ここから本文です。

更新日:令和3(2021)年6月10日

ページ番号:7447

初夏の花壇に向くペチュニア品種の選定

1.はじめに

ペチュニアは春から夏の花壇を飾る主要品目として、県内の多くの花壇苗生産者が栽培に取り組んでいます。花色の多様さもさることながら、草姿に関してもほふく性や立ち性のタイプなど、様々な品種が育種されて人気が高い一方で、同時期の他品目と比べて雨や蒸れ、暑さに弱い点が問題となっています。

そこで、初夏花壇向けのペチュニア新品種や育成途中の系統について審査を行う第63回全日本花卉品種審査会(主催(社)日本種苗協会)が農林総合研究センターで開催され、初夏の花壇に向く品種が選定されましたので、その結果をご紹介します。

2.審査概要

審査は種苗会社5社から出品された20品種・系統を対象に行われました。各社から出品された3.5号ポット苗を平成28年5月12日に農林総合研究センター内の露地圃場に植え付けました(表1)。

表1.平成28年度開催、第63回全日本花卉品種審査会(ペチュニア)の耕種概要
苗到着日 5月10日から11日
定植日 5月12日(その後、5月18日から20日にかけて補植を行った)
栽植規模 1区当たり畝幅1.4メートル×区幅2.4メートル、32株(4×8=32株)、2反復
栽植方法 株間、条間各30センチメートル
施肥

ロングトータル花き1号100日(N-P2O5-K2O=13-14-8) 10アール当たり100キログラム

燐硝安加里S604(N-P2O5-K2O=16-10-14) 10アール当たり30キログラム

薬剤散布 なし
かん水 6月3日までかん水チューブにより随時かん水、以降、無かん水
花がら摘み 6月7日から9日及び7月6日から12日の計2回
審査日 7月15日
審査方法 審査員10名による立毛審査

3.気象状況

圃場定植の5月中旬から審査が行われた7月中旬にかけての気温は平年より高めに推移し、降水量は平年の9割弱となりました。そのため、今回の審査結果は平年よりわずかに乾燥した気象条件で露地圃場に定植した際の評価となりました。

4.審査内容・結果

平成28年7月15日に官公庁と種苗会社等の審査委員10名により被覆率や花の美しさと花数の多さ、蒸れによる葉の枯れや変色等について、100点満点で立毛状態を評価しました。

審査の結果、「スーパーチュニア ビスタ ミニピンクスター」、「スーパーチュニア ビスタ ミニブルースター」、「スーパーチュニア サクラフロート」、「サルサライトブルー」、「サルサ クリームイエロー」、「ヨコハマ モーニンググロウ」、「サルサ ピュアホワイト」の7品種が入賞しました(表2、写真1~7)。

表2.第63回全日本花卉品種審査会(ペチュニア(初夏花壇))の審査結果
順位 平均点 等級 品種名 出品者
1 91.88 1等特 スーパーチュニア ビスタ ミニピンクスター  株式会社ハクサン
2 86.75 2等 スーパーチュニア ビスタ ミニブルースター 株式会社ハクサン
3 86.38 2等 スーパーチュニア サクラフロート 株式会社ハクサン
4 83.88 3等 サルサ ライトブルー タキイ種苗株式会社
5 82.75 3等 サルサ クリームイエロー タキイ種苗株式会社
6 82.50 3等 ヨコハマ モーニンググロウ 横浜植木株式会社
7 82.38 3等 サルサ ピュアホワイト タキイ種苗株式会社

注)得点は各審査委員100点満点の平均点

1等特別賞「スーパーチュニア ビスタ ミニピンクスター」(写真1)

スーパーチュニアピンクスター

写真1.スーパーチュニア ビスタ ミニピンクスター

スーパーチュニアビスタミニピンクスター

写真1-2.スーパーチュニア ビスタ ミニピンクスターの生育状況

2等(2品種:写真2,3)、3等(4品種:写真4,5,6,7)

(※上段に花の写真、下段に生育状況の写真を掲載します。)

スーパーチュニアビスタミニブルースター花

写真2.スーパーチュニア ビスタ ミニブルースター 

スーパーチュニアサクラフロート花

写真3.スーパーチュニア サクラフロート

サルサライトブルー花

写真4.サルサ ライトブルー

 

スーパーチュニアビスタミニブルースター

写真2-2.スーパーチュニア ビスタ ミニブルースターの生育状況

スーパーチュニアサクラフロート

写真3-2.スーパーチュニア サクラフロートの生育状況

サルサライトブルー

写真4-2.サルサ ライトブルーの生育状況

 

(※上段に花の写真、下段に生育状況の写真を掲載します。)

サルサクリームイエロー花

写真5.サルサ クリームイエロー

ヨコハマモーニンググロウ花

写真6.ヨコハマ モーニンググロウ

サルサピュアホワイト花

写真7.サルサ ピュアホワイト

 

サルサクリームイエロー

写真5-2.サルサ クリームイエローの生育状況

ヨコハマモーニンググロウ

写真6-2.ヨコハマ モーニンググロウの生育状況

サルサピュアホワイト

写真7-2.サルサ ピュアホワイトの生育状況

 

入賞した品種はいずれも夏の高温、多湿条件下でも株の枯れ、黄化が少なく、安定して開花し、花の傷み等も少なく、梅雨明け後から夏にかけて長期に観賞できる花壇苗として消費者へ提供できるものと考えられました。1位、2位の品種はほふく性が弱く、畝幅以上に広がらない性質があり、切り戻し等の手入れがあまり必要ではありませんので、管理に時間をかけたくない消費者に特に勧められると考えられました。

5.終わりに

消費者が花の購入時に求めるポイントに「観賞期間の長さ」が挙げられており、これに応える品種が各種苗会社から販売されています。

今後もペチュニアの安定した需要を確保するには、消費者が求めるニーズを捉えて行く必要があると考えられます。生産者の方々も新品種導入の際には「観賞期間の長さ」を考慮した品種の選定をしてはいかがでしょうか。

初掲載:平成30年6月

農林総合研究センター

花植木研究室

研究員

室田有里

電話:043-291-0151

お問い合わせ

所属課室:農林水産部担い手支援課専門普及指導室

電話番号:043-223-2911

ファックス番号:043-201-2615

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?