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更新日:平成31(2019)年4月23日

水稲育苗期の病害防除

水稲育苗期に発生する病害は、種類により症状や多発要因が異なりますが、主に種もみや土壌などから伝染し、高温や低温などが発生を助長します。病害を予防するため、育苗期の防除や管理について、見直しましょう。

1.水稲育苗期に発生する主な病害

(1)糸状菌によるイネ苗立枯病

イネ苗立枯病はリゾープス菌などの糸状菌によって、苗に生育不良や枯死を引き起こします(表1)。菌の侵入等で汚染された培土などから伝染します。育苗期間中、ビニルハウス内が高温になったり低温になったりすると発生が助長されます。

表1.イネ苗立枯病の原因となる主な糸状菌

糸状菌の種類

特徴的な症状

発生しやすい条件

リゾープス菌

苗箱の表面が白色や灰色のカビで覆われる。根の先端がふくらんで伸長が止まる。生育が不良となり、枯死も発生する

出芽時の35℃以上の高温・多湿

フザリウム菌

籾の周囲や地際部に白色~淡紅色のカビがみられる

培土のpHが5.5以上
緑化期間中に10℃以下の低温に遭遇
培土の乾燥や過湿

トリコデルマ菌

苗の地際部に白色のカビがみられ、その後は青緑色のカビに変わる

培土pHが4.0以下
出芽時の高温(30℃前後)
床土の乾燥

ピシウム菌

葉が萎れ、下葉が褐変して、やがて枯死する。他の糸状菌と異なり、地際部や表面にカビの発生はみられない

緑化期以降の低温

(2)細菌病

細菌病にはもみ枯細菌病、苗立枯細菌病、褐条病などがあります(写真1)。種子伝染し、育苗期の高温管理が発生を助長するので注意が必要です。もみ枯細菌病や苗立枯細菌病は、育苗中に周囲の苗に伝染し、ひどくなると苗箱全体が枯死します。これらの病気は、発生してしまうと治療することができないので、種子の消毒が重要です(表2)。

写真1細菌病による苗の枯死

写真1.細菌病による苗の枯死

 

表2.水稲育苗中に発生する主な細菌病

種類

特徴的な症状

発生しやすい条件

もみ枯細菌病

葉身基部が白化し、のちに腐敗枯死する。やがて苗箱全体に枯死が拡がる。感染した苗の新葉は手で引き抜ける

催芽や育苗期の高温(30℃以上)管理

苗立枯細菌病

初期症状は、もみ枯細菌病に似ている。後期になると葉が萎れ、やがて枯死する。もみ枯細菌病と異なり、新葉は腐敗せず、簡単には引き抜けない

催芽や育苗期の高温(30℃以上)管理

褐条病 葉に褐色のすじが入り、苗が湾曲する 催芽や育苗期の高温管理

2.防除対策

(1)種子消毒

薬剤による浸漬等で種子を消毒し、病害発生を予防します(表3)。

表3.処理方法別の主な種子消毒薬剤

 

処理

方法

薬剤名

使用時期

希釈倍数・使用量・処理時間

細菌

糸状菌

苗立枯細菌病

もみ枯細菌病

褐条病

ばか苗病

いもち病

ごま葉枯病

苗立

枯病

リゾープス菌

トリコデルマ菌

浸漬

スポルタック乳剤

浸種前

100倍10分間又は1,000倍24時間

 

 

 

 

 

テクリードCフロアブル

浸種前

20倍10分間又は200倍24時間

トリフミン水和剤

浸種前

 

30倍10分間又は300倍24~48時間

 

 

 

 

 

ヘルシードTフロアブル

浸種前

20倍10分間

 

浸種前

200倍24時間

 

 

 

モミガードC・DF

浸種前

200倍24時間

 

 

エコホープ

浸種前~催芽前

200倍24~48時間

 

 

催芽時

200倍24時間

 

 

エコホープDJ

浸種前~催芽前

200倍24~48時間

 

 

 

 

浸種前~催芽時

200倍24時間

 

 

 

 

 

 

催芽時

200倍24時間

 

 

 

 

タフブロック

浸種前

20倍1時間

 

 

 

 

 

 

浸種前~催芽前

20倍1時間

 

 

 

 

催芽前

200倍24~48時間

 

 

催芽時

200倍24時間

 

湿粉衣

トリフミン水和剤

浸種前

乾もみ重0.5%

 

 

 

 

 

タフブロック

浸種前

種子重量の2~4%

 

 

 

 

種子重量の4%

 

 

 

 

 

 

塗沫(使用量は乾もみ1キログラム当たり)

スポルタック乳剤

浸種前

40倍液30ミリリットル

 

 

 

 

 

テクリードCフロアブル

浸種前

7.5倍液30ミリリットル又は4倍液20ミリリットル

トリフミン乳剤

浸種前

5~10倍液30ミリリットル

 

 

 

 

 

ヘルシードTフロアブル

浸種前

7.5倍液30ミリリットル

 

モミガードC・DF

浸種前

7.5倍液30ミリリットル

 

 

注1)テクリードCフロアブル、モミガードC・DFは、ハト胸催芽機やエアレーション付きの水槽等で浸種すると、有効成分の銅により黒色の粘性物が発生する場合があるので使用しない。また、使用器具には亜鉛製のものは使用しない。テクリードCフロアブル、モミガードC・DFを処理した種子を10℃以下の低水温で浸種すると催芽や出芽が遅延、抑制される場合があるので、10℃以上の浸種水温を確保する。また、は種後にも発芽抑制、根の伸長抑制などの初期生育遅延が認められることがある。
注2)トリフミンは、第1葉がよじれて初期生育が若干遅れるので、草丈の伸びにくい品種では管理に注意する。

(2)育苗箱の消毒

ケミクロンG又はイチバンで消毒します。ケミクロンGの場合は1,000倍液の10分間浸漬か、500倍液の瞬間浸漬又はジョウロ散布とします。処理後は水洗し、日光に当てて乾燥させます。金属類や木製の育苗箱等の消毒は1,000倍液の10分間浸漬とします。イチバンの場合は500~1,000倍液の瞬間浸漬又はジョウロ散布とします。ただしイチバンは、細菌病には効果がないので注意が必要です。

(3)育苗期間中の薬剤による病害防除

細菌病予防の種子消毒を行わなかった場合にはカスミン剤を用いて床土と覆土の消毒を行う必要があります(表4)。粒状合成培土やロックウール成形培地を使用する場合も苗立枯病の予防は必要です(表5)。また、県内では、もみ枯細菌病と褐条病に対する薬剤耐性菌の発生が確認されており、薬剤選定に当たっては注意事項を確認して薬剤を選びましょう。
(殺菌剤使用ガイドライン;植物病理学会殺菌剤耐性菌研究会)外部サイトへのリンク

表4.細菌性病害の主な防除薬剤

薬剤名

使用時期

処理方法

1箱当たり使用量

苗立枯細菌病

もみ枯細菌病

褐条病

カスミン粒剤

は種前

床土・覆土混和

30グラム

覆土前

は種後覆土前散粒

15~20グラム

覆土前

覆土混和

15~20グラム

カスミン液剤

4~8倍液

覆土前

専用ノズルを使用し、は種後覆土前に散布し、散布後直ちに覆土する。

50ミリリットル

フタバロンA粉剤

覆土前

覆土混和

5グラム

エコホープ200倍液

は種時覆土前

散布

500ミリリットル

 

 

注)表中の薬剤の使用量は、箱当たりの用土の量を5リットル、覆土を1リットルとして算出した。

表5.苗立枯病(糸状菌)の主な防除薬剤

薬剤名

使用時期

処理方法

1当たり使用量

ムレ苗の防止

苗立枯病の原因糸状菌

ピシウム菌

フザリウム菌

トリコデルマ菌

リゾープス菌

ダコニール粉剤

は種前

粉剤は床土、覆土混和

 

液剤、水和剤はかん注

 

15~20グラム

 

 

 

 

ダコニール1000

500~1,000倍液

は種時~緑化期(但し、は種14日後まで)

500ミリリットル

 

 

 

 

ダコレート水和剤400~600倍液

は種時~緑化期(但し、は種14日後まで)

500ミリリットル

 

 

タチガレン粉剤

は種前

3~6グラム

 

 

 

4~8グラム

 

 

 

 

タチガレエースM粉剤

は種前

6~8グラム

 

 

タチガレエースM液剤500~1,000倍液

は種時又は発芽後

500ミリリットル

 

 

タフブロック200倍液

は種時覆土前

かん注

200ミリリットル

 

 

 

 

注1表中の薬剤の使用量は、箱当たりの用土の量を5リットルとして算出した。

(4)温度管理

水稲育苗期の病害は種子予措から育苗期の温度管理が適切でないと病気が発生しやすくなります。温度管理を適切に行い、病害を予防しましょう。

  1. 種もみ浸種は10~15℃の水温で行います。浸種の水温が低い(10℃未満)と発芽率が低下し、20℃以上になると細菌性病害が発生しやすくなるので、水温管理に注意が必要です。積算温度は100℃を目安とします(水温10℃で10日間、15℃で7日間が目安)。
  2. 細菌性病害の予防のため、催芽温度は30℃より高くしないようにします。出芽を揃えるため、ハト胸状態(芽が1ミリリットル程度出た状態)になるまで行います。
  3. 細菌性病害予防のために、は種後は床土の温度を適温の範囲になるようにします。特に、無加温の平置き育苗では、天候によって培土の温度が変化するので、被覆資材の特性や天候に合わせた換気作業を行いましょう(表6)。
表6.播種後の温度管理

区分

出芽

緑化

(稚苗)

硬化

(稚苗)

加温出芽

無加温出芽

日数の目安

2日

5日前後

2~4日

15~20日

温度

30℃

20~30℃

20~25℃

5~25℃

30℃

10~20℃

10~20℃

※農薬については、初掲載(平成28年3月)時点の登録内容をもとに作成しております。農薬の使用にあたっては、ラベルおよび最新の登録内容を確認し、遵守して使用してください。

(農薬登録情報提供システム;独立行政法人農林水産消費安全技術センター)外部サイトへのリンク

初掲載:平成28年3月
農林総合研究センター
病害虫防除課北総分室
副主査
永井伸拓
電話:0478-54-4582

よくある質問

お問い合わせ

所属課室:農林水産部担い手支援課専門普及指導室

電話番号:043-223-2911

ファックス番号:043-201-2615

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