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更新日:平成27(2015)年7月17日

県内初の小中一貫校~長狭学園~(鴨川市)

昭和22年に教育基本法や学校教育法が施行されて60年-子どもを取り巻く社会状況や環境が著しく変化する中、不登校や中一ギャップ等の課題が問題となり、義務教育6・3制について改めて考える必要性を感じた鴨川市は、子どもの学力や成長を保障するための施策として、小学校と中学校単位の教育から、義務教育9年間を見通した教育への転換が有効であるとして、長狭小学校と長狭中学校を一つの敷地とし、一体的に教育活動を展開する、県内で初めてとなる小中一貫校の「長狭学園」を設立した。

千葉県全体の人口も減少に転じ、とりわけ若い世代の人口が減少する中、少子化への対応と、より良い学校教育を目指すことを目的とした小中一貫校の導入を、他の県内市町村も検討できないか、鴨川市教育委員会学校教育課に、導入の背景、取組内容の実際など話を伺った。

1.取組の経緯

(1)教育を取り巻く課題が顕在化

 

長狭学園写真鴨川市は、子どもを取り巻く社会環境が大きく変化する中、進む少子化や昭和40年代に建築された校舎の耐震改修の必要性に対応するため、平成15年度に「鴨川市少子化対策検討委員会」を設置、平成17年度に「鴨川市教育ビジョン」を策定した。更に、平成18年度には「鴨川市学校適正規模検討委員会」及び「鴨川市教育政策研究委員会」を立ち上げ、20~30年先を見通し、小中一貫教育をはじめ、学校規模の適正化や幼保一元化を検討することとした。

(2)より良い教育環境を創出するために

その後、小中一貫校を推進するという方針に沿って地区説明会を実施し、平成20年度に「長狭小中一貫校開設準備委員会」及び「長狭地区小中一貫校整備推進委員会」を設置し、更に協議を進めた。小学校校舎の改修工事、条例改正を経て、平成21年4月8日に長狭中学校に併設する形で長狭小学校を建築、新校舎の完成とともに、県内初の小中一貫校である「長狭学園」が開校する運びとなった。

現在、鴨川市教育政策研究委員会では、「鴨川市小中一貫カリキュラム」を作成し、長狭、鴨川、安房東の3つの中学校区ごとに、市内全小中学校において小中一貫教育の実践研究を推進している。

2.導入の狙い

  1. 少子高齢化により年少人口が半減したことに対応し、より良い教育環境を創出するため。
  2. 昭和22年に教育基本法や学校教育法が施行されて60年が経ち、社会状況が著しく変化したことに対応するため。
  3. いわゆる中一ギャップを解消するため。
統合前の小中学校の概要
小学校 児童・生徒数 学級数

主基小学校

86人

6学級

吉尾小学校

76人

6学級

大山小学校

52人

4学級

長狭中学校

110人

4学級

 

統合後の学級編制

小学校

中学校

合計

前期

中期

後期

区分

1年

2年

3年

4年

5年

6年

7年

8年

9年

1学級

1学級

1学級

1学級

1学級

1学級

2学級

1学級

1学級

A学級

B学級

11学級

20人

35人

36人

35人

36人

22人

22人

22人

32人

16人

16人

292人

特別支援学級2学級、4人

特別支援学級2学級、4人

4学級、8人

9学級、210人(教職員数15人)

6学級、90人(教職員数17人)

15学級、300人

(教職員数32人)

3.効果

教育環境の向上

小中9年間の学びを、発達段階から前期・中期・後期に大別し、教育活動の連続性や系統性を図った一連の教育が実現した。

小中一体性のある教育活動(入学式や運動会などの行事や縦割り掃除、交流給食・レクなどの異年齢集団活動)が実現した。

中期(小5)から教科担当制を導入し(国語・算数・理科・英語など)、小中のスムーズな移行が可能になった。

少人数指導やティームティーチング指導等を全校的に導入し、きめ細かな指導による学力向上を図ることが可能になった。

財政的な効果

新校舎建設や通学用バスの導入等に伴う経費を要したが、小学校3校と中学校1校が1つに統合されたため、将来にわたり施設維持管理費が削減される見込みである。

空いた小学校校舎を有効活用できる。

4.聞いてみました

導入に当たって

Q小中一貫校設置に至った背景について教えてください。

A少子化に加え、小学校校舎の老朽化が進み、全てに耐震改修が必要な状況でした。一方で、現在の6・3・3の教育制度は昭和22年の教育基本法以来のフレームのままで、このままでいいのだろうかという思いがありました。小・中・高間のハードルが高く、進学したときに不適応が多く出るというのは明らかで、いかにスムーズに接続するかが課題でした。思いは、良い教育環境をつくろうという1点に尽きます。

Q小中一貫校を設置するに当たり保護者の反発はありましたか?

A初めての取組で、不安はあったと思います。当初は説明会を開催しても、反対意見が多く出されました。

Qそこからどのように合意形成していったのですか?

A大きな全体説明会から小さな集会まで含めて延べ21回開催し、丁寧に説明をしていったことに尽きます。単なる合理化ではなく、あくまで教育環境の改善のため、ということを強く訴えました。鴨川市では、地元の結び付きが強いため、区長に対して丁寧に説明していったところ、合意が得られ、市議会も理解を示し、後押しとなりました。

Qどのように変わったのですか?

A区長会で福島県の郡山市の湖南小中一貫校を視察に行きました。猪苗代湖の北側は栄えているのですが、南は少子高齢化が相当進んでいる地域で、まず2つの中学校を1つに、次に5つの小学校と1つになった中学校が統合しました。当初は反対運動があったようですが、説明いただいた教育次長から「この子らは空とキャッチボールをしている。友達が少なくて可哀そうだ。このままでいいのか。」ということから、一貫校設置につながったという話を伺いました。長狭地区の小中学校も同じで、とにかくクラスに児童・生徒が少なくて集団による切磋琢磨が少ない、ということで、賛成に傾いていったようです。

Q大変だったことは何ですか?

A教職員も大変でした。教育は信頼関係の上に成立しているので、教員はあくまで中立の立場をとり、保護者の声に耳を傾け続けました。

Q学区が広くなることにより、通学に対する懸念はありましたか?

Aスクールバスを運行することで保護者の不安が軽減されました。バス会社に委託し、児童はフリーで乗車できるようになっています。旧大山小までは6キロほどあり、バスは欠かせず、通学の足となっています。

Qスクールバスの費用はどれくらいかかっていますか?

A年間800万円ほどかかっています。

開校後の状況

Q保護者の反応はどうでしたか?

A概ね了解が得られていると思います。何より、子どもたちは一緒に学ぶ友達が増えてとても楽しそうです。そんな子どもたちの様子を見て、反対していた保護者も1年目より2年目、2年目より3年目と、今は徐々に理解を示してくれています。ただし、今までは5~10人のクラスだったのに、今は30人程度になって、先生と保護者とのコミュニケーションが希薄になったと受け取る保護者もいるようです。

Q前の小学校はどのように活用されていますか?

A一つは、改修して幼保一元の子ども園としました。もう一方は私学に無償で貸しています。

Q教職員はどうですか?

A小学校と中学校では文化が全く違うと言える程、隔たりがありました。教職員室の席が隣合っているため、お互いの理解が深まり、ようやく慣れてきた感じです。小中両方に関わることで先生方の資質は高まりましたが、その分多忙にもなったようです。学校によっていろいろ条件が異なり、他の学校の例をそのまま持ってくることができないため、試行錯誤しながらの取組でした。

Q地域とのつながりはどうですか?

A学校支援ボランティアに48名の登録をいただいており、本の読み聞かせ、体験学習、補習、草刈り、登下校の見守り、環境整備等で関わってもらっています。地域のネットワークが強い方にコーディネーターになってもらい、学校に必要な人材を呼び込んでもらっています。担当の先生と調整しながら、ボランティアの方それぞれができることをやってもらっています。

アドバイス

Q今後取組む団体へアドバイスをお願いします。

A新しいことを始めるには、子どもたちのより良い教育環境を創出する観点から、強い情熱を持って積極的に進めていかなくては絶対に実現できないと思います。

5.取材を終えて

小中一貫校の一番のメリットは、教職員数や学校数削減による行政改革ではなく、子どもたちの笑顔が増えたことではないでしょうか。小学校と中学校の垣根を超え、年齢にとらわれない友達が増えたこと、ティームティーチングにより学びの場が増えて、勉強が楽しくなったこと等、地域の宝である子どもたちにとってより良い環境がつくられることが地域にとって一番のメリットであり、少子高齢化という避けて通れない課題を前向きに捉え、より良い教育方針を打ち出した事例です。県内初の小中一貫校ということで注目されており、取材当日も他の団体とともに話を伺いましたが、他の市町村も参考にされてはいかがでしょうか。

よくある質問

お問い合わせ

所属課室:総務部市町村課行政班

電話番号:043-223-2140

ファックス番号:043-224-0989

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