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更新日:平成27(2015)年7月17日

約50億円の滞納縮減~税金のノウハウで公債権・私債権を一元管理~(船橋市)

平成20年度から、地方税法の滞納処分の例により処分することのできる強制徴収公債権を一元管理し、徴収を行ってきたが、さらに平成23年度からは、債権管理条例を制定し、強制徴収できない非強制徴収公債権や私債権も一元的に取扱うことで、悪質滞納者に対する対応を強化した。

「同一の滞納者に対する債権を全て把握し、一括管理できる」「専門知識・ノウハウを集約し、効率良く徴収事務を行う」「正しく納める市民との不公平を解消できる」などの効果がある債権管理の取組内容を、船橋市税務部債権管理課永嶋課長に伺った。

1.取組の経緯

(1)市税滞納額が100億円に収入未済と徴収率の推移

平成10年度に滞納額が100億円を超え、平成12年度に最低となった徴収率を改善するため、滞納額縮減、徴収率向上のための取組が不可欠であった。

(2)中核市移行に際し、財政健全化プランを作成

平成15年度に中核市に移行する際、行政改革のための財政健全化プランを策定、平成16年度から、(1)不動産よりも換価しやすい預貯金などの債権を優先した差押、(2)延滞金の完全徴収、(3)臨戸から来庁へ、(4)滞納整理システムの構築、(5)非常勤職員の活用、(6)分割納付の設定方法の見直し、(7)滞納整理状況の進行管理、(8)滞納者から職員を守るセーフティネットの構築等により、徴収業務の効率化や環境整備を図った。

(3)滞納額50億円台、徴収率94%まで改善

その結果、平成16年度~平成19年度の4年間で、徴収率が4ポイント以上上昇、滞納繰越額は5ポイント近くも縮減し、当時の政令市17市と中核市35市の中でトップの実績を上げた。平成20年度以降は滞納額が50億円台、徴収率も94%まで改善された。以前の市民感情は、「税務署は厳しいが、市役所は何とかなる」という雰囲気であったが、今は「市役所も見逃してくれなくなった」という意識に変わり、悪質な滞納者にとっては今では税務署以上に厳しい対応をしていると思われているのではないか。延滞金の徴収額も中核市の中でトップクラスとなっている。

(4)市税以外の債権の滞納額が50億円に

市税収入確保の取組により、大きな成果を上げたが、一方で市税以外の国民健康保険料、介護保険料、保育料などの強制徴収公債権の滞納が年々増加し、平成18年度には滞納額が50億円を超えた。また、非強制徴収公債権や私債権についても、各債権所管課で徴収事務を行っていたため、訴訟手続などの専門的な知識や経験が少ない部署では、実務的に非常に困難であった。公平・公正に市の債権を取扱う必要性から、今度はこれらの滞納額の縮減が大きな課題となったが、各債権所管課は日々の業務に追われており、徴収のノウハウもなく、民事訴訟法の知識もないことから、強制執行する際に裁判所の決定を必要とする非強制徴収公債権と私債権についても一元的に取扱うこととした。

平成20年度から、強制徴収公債権と市税の一元徴収を実施し、3年間で約6億円を徴収した。この金額は、各債権所管課が抱える困難事案であったことから、自主納付が見込めず、いずれ時効が完成し、不納欠損したであろう金額である。更に、平成23年10月に債権管理条例を制定し、支払い督促・訴訟を行っている。

債権

債権の区分による主な相違点

債権の区分

自力執行権による差押ができるか

債権消滅に時効援用が必要か

強制徴収公債権

できる 不要

非強制徴収公債権

できない 不要

私債権

できない 必要

2.債権管理課の体制~債権管理の専門集団~

班名

業務内容

常勤

非常勤

徴収班 強制徴収公債権の一元管理 7人 5人
債権班

非強制徴収公債権・私債権の支払い督促

民事訴訟の提起、各所管課への債権管理指導

庶務(債権管理条例の制定等)

4人 0人

合計

13人

(課長・課長補佐各1名含む)

5人

常勤職員と非常勤職員の役割分担:滞納者の財産調査や照会などは全て非常勤職員の業務となっている。財産調査の結果、差押可能な財産があればマーカーで引き、付箋をしたペーパーが、常勤職員の手に渡る。常勤職員は、それをもとに滞納整理表や差押調書の作成、滞納者との折衝などを行う。常勤職員が、いわゆる「徴税吏員の業務」に専念できるよう、非常勤職員と役割分担をしている。

3.債権管理課のミッション

債権管理課

  • 市の債権債務の総括
  • 債権の収入未済額の縮減
  • 専門的な知識や経験の集約化
  • 効率的で効果的な徴収
  • 債権管理の一層の適正化
  • 公正かつ公平な市民負担の確保

4.債権管理課の業務

日々の業務

毎年度の業務

  • 各債権所管課で所管する債権債務の把握
  • 強制徴収公債権の滞納整理
  • 競売・破産手続開始に係る交付要求
  • 還付金発生による充当・相殺
  • 債務者情報の確認・更新
  • 債権債務に関する各債権所管課ヒアリング
  • 民事訴訟・支払督促の申立て
  • 徴収停止・債権放棄

5.効果

3年間で6億円を徴収

  • 債権管理課の実績(平成20年度~22年度)

区分

移管人数 完納件数 差押件数 徴収額 処理率 徴収率
平成20年度 660人 152件 335件 125百万 85.61% 31.53%
平成21年度 1,221人 243件 331件 186百万 76.17% 30.06%
平成22年度 1,375人 263件 358件 286百万 80.58% 40.34%
  1. 「移管人数」は、債権管理課に移管された人数
  2. 「徴収額」は、市税・債権の合計
  3. 「処理率」は、移管したもののうち、完納・差押・分納設定、執行停止(即時・3年)の処理を行った割合
  • 各債権所管課が現年分の徴収業務に専念することでき、各債権の徴収率が向上。保育料や国民健康保険料は中核市1位になった。

納税意識の向上も

  • 困難事案を債権管理課に移管することで、債権所管課は現年分の徴収に専念できることから、各債権の現年徴収率が向上している。
  • 徴収率が向上し、歳入を確保することで、より良い施策や住民サービスが実現する。
  • 公平性の観点から、税金など納期内にきちんと納めている市民から理解が得られる。
  • 滞納者に対して、債権管理課への移管予定通知書を送付するだけで、かなりのアナウンス効果がある。
  • 同一の滞納者に対する債権が一元管理されるので、債権ごとに督促や差押の電話がかかってきたり、調書が何通も来るという事態が解消した。

6.聞いてみました

導入に当たって

債権管理課永嶋課長Q導入の際、一番懸念されたことは何ですか?

A「せっかく市税の徴収率が上がってきたのに、他の債権も扱うことで、市税徴収率が下がってしまうのではないか?」と懸念されましたが、他の債権も併せて強制徴収した際は、「地方税優先の原則」により市税に優先して充当されるため、問題ありません。また、「市税徴収しか行っていない部署が、滞納者に対してそれぞれの債権の説明ができるか?」との懸念に対しては、最初に各債権所管課から研修を受けるため、基礎知識があるほか、詳細な説明を求められた際には、各債権所管課が対応することで問題ありません。そもそも、滞納の段階になって、滞納者から債権の賦課について改めて問われることはほとんどありません。

Q公金徴収一元化は職員のボトムアップで始まったとのことですが?

A平成19年5月に「公金徴収一元化検討委員会」が発足。税務部はじめ、各債権所管課、管理部門、財政部門の課長たちが集まり、検討を重ね、8か月かけて報告書を作成しました。

Q庁内のコンセンサスはスムーズに得られましたか?

A最初は成果が全く見えない中で、滞納者の名寄せのシステムのカスタマイズに1.1億円かかるという話で、当然財政課がノー、検討委員会としても当面は紙ベースでやってくれ、という話でした。ただし、各債権所管課の課長たちは、「自分のところでは徴収まで手が回らない、特に悪質滞納者には手を焼いているからぜひやってくれ」という姿勢でした。

Q議会はどうでしたか?

A平成15年の一般質問で、議員から「全ての債権の徴収を一元的に取扱う徴収部門を作らないのか?」との質問があるなど、議会は公金徴収一元化には賛成でした。

Q一元化実施のためにどのように環境整備を図りましたか?

A各債権所管課との事務取扱いを規定した「債権回収一元化に関する事務取扱要領」を作成。記者発表後、市民にはホームページや広報に掲載することで周知を図った上で、滞納者に対して移管するまでに「催告書兼収納業務移管予告通知書」「収納業務移管決定通知書」を送付し、移管しました。

実務について

Q滞納者の暴言などから職員を守るセーフティネットはどういうものですか?

A「何かあったら自分(課長)が出て行くから、恐れず、毅然として滞納処分してくれ」と常に言っており、組織体制を強固なものにして、職員に安心感を与えることが重要です。職員は皆、優秀で、やる気があります。高いモチベーションを維持させるためにも必要ではないでしょうか。

Qモチベーションを維持させるために目標設定をしていますか?

A以前、月間差押件数を設定したことがありますが、目標数値を設定することで、真面目な職員たちは数字に縛られてしまいます。今はあえて目標設定をしていません。

Q高い専門性が求められる中で、職員の研修はどのように実施しているのですか?

A新任研修のように、最初に一気に研修を行ってもなかなか身に付きません。班長や係長がキーマンとなり、日々の業務の中でOJTを実施し、教え込むことが必要です。人事にも債権管理の重要性を理解してもらっているようで、優秀な職員が配置されています。

Q職員以外の採用について教えてください。

A任期付き職員ではありませんが、東京弁護士会の中でも特に地方自治法及び地方自治法施行令に精通した弁護士に委託し、日額報酬で非強制徴収公債権及び私債権の訴えの提起等の相談、指導をしてもらっており、非常に有効です。

Q民間委託の導入状況について教えてください。

Aコールセンターで市税の現年度分の電話催告をしています。

Q債権管理条例はどういうものですか?

A市が所有する全ての債権の取扱いについて統一的な処理基準を定め、公正かつ公平な市民負担の確保と債権管理のさらなる適正化を図り、健全な行財政運営を行うことを目的として10月に施行しました。具体的には、全ての公債権の延滞金を14.6%一律に徴収します。また一方で、生活困窮などにより支払いが困難な債務者の債権放棄などについて規定しました。なお、私債権の遅延損害金については条文化しておりませんが、民法で規定する法定利率の5%も併せて徴収しています。

Q捜索はやっていますか?

Aこれまで捜索しても換価できる財産は少なかったので、現在は日々の業務としては行っていません。

Q財産調査のノウハウを教えてください。

Aどんな滞納者も必ずどこかでは生活しているのだから、必ずお金の出所はあります。以前、滞納者の通帳で「○○キ毎月-5万円」との記載を発見し、更に調査を進めて行くと、「○○金属株式会社」で純金積立していました。生命保険、株券、ゴルフ会員権、売掛金など換価できるものなら何でも良いのです。ただし、滞納者の中で、実際、本当に払えない人がいることも事実で、ここは重要なポイントです。調査の結果、明らかな生活困窮者は滞納処分の執行停止をしています。

Q今後の展望について教えてください。

A強制徴収公債権については、移管件数を増やして、差押件数と徴収金額を増やすこと。非強制徴収公債権と私債権については、支払い督促や民事訴訟の提起をルーティン化し、徴収不能なものは債権放棄すること。それには、配属された職員のモチベーションを高く維持することが大切です。

アドバイス

Q今後取組む市町村に対してアドバイスをお願いします。

A公債権は地方自治法第236条第1項により時効により消滅しますが、私債権については民法第145条により時効の援用を必要とします。公債権については時効により債権が消滅しないよう、しっかりと徴収しなければいけないことは言うまでもありませんが、私債権について収入未済のまま滞納繰越するのは良くありません。債権放棄は地方自治法第96条第1項第10号により「議会の議決を要するが、条例に特別の定めがある場合には除く」とあるので、債権管理条例のような債権管理を規定する条例の制定が必要です。

Q市町村の規模や地域などでの違いはありますか?

A徴収の環境という意味では、都市部の自治体と郡部の自治体では全く状況が違います。郡部の小規模な自治体では、職員が住民と顔見知りだから差押えなどの滞納処分はしづらいということもあるようです。このようなことから、茨城県の租税債権管理機構のような一部事務組合を組織し、滞納者を移管して、滞納処分や不動産公売などの実績を出しているところもあるので、郡部の滞納整理には有効です。

Q県に対して御意見をお願いします。

Aある県知事は徴収に相当力を入れており、知事室に大きな県の白地図があり、その白地図に全国の徴収率の平均より上の場合には青色、県の平均より上の場合には黄色、県の平均より下の場合にはピンク色で色分けをしているそうです。その県の徴収率は全国でもかなり低いので、県の平均より上でも喜べる状況ではありません。そこで、各自治体の首長が来た際の帰りに、首長さんに「おたくはピンクなのでもっと徴収を頑張ってくれ」と声をかけているそうです。その首長は帰ってから徴収担当部長を呼び「知事にこれこれ言われたので頑張ってくれ」と喝を入れます。そのことが、結果として県全体の底上げにつながっていきます。また、その知事は、毎年徴収率の良い自治体上位10の自治体を表彰しているそうです。賞状1枚だけですが、全員首長が出席するとのことで、同じやり方がいいとは思いませんが、知事や首長が徴収に関して関心を持たないと数字は良くなっていかないでしょう。

Q債権管理課は大変うまくいっているようですが、デメリットがあるとしたら?

A当初は、「税がせっかくうまくいっているのに、他の債権も扱うようになったら徴収率も下がってしまうのではないか」と懸念されましたが、それは違います。組織を再編し、事務を一元化、専門職員の集約などを行うことで解消されます。デメリットは一切ありません!

7.取材を終えて

公平・公正な取組と歳入確保に向けて、効率的に徴収を行う債権管理課の職員。一生懸命やればやるほど、滞納者からクレームを言われたり、カウンターで怒鳴られることもあるかもしれません。一元管理の仕組みと、やり甲斐とプライドを持って毅然と職務をこなす職員一人一人のやる気が、この結果を生み出したのでしょう。今後の成果も大変楽しみです。

よくある質問

お問い合わせ

所属課室:総務部市町村課行政班

電話番号:043-223-2140

ファックス番号:043-224-0989

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