条検査」と呼ばれています。使い始めてから3ヶ月後から8ヶ月後の間に受けなければなりません。
    • 定期的な検査
      浄化槽が適正に使われ,保守点検や清掃が適正に行われ,所期の機能が発揮されていることを確かめるための検査で,浄化槽法第11条に定められているので「11条検査」と呼ばれています。毎年1回受けなければなりません。
  • 検査は,千葉県指定の検査機関が行っています。
    (社)千葉県浄化槽検査センター
    (〒260-0024 千葉市中央区中央港1-11-1,電話:043−246−6283)

2生活雑排水の対策

(1)台所での対策

し尿排水を除く生活雑排水の汚れ(BOD)は1人1日平均30gですが,その半分以上の1人1日17gが炊事や食器洗いなど台所から出ています(図2-1)。これは台所から出る汚れには油や調味料などのBOD濃度の高いものが多いからです。飲食物や調理くずを排水と一緒に流すと,それだけ汚れを流したことになります(表3-3)。

表3-3 飲食物や調理からの汚れの量

食品・調味料の負荷

表3-3 飲食物や調理からの汚れの量(食品・調味料の負荷)

*:濃度の単位はmg/kg,捨てる量の目安(10g:大さじ7分目,180ml:コップ1杯)

調理からの負荷

表3-3 飲食物や調理からの汚れの量(調理からの負荷)

ゆで汁:麺1人前(スパゲティ100g,うどん250g,そば170g)を1,000mlのお湯でゆでる

魚の下ごしらえ:アジ(中)1匹を処理

捨てる量の目安(180ml:コップ1杯,15ml:大さじ1杯)

出典:国立公害研究所(現(独)国立環境研究所,以下同様)(用水と廃水1990.5)

表3-3の中で,BOD濃度の最も高い食用油は,わずか大さじ1杯捨てるだけで25gの汚れになり,生活雑排水1人1日分の80%以上もの汚れを出してしまうことになります。油,油っこいもの,脂肪分の多い肉や魚は,特に注意が必要です。
では,これらを流さないようにするには,どうすればよいのでしょうか,以下に説明します。

1)流しには三角コーナーを,三角コーナーやストレーナーにはろ紙袋などを

調理中に出てくる調理くずは,そのまま流すと汚れのもとになります。このため,調理くずが流れ出ないようにするため,流しには目の細かい三角コーナー,流しの排水口には目の細かいストレーナーを設置し,それぞれにろ紙袋などをかぶせて使う必要があります。

環境研究センターの調査によると,夕食時の排水を三角コーナーに通したものをもう一度台所用ろ紙袋又は網(ストッキング)に通したところ,表3-4のようにCODなどの汚れが除去できたことが分かりました。ろ紙袋やストッキングは三角コーナーより目が細かく,より細かい調理くずが除去できるためです。

表3-4 台所用ろ紙袋及び網による除去率

表3-4 台所用ろ紙袋及び網による除去率

出典:千葉県水質保全研究所(現環境研究センター水質地質部,以下同様)
水保研資料36 簡易沈殿槽による生活雑排水処理(その2)

埼玉県川越消費生活センター(現 埼玉県消費生活支援センター川越,以下埼玉県消費生活支援センター川越と記す)のテストによると,不織布製水切り袋と,使い古しのストッキングが,水切れ,細かいくずの流れにくさ,使い勝手とも良く,性能がすぐれていました。

なお,ろ紙袋などに集められた調理くずは花壇や菜園の肥料にするかゴミとして出すことができます。

2)調理くずなどをためない

埼玉県消費生活支援センター川越のテストによると,調理くずなどのたまった三角コーナーに水を流すと,非常に汚れた水が流れ出て来ることが分かりました(表3-5)。三角コーナーに取ったゴミから汚れが溶け出て来るためです。また,目の粗い袋や三角コーナーのみの場合,水を流すと細かいくずが流れ出てしまうため,特に汚れの量が多くなっていました。

表3-5 ゴミ受けから流れ出る汚れの量

表3-5 ゴミ受けから流れ出る汚れの量

出典:埼玉県川越消費生活センター(平成4年度商品テスト技術・評価研究会事例発表要旨集)より作成

このため,三角コーナーの中にはあまり調理くずをためず,特に油っぽいものや魚のわたなどは,流しの外のゴミ入れに捨てる,調理中や洗い中に絶えず水が流れてくる排水口のストレーナーの方は,くずをこまめに取り除いてためないようにするなどの工夫により汚れを減らすことができます。

3)油はなるべく使い切るようにし,流さない

汚れが一番多い油は(表3-3),そのまま流すと油が冷えて固まり排水管を詰まらせたり,合併処理浄化槽では生物による処理がうまくいかなくなったりする原因にもなります。揚げ物に使った油は炒め物に使用し,使い切るなど油を流さない工夫が必要です。

埼玉県消費生活支援センター川越で行った揚げ油の使った回数による品質の違いに関するテストでは,1リットルのサラダ油で家族4人の揚げ物を8回行っても品質にほとんど変化がないという結果が報告されています。

油の品質の目安となる「酸価」,「カルボニル価」では劣化はほとんど見られず,油こし器を使ったりさし油をしたりすると色もあまり変わりませんでした。

このことから,揚げ油は色が濃くなっても品質は悪くなっておらず,材料を揚げる順序や温度に気をつけ,使用後はこして冷暗所へ,そして使いまわしなど工夫をすれば十分に使いきれるという結論でした。

どうしても捨てなければならないときは,新聞紙やボロ布に染み込ませたり,市販の凝固剤を使って固めて,「可燃ゴミ」として出すことがよいでしょう。

なお,平成17年7月現在,独立行政法人国民生活センターホームページ外部サイトへのリンクによると,簡便に食用油を処理する商品の中で,処理後そのまま排水口に流すタイプの食用油処理剤は,商品テストの結果,処理液中に含まれる油の量は変化せず,また,有機物による水質汚濁という観点では環境負荷の軽減は見られなかったという結論でした。このタイプの処理剤は,主成分が界面活性剤(洗剤と同様の成分)であり,混ぜると油がなくなるように見えるかもしれませんが,実際には混ざっているだけなので使用しないことが重要です。

4)汚れた食器や鍋などは洗う前にふく

環境研究センターの調査によると,お皿やお鍋などに残って付いているものをゴムベラや紙でふき取ると,多くの汚れが除去できることが分かりました(表3-6)。

特に油の出る焼き魚や揚げ物であるとんかつは汚れの量が多く,4人家族で食べ調理器具と皿を紙でふくとBOD約30gの汚れがとれることが分かります。これは、1人が出す生活雑排水の1日分(30g)に相当します。

そのほか,汚れの目立つものやとろみのあるものは,必ずふいてから水洗いすることも重要です。

表3-6 食器のふき取りによる除去負荷量

表3-6 食器のふき取りによる除去負荷量

出典:千葉県水質保全研究所(全国公害研会誌 Vol.22 No.1(1997))

5)台所洗剤は控えめに

洗剤や石けんも汚れの原因になります。(詳しくは「洗濯,風呂場での対策」をご覧ください。)

台所洗剤や石けんから出る汚れを減らす方法として例えば,最近では,アクリルたわしが知られるようになってきました。アクリルたわしとは,アクリルの毛糸をたわしの形に編んだものです。アクリルたわしはちょっとした汚れであれば洗剤なしで十分洗うことができるのですすぎに使う水の量も減らすことができます。また,漬け置き洗いをすると比較的簡単に汚れが落ち,洗剤の量を減らすことができます。

その他,「手荒れ」を起こしやすいような合成洗剤は,下水道や合併処理浄化槽のない家庭では,河川等に流れた場合にそこに住む生き物によくない働きをする場合がありますので,「手」にも「生き物」にもやさしい石けんや洗剤を使うことが大切です。

6)米のとぎ汁は流さない

米のとぎ汁の汚れの量(BOD,COD,窒素,りん)について環境研究センターが行った調査によると,BODだけでなく窒素,りんが多いことが分かりました(表3-7)。窒素,りんは栄養分であるためアオコや赤潮の原因となります。米のとぎ汁はなるべく流さないで,花壇や庭木などにまいてやるなどの工夫により汚れを減らすことができます。花壇などにまくことができないときは,ちょっとした油汚れならば落とせますので食器を洗う洗剤として使うこともできます。

無洗米はとぎ汁が出ない点では優れています。

表3-7 米のとぎ汁,洗い水の負荷(米3合当たりの負荷量)

表3-7 米のとぎ汁,洗い水の負荷(米3合当たりの負荷量)

水量は初洗い水および無洗米の洗い水900ml,とぎ汁1000ml,後洗い水2000mlである。

出典:千葉県水質保全研究所(全国公害研会誌 Vol.22 No.1(1997))

7)お料理は作り過ぎない,食べ残しや飲み残しを流さない

先にも述べましたように,食品は大きな汚れのもとであるため,食べ残しや飲み残しを流すことは多くの汚れを流すことになります。来客や宴会のときなど,料理を作り過ぎないようにし,飲みきれない程お酒やビールを出さないようにすることなどが重要です。

8)ディスポーザは使わない

ディスポーザは調理くずを細かく刻んで流してしまう装置です。このため,ディスポーザを使うと合併処理浄化槽や下水道にも大きな負担になってしまいます。専用の処理装置があり清掃汚泥を市町村が受け入れる場合を除きディスポーザは使わないでください。

(2)洗濯,風呂場での対策

洗濯やお風呂も,川や湖沼,海を汚す原因になっています。その汚れの原因は洗濯した衣類からの汚れや汗やアカなどの汚れだけではありません。

環境研究センターの調査結果によると,1回洗濯するときに合成洗剤を33g使うと,そのときに合成洗剤から出る汚れ(BOD)の量は12~13gとなっており,3人家族で1日1回洗濯をすると洗濯で出る1人1日当たりの汚れの量は約4gとなり,図2-1で示した洗濯から出る汚れの量3.9gとほぼ等しくなります。つまり,洗濯からの汚れはほとんどが洗剤から出てくるのです。

このように,洗濯に使う洗剤や石けん,お風呂で使うシャンプーなども汚れの原因になっています。

表3-8 生活用品中のBOD,COD,窒素(T-N),燐(T-P)

表3-8 生活用品中のBOD,COD,窒素(T-N),燐(T-P)

(*:単位g/l,**:単位mg/l)

出典:それぞれの濃度及び使用量については千葉県水質保全研究所(全国公害研会誌 Vol.22 No.1(1997))。汚れの量は濃度及び使用量から計算した。

1)洗濯時の洗剤や石けんは控えめに

洗剤を入れ過ぎると,家庭から出ていく排水の中に洗剤の成分が多く残って,川や湖沼,海を汚すことになります。

洗剤は正しく計って,入れ過ぎないようにします。洗剤の量を正しく計るためには,まず洗濯機の容量を調べます。洗濯機の容量は洗濯機のふたの裏などに書いてあることが多いようです。次に,その洗濯機の容量にあった洗剤の量を調べます(洗剤の箱に書いてあることが多いようです)。そして,計量スプーンが付属しているときは必ずそれを使います。最近は1度に5kg以上洗えるような大容量の洗濯機が増えているので,洗剤に付属している計量スプーンも大きな洗濯機に対応し量れるようになっているため,小さめの洗濯機(1度に2~3kg洗えるもの)を使用している場合や少量洗いのときは,スプーン1杯では多くなってしまいますので,計量スプーンの内側の目盛りを使い,きちんと計ります。

さらに,洗濯物の汚れは水だけでもある程度落ちるといわれています。洗濯物がそれほど汚れてない場合,所定の量より少ない洗剤で十分なことも多いようです。

また,あらかじめ汚れているところを部分洗いしたり手洗いを行ったりする,洗剤を溶かした液を2回使うようにするなどして洗剤の使用量を減らこともできます。

2)お風呂では

  • シャンプー,リンス,ボディシャンプー等の使い過ぎに注意する。
  • 残り湯を洗濯や掃除に使ったり,庭や植物にまいてやるなどする。
    などの対策があります。

<石けんと合成洗剤の違いについて>

通常,洗濯用として売られているものはほとんどが合成洗剤です。

石けんは油とアルカリを反応させて作ります。一方,合成洗剤は石油から工業的に作られます。

石けんは合成洗剤よりも毒性は低いといわれていますが,分解性が高いため微生物による分解によって酸素を消費し,BODは高くなります(表3-8)。このため,石けんでも大量に使えば川は汚れるのです。

結局,どちらを使うにしても,使った量はそのまま排水として流れていくので,下水道や合併処理浄化槽を通らないで川などに流すと川などの汚れの原因になります。

3)生活用品は窒素・りんの含有量の少ないものを選ぶ

環境研究センターの調べによると,歯磨き粉にはりんの含有量の多いものがあり(表3-8),この歯磨き粉を1回に2g使うと1日1人当たりのし尿排水を除く生活雑排水中のりん排出量の77%にもなるとの計算結果でした。また,りんの含有量が多い歯磨き粉にはりんの中でもアオコなどが発生しやすいりん酸態りんの含有量も多くなっています(表3-9)。歯磨き粉については研磨剤にりん酸水素カルシウムを使用しているためと考えられました。また,薬用成分としてモノフルオロリン酸ナトリウムを使用している歯磨き粉があり,研磨剤を使用した歯磨き剤ほどではありませんがりんが高濃度になると考えられます(図3月4日・3-5)。ボディシャンプーについてはアルキルリン酸カリウムが使われているもののりんの含有量が多くなっていました。これらのりんはいずれアオコや赤潮の原因になることが考えられます。このため購入時に成分表示をよく見て,これらの成分を使用していないものを利用することにより,生活排水からの汚れを減らすことができます

表3-9 T-Pが100mg/kg以上である生活用品のT-P及びPO4-P

表3-9 T-Pが100mg/kg以上である生活用品のT-P及びPO4-P

出典:千葉県環境研究センター(第39回日本水環境学会講演集)

図3-4 リン酸水素カルシウムを使用している歯磨き粉の成分表示(例)

図3-4 リン酸水素カルシウムを使用している歯磨き粉の成分表示(例)

図3-5 リン酸水素カルシウムを使用していない歯磨き粉の成分表示(例)

図3-5 リン酸水素カルシウムを使用していない歯磨き粉の成分表示(例)

(3)その他

  • 道路側溝を掃除することで川などへ流れ込む汚れの量を減らすこともできます。
  • 洗車排水は側溝等を通じて直接河川や湖に流入します。洗剤の使いすぎに注意してください。

<下水道などが整備されたり合併処理浄化槽が設置されても大切な「家庭での生活雑排水対策」>

  • 1.窒素やりんを減らす
    最近の下水道終末処理場は窒素・りんが除去できる高度処理を進めてはいますが,まだ多くの終末処理場は,アオコや赤潮の発生の原因となる窒素やりんの除去は苦手です。また,一般の合併処理浄化槽では窒素やりんはほとんど処理されません。汚れたお皿をゴムべら等でふき取る,りんを含む生活用品の使用を減らすなどの対策を行うと窒素やりんも減らすことができます。
  • 2.油やごみは流さない
    食用廃油や調理くずなどは,下水道や合併処理浄化槽にも大きな負担になり,処理効率に影響することがあります。また,配水管を詰まらせる原因にもなります。

3 対策の実例

平成6年度に実施した手賀沼浄化対策実践普及モデル事業の例を紹介します。(以下,手賀沼浄化対策実践普及モデル事業報告書から抜粋,一部改変)

(1)目的

最近の水質汚濁は,生活排水によるものが主原因であり,水質改善にはこの対策が重要になっている。なかでも,手賀沼については,汚濁が著しくその必要性が高いにもかかわらず,流域面積が広く,上流部においては沼に面していないことから,手賀沼の水質浄化に対する住民意識を高揚するためには,なお一層の啓発が必要と見られている。

本調査は,手賀沼に流入する大堀川・大津川の上流部において,住民が主体となって簡易にできる浄化対策を実施してもらいながら河川の浄化対策への寄与を明らかにし,住民による浄化対策の普及を図ることを目的として実施した。

(2)事業の実施

1)実施期間

平成6年10月から平成7年3月

2)実施区域と対象世帯数

事業実施区域は,大津川・大堀川上流域の柏市,松戸市,鎌ケ谷市及び流山市の下水道未整備区域のうち,表3-10に示す自治会とし,対象世帯は約1万世帯とした。

表3-10 対象地域

表3-10 対象地域

3)家庭内浄化対策の実践

浄化資材(銅製微細目ストレーナーまたは三角コーナー・ゴムべら・油吸着リング・洗剤不要食器洗いスポンジ)を各戸に配布した。また,本事業の概要と協力お願いのチラシを作成し配布した。

実践活動実施期間は,平成6年11月15日から12月15日の1ヶ月間とした。

図3-6 配布したチラシ

配布したチラシ(表)

配布したチラシ(裏)

(3)実施結果

1)水質調査結果

事業実施前と事業実施中に大津川及び大堀川で調査を行った。

図3-7 大津川及び大堀川の水質調査結果

 

大津川のCOD

大津川のSS

 

大堀川のCOD

大堀川のSS

 

大津川の水質調査結果では午前中にCOD及びSSが大きく減少した。午後は,CODは増加していたが,SSは若干減少していた。大堀川の水質調査結果でも,COD及びSSが午前中に減少しているのが見られた(図3-7)。

2)アンケート結果

事業実施前の調理くずの処理方法は,ろ紙の使用世帯が42.9%,ストレーナー(又は三角コーナー)のみが50.4%であった。

事業実践中は,調理くずの処理方法は大きく変化し「配布ストレーナー(又は三角コーナー)」の使用世帯は58.0%に及び,ろ紙の使用世帯を含めると76.4%の家庭で調理くずの対策が実践されたことが確認できた(図3-8)。

図3-8 事業実践前と事業実践中の調理くずの処理方法の変化

図3-8 事業実践前と事業実践中の調理くずの処理方法の変化

事業実施前の油汚れの洗い方は,「常に紙でふきとってから洗う」が35.0%,「汚れがひどいときだけ紙でふきとって洗う」が51.2%,「そのまま洗う」が10.5%であった。

事業実践中は,「配布ゴムべら」の使用世帯は23.3%で,全体の約1/4にとどまる。しかし「汚れがひどいときだけ紙でふきとって洗う」の割合が実践前の51.2%から実践中は25.4%に半減し,「そのまま洗う」の割合も実践前の10.5%から実践中は5.7%に半減しており,ゴムべらの配布が洗い方の変化のきっかけになっていることがわかる(図3-9)。

図3-9 事業実践前と事業実践中の油で汚れた食器の洗い方の変化

図3-9 事業実践前と事業実践中の油で汚れた食器の洗い方の変化

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よくある質問

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所属課室:環境生活部水質保全課水質指導・規制班

電話番号:043-223-3817

ファックス番号:043-222-5991

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