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更新日:令和5(2023)年10月5日
ページ番号:2641
中学生部門 千葉県知事最優秀賞
筑波大学附属聴覚特別支援学校中学部2年
榎戸香奈(えのきどかな)
「本当の友達が欲しい。」
私は三才からバレエを習っています。
習い始めた頃は、年上のお姉さん達が、私が幼いからかわいがってくれました。
辛くなったのは小学四年生からです。
年齢が上がるたびにクラスが上がっていき、幼い頃からの仲間は私との接し方を理解してくれていて練習に打ち込むことができました。
でも、新しく入り同じクラスになった仲間には、あまり話かけてもらえませんでした。
当然だと思います。初めてレッスンを受けたときに難聴の私がいたのですから。
私との接し方が分からなかったのでしょう。それとも、人工内耳と補聴器をしているから話かけても話を理解してくれないだろうと思われていたのかもしれません。
私は接してくれないことがとても悲しかったです。
その時に耳に障害さえなければ。もしなければ、みんなと仲良くなれただろう。と自分が耳に障害を持っていることに嫌悪感でいっぱいになりました。そう思い、レッスンに行くことも嫌になってしまいました。どうせ一人だろう、と嫌々行くようになってしまいました。
幼い頃からの仲間は都合でやめたり、上のクラスに上がったりと私の周りにいなくなってしまいました。そのため、私から笑顔が消え、話すこともしなくなりました。
そんな時に先生が、
「難聴でも、香奈は、振動で音を感じて踊れる。それって難しいことだと思うよ。」と言ってくれました。
私は難聴なのに踊れる。それってすごいことなんだ。と自分の自信になりました。
先生が言ってくれたこの言葉は、今の自分に大切な言葉です。
私は音に合わせて踊ることが好き、だからバレエを続けていこうと決心しました。
しかし、自分を隠していたのでは友達を作ることはできません。
友達が接してくれないならば、自分から話しかけよう、それでもダメならまた次考えてみよう。そう思い接してみました。
最初は、えっ?という予想通りの反応でしたが、どんどん話しかけていくたびに、笑顔で答えてくれたり、相手から話しかけてくれたりしてくれるようになりました。
たったそれだけの事で私はとても嬉しくて、母にも、
「今日、あの子とこんなお話をしたよ。」と報告したぐらいでした。母も、
「そう、良かったね。」と喜んでくれました。
この瞬間、バレエを続けて良かった。みんなの笑顔を少しずつだけど見られるようになって良かった、そう思いました。
障害者と接することは怖いと思うし、不安だと思います。声をかけるだけでも、とても勇気のいることだと思います。
でも、ささいな心がけだけで、私はとても嬉しいのです。例えば、こんなことがありました。
バレエの先生が友達に、
「香奈は、分かっていないから教えてあげなさい。」と言い、その友達は何て教えてあげればいいのか分からず、困っていました。
でも、彼女はしばらく考えてから大きな声ではっきりと身振りをして教えてくれました。
私は、それだけで充分幸せになることができたのです。
一つ一つのささいな心がけが、一人のためになるのです。
だから、私も障害者に限らず、困っている人を見たら、どうしようかな。と迷わずに進んで助けてあげたいです。それは勇気のいる行動だと思いますが、その人に対して自分ができることを一生懸命考えて助けてあげたいと思います。
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