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更新日:令和2(2020)年6月4日
ページ番号:7407
水稲栽培において良質米を安定して生産するためには、品種、栽培法、土壌条件及び生育の状況に応じた適正な施肥が大切です。
また、多収を目指す飼料用米の栽培は、多肥栽培が不可欠です。分げつを旺盛にして穂数を確保する基肥はもちろん、一穂籾数の減少を抑え、登熟を良好にする穂肥を適切な時期に施用することが重要です。
穂肥の施用時期は、幼穂形成期を基準に品種ごとに適期を判断できます(表1)。幼穂形成期とは、主桿における長さ1ミリメートル以上の幼穂の割合が80パーセント以上になったときのことで、栄養生長から生殖生長へ生育が転換する大切な生育ステージです。
幼穂形成期は、1圃場につき平均的な5株を選び、株の中の最も草丈の高い茎を抜き取って、図1のように確認します。
穂肥の施用時期が早いと、下位節間が伸長し桿が弱くなることによる倒伏、籾数過剰による登熟不良、玄米の外観品質低下を招くおそれがあります。反対に施用時期が遅れると、籾数を十分に確保できず減収となる上、米粒の粗タンパク含有率が高まりやすく、食味が低下することがあります。
図1.幼穂の確認方法(稲作標準技術体系、千葉県、平成26年)
品種 |
穂肥施用時期 |
---|---|
コシヒカリ |
幼穂形成期7日後頃から15日後頃の間(幼穂長1~8センチメートル) |
ふさこがね |
幼穂形成期から7日後頃(幼穂長1センチメートル) |
ふさおとめ |
幼穂形成期から1週間以内(幼穂長1ミリメートル~1センチメートル) |
飼料用米多収品種 (アキヒカリ、夢あおば) |
幼穂形成期前5日頃から幼穂形成期後5日頃 (ただし、最高分げつ期に葉色が低下した場合は、すぐに追肥) |
(水稲の生育状況と当面の対策(第3報)、千葉県農林水産部、平成28年)
※幼穂形成期の茎数が生育目標の範囲内の場合
穂肥の施用量は、幼穂形成期に適正な生育量を過不足なく達成しているかどうかで判断します。各品種の幼穂形成期における適正な生育量は表2のとおりです。過不足なく達成している場合、10アールあたりの施用量は「ふさおとめ」、「ふさこがね」、「コシヒカリ」は、窒素と加里を成分量で各3キログラムです。(房総南部の粘質土では、窒素成分を「ふさおとめ」は1~2キログラム、「ふさこがね」は2~3キログラム、「コシヒカリ」は2キログラムです。)表2の数値を大きく下回る場合は、穂肥の増量または施用時期を早めます。また、大きく上回る場合は穂肥を減量するか無施用にします。
また、「飼料用米多収品種(専用品種)」は、窒素を単肥で10アールあたり3キログラム施用します。
品種 | 草丈 | 茎数 | 葉色 (カラ―スケール値) |
---|---|---|---|
コシヒカリ | 70センチメートル以下 | 23本~30本/株 | 3.5~4.0 |
ふさこがね | 60~65センチメートル以下 | 25本~27本/株 | 5 |
ふさおとめ | 55センチメートル以下 |
|
4 |
(水稲の生育状況と当面の対策(第3報)、千葉県農林水産部、平成28年)
※坪60株植え(株間18センチメートル×条間30センチメートル)の場合
※葉色は葉色カラースケール(富士平興業製)を約3センチメートル離して観察する
初掲載:平成29年6月
印旛農業事務所改良普及課
成田グループ
普及技術員
青木教枝
電話:043-483-1124
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