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更新日:令和3(2021)年6月10日
ページ番号:7441
ばか苗病がしばしば見られるようになりました。いつもと同じように育苗しているのに発病し、何故?と思われたことはありませんか?
ばか苗病は種子伝染性の病気で、種子消毒を基本どおり行わないと完全には防止できません。育苗時の対策以外には残念ながら防止策がありませんので、県内にばか苗病が蔓延しないよう、種子消毒を中心にこの春の育苗時の取り組みが重要です。
温湯消毒や微生物農薬(タフブロック、エコホープDJ)による種子消毒も行われていますが、化学合成農薬に比べると効果は不安定です。温湯消毒は籾袋の中心部まで規定温度と時間(60度、10分間)で実施しなければ効果は大きく低下します。種子籾を入れると温湯の温度が下がるので、温度を調整して消毒を始めましょう。消毒後の種子籾には病原菌や雑菌が付着する危険性が高いので、消毒したらすぐに浸種する作業を組みましょう。
温湯消毒を行った種籾は、浸種前にタフブロックで湿粉衣したり、催芽前や催芽時にエコホープDJやタフブロックの200倍液に24時間浸漬するなど、体系処理を行うと効果を上げることができます。ただし、このような処理をしても100パーセントの防除効果にはなりません。
ヘルシードTフロアブル、テクリードCフロアブル、モミガードC・DFは、ばか苗病に対して十分な防除効果が確認されており、使用を薦めます。
※農薬は初掲載(平成30年3月)時点の登録内容をもとに作成しております。農薬の使用にあたっては、ラベルおよび最新の登録内容を確認し、安全に使用してください。
浸漬処理を行う場合、消毒液の量と種籾の量は規定(容量比1対1以上、種子籾1キログラムに対し2リットル以上が目安)を守ります。消毒中に、籾袋を揺すったり、上下の籾袋を入れ替えるなど、消毒液が種子籾全体に行き渡るようにして効果を安定させましょう。
消毒液の水温は10から15度に保ちます。極端な低温は効果低下や薬害の危険があります。水温確保のためには凍結防止用ヒーターを使ったり、水槽周囲を発砲スチロール等で保温するなどの方法があります。これら対策を実施の上、実際に水温を確認します。なお、過度の昇温にも留意しましょう。
一度使用した消毒液は処分し、次の種子籾に使い回しはしないようにします。
浸種のはじめの2日間は、種子籾の表面についた種子消毒剤の成分が効果を発揮するよう、水交換を行わずに静水状態を保つようにします。その後に行う水交換も、静かに行うようにしましょう。
浸種時の水温は浸漬処理時と同様、10から15度で行いますが、ばか苗病菌の増殖を抑えるためには10度を目標に管理します。
発病に気づいたらすぐにその周りの苗も含めて抜き取ります。しかし、抜き取っても田植え後1か月経った頃に本田で発病することがあります。これは、育苗の時点では感染していても無症状の苗があるためです。
千葉県内には約310ヘクタールの採種ほ(水稲の種子籾を生産する)があります。本田でばか苗病になった稲株は枯死しますが、たくさんの胞子が作られ、風で採種ほまで飛んで、籾に付着することを避ける必要があります。採種ほのお近くの水田の皆様におかれましては、御不明な点がありましたら、どうぞお近くの農業事務所、農協、採種組合員に御相談ください。
写真1.田植え後1か月程度経過した時点で発病した株
図2.田植え後1か月本田での発病の様子
初掲載:平成30年3月
君津農業事務所改良普及課
主任上席普及指導員
椎木千晴
電話:0438-23-0299
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