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更新日:令和元(2019)年8月15日

高泌乳牛への濃厚飼料多給は繁殖性を低下させる可能性がある

近年の乳牛は泌乳能力が飛躍的に向上した反面、繁殖性が年々低下し、分娩間隔の長期化が生産性向上の障害となっています。
高泌乳牛では分娩後の乳量の増加が著しく、その膨大な栄養要求量を満たすためには、濃厚飼料の多給を継続することが必要です。しかしながら、濃厚飼料多給によるルーメン(第一胃)環境の悪化が乳牛の繁殖成績の低下の要因となるとされています。そこで、高泌乳牛への濃厚飼料の多給が、乳生産性、繁殖性や第一胃内容液中のエンドトキシン濃度に及ぼす影響について、粗飼料を充分に給与する場合と比較する研究を行いました。同時に、エンドトキシンの吸着が期待できるラクトフェリン(LF)や抗酸化物質のアスタキサンチン(AX)を添加してその効果を検討したので紹介します。

  • エンドトキシン:グラム陰性菌が死滅する際に細胞壁から遊離する毒素で、血中に移行すると直接、間接的に多くの臓器に悪影響を及ぼす。第一胃内細菌はグラム陰性菌が主体。
  • アスタキサンチン(AX):ファフィア酵母由来の強力な抗酸化物質。
  • ラクトフェリン(LF):乳清蛋白質でエンドトキシンに対する強力な結合親和性と失活作用を示す。

1.試験方法

公立6試験場の2産以上のホルスタイン種雌牛32頭について、チモシー乾草と濃厚飼料の混合割合に差を設けました。粗飼料を充分に給与してNDF水準を38%に設定したNDF38%区:12頭、粗飼料を減らして濃厚飼料を増やしNDFを30%に設定したNDF30%区:10頭、NDF30%の飼料にアスタキサンチン(AX)400ミリグラムとラクトフェリン(LF):10gを添加したNDF30%添加区:10頭の3区とし、分娩前3週から分娩後16週まで飼養試験を行いました。

2.主な結果

(1)分娩3週前、分娩時、分娩後16週後の体重(キログラム)はNDF38%区:714、655、616、NDF30%区:704、649、664、NDF30%添加区:731、655、669となり、濃厚飼料を多給することで分娩後の体重の回復が高まりました(図1)。
図1体重の推移

(2)分娩後16週間の平均乳量(キログラム)は、NDF38%区:37.5、NDF30%区:40.1、NDF30%添加区:38.5となり、濃厚飼料を多給することで増加しました(図2)。乳脂率(%)はNDF38%区:4.08、NDF30%区:3.12、NDF30%添加区:3.63となり、濃厚飼料の多給によりNDF30%区で著しく低下しましたが、添加区で乳脂率の低下が軽減される傾向を示しました。
図2乳量の推移

(3)第一胃内容液中のエンドトキシンの濃度は、NDF38%区では試験期間をとおして低値で推移しました。濃厚飼料を多給したNDF30%区では分娩後大幅に増加しましたが、AX、LFの添加によりやや低下する傾向を示しました。(図3)
図3第一胃内エンドトキシン濃度の推移

(4)繁殖性では、受胎率(受胎数/供試頭数)、初回排卵までの日数、空胎日数がそれぞれNDF38%区:60%、32、119、NDF30%区:60%、24.4、134、NDF30%添加区:90%、27、122となりました。

3.まとめ

分娩後に濃厚飼料多給条件で飼養した乳牛は、粗飼料を充分に配合した飼料を給与した乳牛に比べて、体重の回復が早く泌乳量も多いですが、乳脂率の低下、空胎日数の延長、第一胃内容液中のエンドトキシン濃度の上昇など負の影響が見られました。しかし、アスタキサンチン(AX)およびラクトフェリン(LF):添加は、第一胃内エンドトキシン濃度の低下や空胎日数を短縮し受胎率を高めるなど、乳生産や繁殖成績を改善する可能性があると考えられました。
なお、本試験は農林水産省(新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業)の委託を受けて(国)農研機構畜産研究部門が中核機関となり共同研究として実施しました。

 

初掲載:平成28年8月

畜産総合研究センター
乳牛肉牛研究室
室長
川嶋賢二
電話:043-445-4511

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