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更新日:平成30(2018)年10月2日

病院長挨拶

千葉県精神科医療センター病院長 深見 悟郎

当センターの設立理念

深見病院長

 当センターは、わが国初の精神科救急専門病院として、1985年6月、千葉市幕張地区に開設されました。その設立理念は、「収容施設としての精神病院」のアンチテーゼとなる「治療施設としての精神科病院」の創出であり、わが国の精神科医療を構造転換させる鋭い楔(くさび)となることでした。

基本戦略と機能

 この理念を実現するために、当センターは、医療の入り口から出口を貫く4つの基本戦略―即応医療、集中医療、継続医療、包括医療―を立てました。そして、この戦略に沿って、24時間の電話相談と救急外来、短期集中的な急性期治療を担うコンパクトな病棟と手厚い人員配置、在宅ケアを多職種で支えるデイホスピタル、そして、アウトリーチ活動や関連機関とのネットワーク構築など、多機能集約的な医療施設をめざしました。
 精神科救急医療が「自傷他害患者を精神病院へ速やかに収容するシステム」とほとんど同義であった時代に、このような機能を掲げた当センターは、救急医療やチーム医療、アウトリーチの意義が語られる今日の状況を考えると、まさに時代を先取りしていたといえます。

精神科救急病棟のインパクト

 設立当初は、採算を度外視した人員配置などのために、全国に汎化できない千葉だけの試みと評されましたが、その後、当センターをモデルとして、診療報酬上に精神科急性期治療病棟入院料(1996年)、精神科救急入院料(2002年)が新設され、増額されるにつれて、前者の認可施設は約300施設、後者も137施設と(2017年現在)と全国展開するに至りました。
 これらの精神科急性型包括病棟群は、病院を活性化するとともに病棟部門をダウンサイズし、地域レベルでは精神科救急事業の中核となり、国レベルでは平均在院日数の短縮と精神科医療水準向上をリードする存在となっています。
 当センターの創設から30年間で、わが国の平均在院日数は3分の2に縮小し、在院患者数は約12%減少しました。ただし、政策的にも、経営的にも、臨床的にも、長期在院に依存する精神科医療の基本構造は変わっていません。

将来への展望

 精神科救急医療事情は、当センター開設当初に比べると大きく進歩してきました。しかし未だ十分な成長とは言えず、「副作用の少ない薬物療法」「行動制限の少ない入院医療」「重い身体疾患を合併した精神科救急患者への対応」「地域毎の救急医療圏域の整備」など達成すべき課題は数多くあります。更には救急受診の受け入れだけではなく、障害を抱えながらも地域に根差した生活を支援していくことも求められています。こうした問題に対して日々研鑽を重ね、より良い医療が提供できるよう努力してまいります。
 あと数年になりますが、千葉県救急医療センター、千葉県精神保健福祉センターとの一体整備、合築が進んでおります。総合的な救急医療病院を目指し、また救急医療から地域生活支援まで幅広い活動ができる医療機関を目指します。

2018年10月1日
千葉県精神科医療センター
病院長 深見 悟郎