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更新日:令和元(2019)年9月20日

ナシの育種を短縮する新技術

1.はじめに

近年、ニホンナシでは新たな品種が次々に発表されていますが、新品種の作出(育種)には長い年月を要します。その理由の一つは、交雑により得られた実生苗には一定期間花芽が着生しない性質があるため、播種から開花までに6年程度かかり、その間は果実品質の評価や選抜をできないことにあります。
そこで、実生苗の生育を促進させることにより、開花を早める技術を開発しましたので紹介します。

2.播種後1年で高接ぎ用の穂木を採取する

育種の最初の工程では、交雑により得られた実生苗から穂木を採取し、成木に高接ぎします。この接ぎ木に用いる穂木の直径は7~8ミリメートルが適しており、これまでの慣行法ではその太さにするまで2~3年を要していました。本技術は、液肥(窒素6パーセント)1,000倍液を実生苗に週1回かん注して生育を促進する方法で、これにより、播種後1年で高接ぎに適した太さの穂木を育成することができます。

3.播種後2年目に桃沢式育成法を行い、3年目に高接ぎする

実生苗から採取した穂木を成木に高接ぎすると、花芽が着生するのは早くても2~3年後です。そこで、成木に高接ぎする前に、「あきづき」(4年生)に実生苗から採取した穂木を接ぎ木し、伸長した新梢を架線に誘引して垂直方向に育成する桃沢式育成法(注1)を用いると、1年後の枝長は280センチメートルで慣行法の2.7倍となり、生育を大幅に促進できます(写真1)。
この先端から穂木を採取して成木に高接ぎすると、翌年に花芽が着生する枝の割合は、慣行法の7パーセントより極めて高い56パーセントとなり、花芽の着生を早めることができます。

注1)架線を利用した桃沢式育成法については下記文献を参照
吉岡四郎・石田時昭(1982)架線方式によるナシ大苗の育成法.外部サイトへのリンク


写真1.桃沢式育成法による生育促進
(接ぎ木10か月後の状態、この先端から穂木を採取して成木に高接ぎする)

4.播種後4年目に「幸水」の予備枝育成法に準じた誘引法を行う

桃沢式育成法に加えて、「幸水」の予備枝育成法(注2)に準じた誘引法を行うことにより花芽の数を更に増やすことができます。すなわち、播種後4年目の春に、高接ぎした枝の先端から伸長した新梢を垂直に立たせた後、6月下旬に棚面との仰角が約30度になるように誘引します(写真2)。この誘引により、1年後に花芽が着生する枝の割合及び枝当たりの花芽の数はそれぞれ100パーセント、41個となり、桃沢式育成法のみの場合の89パーセント、26個、慣行法の67パーセント、9個に比べて生育を促進することができます。結実数が増えることで、果実品質の評価や選抜を早く進めることができるようになります。

注2)「幸水」の予備枝育成法については下記文献を参照
加藤修(2008)ニホンナシ'幸水'の栽培の現状に関する一考察(2)主に千葉県東葛飾地域におけるえき花芽利用について.外部サイトへのリンク


写真2.「幸水」の予備枝育成法に準じた誘引法
(直立させた枝を6月下旬に仰角30度に誘引)

5.おわりに

以上のように、実生苗への液肥のかん注、桃沢式育成法及び「幸水」の予備枝育成法に準じた誘引法を組み合わせた生育促進技術を用いれば、播種から開花までに要する年数を従来の6年から4年程度に短縮することができます。


初掲載:平成28年9月

農林総合研究センター
暖地園芸研究所
特産果樹研究室
主任上席研究員
押田正義
電話:0470-22-2603

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