サービス停止情報

現在情報はありません。

ここから本文です。

更新日:令和元(2019)年6月5日

45℃の温水を使ったビワ白紋羽病の新しい治療技術

1.はじめに

白紋羽病は病原菌のカビが根に寄生することにより樹を衰弱させ、最終的に枯死させてしまう病気であり、ビワやナシなどの多くの果樹で問題になっています。防除には、大量の化学農薬を土壌に潅注する必要がありますが、労力がかかるうえ、数年おきの処理が必要となっています。そのような中、白紋羽病菌が熱に弱く、35℃以上の温度で死滅する特性に着目し、50℃の温水を点滴処理することにより地温を35℃以上に上げ、白紋羽病に感染した樹を治療する環境にやさしい防除技術がナシやリンゴなどを対象に実用化されました。しかし、ビワはナシ等と比較し、熱に弱いことから50℃の温水処理では樹に障害が出る恐れがありました。そこで、ビワの熱耐性を明らかにし、従来よりも低温の45℃の温水を用いた白紋羽病温水治療技術を開発したので紹介します。

2.ビワ樹への温水処理条件

(1)ビワの熱耐性の限界値

ビワの熱耐性の限界値を明らかにするために、ビワのポット苗(品種「楠」の1年生実生苗)を、40、45及び50℃の温水に、4時間及び8時間浸漬し、処理2か月後と1年後に苗の状態を評価しました(3反復)。その結果、枯死に至る重大な障害が46.9℃・8時間で発生し、葉枯れが44℃・8時間で発生することが明らかとなりました(表1)。このことから、44℃で8時間をビワの熱耐性の限界値としました。

表1ビワ苗

表1ビワ苗(品種「楠」の1年生実生苗)に対する温水処理の影響

(2)ビワ樹への45℃の温水点滴処理の影響と地温の推移

夏季に露地圃場において、白紋羽病治療用温水点滴処理機(EB-1000、エムケー精工株式会社)を用いて、ビワ樹株元の1.5メートル四方の範囲に地下30センチメートルの地温が35℃になるまで45℃の温水を処理しました。その結果、地下10センチメートル及び30センチメートルの地温がビワの熱耐性の限界値(44℃)に達することは無く(図1)、その後もビワ樹に障害は発生しませんでした。

図1地温推移

図1ビワ樹に対する45℃温水処理による地温推移

3.45℃の温水を用いた治療技術の実証

現地の露地圃場において、白紋羽病を発病したビワ樹に対して温水治療の実証を行いました。試験は8月に行い3樹に対して地下30センチメートルの3か所の地温が35℃になるまで45℃の温水を点滴処理しました。比較対象として無処理区を3樹設けました。処理翌年の5月に株元を掘り上げ、発病の有無を調査したところ、無処理区では3樹とも発病が確認されたのに対し、温水処理を行った3樹には発病が見られず、処理2年後には樹勢の回復が見られました(写真1)。

写真1実証結果

写真1現地圃場の白紋羽病発病ビワ樹を対象とした温水治療技術の実証結果

4.開発したビワ白紋羽病温水治療技術の概要

(1)処理時期

地温が高く、ビワ樹への障害が発生しにくい7~9月を推奨します。

(2)処理対象樹

温水治療は、早期に発病樹を見つけ、軽症なうちに処理を行うことが有効です。葉の下垂等の明らかな樹勢低下が見られる重症樹では、処理後も回復しないケースがあります。なお、樹が白紋羽病を発病しているかどうかは、地上部を見ただけでは分からない場合も多くあります。圃場で白紋羽病発病の有無を診断できる枝挿入法(農研機構、白紋羽病温水治療マニュアル改訂版、2013年外部サイトへのリンク)を用いて、重症樹周辺の樹を中心に診断を行い、早期発見早期治療に努めてください。

(3)温水の処理方法

白紋羽病治療用温水点滴処理機を用いて樹の株元1.5メートル四方の範囲に45℃の温水を点滴処理します(写真2)。処理範囲内の3か所の地下10センチメートルと30センチメートルの地温をそれぞれ計測し、地下30センチメートルの3か所が35℃を超えるまで処理を行います。また、樹に障害が出ないように地下10センチメートルの1か所でも43℃を超えた場合も処理を終了します。処理中は地温維持のため、点滴チューブの上に約2メートル四方の大きさの被覆資材(農ポリ等)をかけ、処理終了後も翌日まで被覆を続けます。処理にかかる時間は4~7時間程度で、1樹あたりに必要な水量は600~1000リットルです。圃場に電気や水道がない場合は、発電機や貯水タンク等を利用できます。なお、本法は、「白紋羽病温水治療マニュアル2018年速報版」(農研機構、2018年)外部サイトへのリンクとしてもまとめられているので、こちらも参考にしてください。

(4)地温が上がりにくい圃場における対策

水はけが悪く、温水点滴処理により地温が上がりにくい圃場では、処理を行う範囲の土壌表面5センチメートルをスコップ等により事前に耕起します。これにより、処理範囲外に温水が流出しにくくなり、地温が上昇しやすくなります。

(5)温水治療のコスト

1樹当たりの温水治療の費用(灯油、電気、水道)は約500円です。

(6)温水治療後の経過観察

治療後も白紋羽病は再発する恐れがあるため、枝挿入法等により、経過観察を行う必要があります。

写真2治療の様子

写真2ビワ樹に対する温水治療の様子

初掲載:令和元年6月

農林総合研究センター

生物工学研究室

研究員髙橋真秀

電話:043-291-9996

よくある質問

Adobe Acrobat Readerのダウンロードページへ

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Acrobat Readerが必要です。Adobe Acrobat Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先から無料ダウンロードしてください。

お問い合わせ

所属課室:農林水産部担い手支援課専門普及指導室

電話番号:043-223-2911

ファックス番号:043-201-2615

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?