サービス停止情報

現在情報はありません。

ここから本文です。

更新日:平成28(2016)年12月6日

鉄コーティング湛水直播栽培

鉄コーティング湛水直播栽培は近畿国四国農業研究センターで開発され、本県では平成17年に印旛地域で始めて導入され、平成20年には28経営体、17haで試験的な栽培が実施された。

米価の低迷、生産資材の高騰や担い手農家の規模拡大の進展などを背景に、省力、低コスト化の必要性が一層高まっていることが多くの農家で取り組まれている要因である。

ここでは、印旛地区で取り組んだ調査研究実証調査圃における技術とその留意点を取りまとめ紹介する。

鉄コーティング湛水直播栽培は、鉄粉を浸種した種子にコーティングし、代かきした水田土壌の表面に播種する方法で、次のようなメリットがある。

  • (1)種子の比重が大きくなり、浮き苗になりづらい。
  • (2)土壌表面に播種するため、種子の出芽や生育が良好となる。
  • (3)鉄の皮膜が硬いため、スズメの食害を防ぐ。
  • (4)鉄コーティング種子は長期間保存でき、そのためコーティング作業は農閑期に実施することができる。
  • (5)浸種し活性化した種子(活性化種子)を乾燥し保存したものは、播種後すばやく発芽する。

実践した技術と留意点

1.種子のコーティング

(1)種子の準備

  • 種子更新した良い種子を用い、種子消毒は実施しない。
    種子消毒は慣行栽培同様に可能である(ただし、パダンSGでは薬害が出る)が、鉄コーティング処理により種子伝染性病害を抑制できることが明らかになりつつある。
  • 浸種を3日行い、その後風乾してからコーティングした。

(2)鉄コーティング作業

  • 鉄粉(還元鉄粉:粒度100μm以下)に酸化(錆び)促進剤の焼石膏(陶磁器型材用焼石膏A級)を10%混ぜておく。
  • コーティングマシーンに種子を入れ、鉄粉(焼石膏混合)を徐々に入れ、水をスプレーしながらコーティングする。
  • 仕上げには種子重の5%の焼石膏をコーティングする。
  • コーティング比(鉄粉の重量/種子の重量)を0.5とした。(ただし、スズメの害が少ない場合や代かき、水管理などの仕方により0.1でも可能である。)
第1表_種子量5kgのときのコーティング比と分量
コーティング比 0.1 0.5
混合 鉄粉 0.5 2.5
焼石膏 0.05 0.25
仕上げ焼石膏 0.025 0.125

注)分量はkg

<留意点>

  • (1)種子の良し悪しを把握するため事前に発芽試験を行う。
  • (2)コーティング後は発熱しているため、速やかに育苗箱に薄く広げ放熱する。(1箱に1kg程度)
    温度が上がりすぎると(40℃以上)種子が死滅する。播種直前まで育苗箱で乾燥、保管することが望ましい。
  • (3)は種前に発芽試験を行いコーティング種子の良し悪しを確認する。

2.水田の条件

直播栽培では播種から出芽揃い期にかけてきめ細かな水管理が求められる。そのため、均平で、かん排水が容易な圃場を選定する。又、雑草発生の多い水田は避ける。

レーザーレベラーによる整地作業の実施した。

3.土壌還元による苗立ち不良の防止

  • (1)稲わらの春先込み、春雑草のすきこみ、未熟堆肥の施用などを避ける。
  • (2)代かきは丁寧に行うが、土壌還元が発達するのを抑えるため、播種3日前とし、練りこみ過ぎないようにした。

4.品種の選定

土壌表面に播種するため倒伏しやすい。耐倒伏性の強い品種を選定する。

展示ほでは、品種比較するため「ふさおとめ」「ふさこがね」「コシヒカリ」を栽培した。

<留意点>

  • (1)「ふさおとめ」や「ふさこがね」でも一部に倒伏が認められた。
    耐倒伏性の強い「ふさこがね」は、施肥量や、水管理、播種量などを充分調整することで適応性が高いと考えられた。
  • 2)「ふさおとめ」は苗立ち数が50%以下となり、休眠が深い品種で浸種期間が2~3日と短かったことが要因と考えられ、浸種期間を長くした場合、出芽が良好であった水田が存在した。

5.施肥

基肥窒素施用量を移植栽培の6~8割程度に減じた湛水土壌中直播栽培並みの施肥量を目安とした。

展示ほでは、基肥窒素施用量を「ふさおとめ」3kg、「ふさこがね」4kg、「コシヒカリ」2kgを目標に、それぞれ品種専用基肥一発肥料を用いた。

<留意点>

  • (1)土壌表面播種するので土壌中直播栽培より倒伏しやすい。
  • 2)側条施肥する場合、肥料の粒形に合わせて施肥機の施肥量調節を充分行う。
  • 3)基肥全量施肥で移植栽培用の品種専用肥料が用いたが、出芽期間が長いなど生育相が異なるので、移植栽培用肥料を用いることは難しい。
  • 4)苗立ち数が少ないときに、分げつ期の追肥行うと過剰生育となり倒伏する場合が多いので実施しない。

6.播種

播種作業は、散播(動力散粒機、ラジコンヘリ)、条播(土壌表面播種できる播種機)が可能である。土中に播種すると出芽苗立ちが抑制される。

  • (1)慣行移植栽培の移植時期以降に播種する。
  • (2)鉄コーティング種子の苗立ち率は50%と仮定して播種量を決める。
  • (3)苗立ち数を1平方メートル当たり100本(60~140本)を目標とし、1平方メートル当たりに200粒(おおむね乾籾5kg程度)播種する。
  • (4)代かき後落水して散播する場合は、表面がやわらかいと深まきとなりやすく、出芽不良となるので、土壌がある程度締まってから播種する。

展示ほは多目的田植えによる条播で、5月4日に播種した。播種量は第2表のとおりである。

<留意点>

  • (1)代掻き落水後に条播する場合、土壌表面がやわらかい場合は種子が土中に入りやすいので、ある程度土壌が締まってから播種する。
  • 2)条播する場合、品種ごとの粒形に留意し、播種機の播種量を充分調整する。
  • 3)散播する場合は隣り合わせた水田への飛散には充分留意する。

第2表_多目的播種機による作業精度調査

第2表_多目的播種機による作業精度調査

第3表_品種別苗立率

第3表_品種別苗立率

7.播種後の管理と雑草防除

落水出芽を基本とする。

雑草防除は出芽期間が長くかかるので、雑草防除は播種直後土壌処理剤と出芽入水後の一発処理剤の体系処理とした。

そのため、水管理は図に示すとおり、播種後は湛水し、7日程度で自然落水し、出芽後1~2葉が展開したら入水し湛水管理する。湛水状態が安定したところで、除草剤を処理する。

播種後3週間程度で苗立ちが完了する。

展示ほでは、初期除草剤にサンバード粒剤、入水後の除草剤にイネグリーンD(または、リボルバー1キロ粒剤)を処理した。

<留意点>

  • (1)土壌処理剤を使用しなかったり、入水後の一発剤の処理が遅れるとヒエ等の雑草発生が多くなる。
  • (2)播種後湛水期間中にカモが飛来したら、落水する。
  • (3)除草剤は直播栽培に登録のある剤から選択する。
  • (4)苗立ち後の入水は1~2葉展開期として、苗立ち数が少ない場合でも速やかに入水する。入水が遅れると土壌の乾燥で生育が抑制されると共に、除草剤の処理が遅れ、雑草の発生が多くなる。

8.本田管理

<留意点>

  • (1)直播栽培では苗立ち数を目標どおり確保することは困難であり、苗立ち数が多すぎたり、不足したりするので、苗立数に応じた管理が望まれる。
    • 苗立ち数が多い場合は中干しを時期を早め強めの中干しを行い。その間断かんがいを徹底する。
    • 必要によって、倒伏軽減剤を用いる。
  • (2)生育初期の害虫防除
    • 移植栽培では箱施用薬剤により初期害虫(イネヒメハモグリバエ、イネミズゾウムシ)の防除を実施している。
    • 直播栽培では本田での発生に留意し、発生が認められたら早めに防除する。

    収穫期以降の技術については、取りまとめ中ですので、今後機会を見て紹介します。

    初掲載:平成20年

  • 担い手支援課普及指導室
    主席普及指導員池田清一

第2図_品種別茎数の推移

第2図_品種別茎数の推移

第1図_播種後の水管理と除草体系

第1図_播種後の水管理と除草体系

よくある質問

お問い合わせ

所属課室:農林水産部担い手支援課専門普及指導室

電話番号:043-223-2911

ファックス番号:043-201-2615

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?