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更新日:平成30(2018)年11月28日

畜産排水の窒素低減化処理技術

1.はじめに

畜産汚水の浄化処理施設からの排水を河川などの公共用水域に排出する場合は、水質汚濁防止法の規制がかかります。本法律では、総面積50平方メートル以上の豚房、200平方メートル以上の牛房、500平方メートル以上の馬房を有する畜産経営を特定事業場として、排水量に応じて各項目の排水基準が定められています。このうち、「アンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸化合物及び硝酸化合物」(以後、硝酸性窒素と称します)に関する規制では、人の健康に影響を及ぼすおそれがある項目(健康項目)に指定されていることから、水域や排水量に関係なく、すべての特定事業場に適用されます。
硝酸性窒素の排水基準は、一般基準として100mg/Lが設定されていますが、畜産では一般基準の達成が困難なことから、平成13年に1,500mg/Lの暫定基準が設けられ、平成25年時点で700mg/Lまで引き下げられました。いずれは一般基準まで規制の強化が予想されることから、畜産においても一般基準を目標とした汚水処理に取り組む必要があります。
そこで、窒素除去(脱窒)に効果的な処理技術の開発に取り組みましたので紹介します。なお、この技術開発は国立研究開発法人農研機構畜産草地研究所との共同研究で実施しております。

2.脱窒処理技術について

脱窒処理技術には、硫黄を使って排水中の硝酸性窒素を窒素ガスに変えて大気中に放出して除去を行う硫黄酸化脱窒細菌の働きを利用した方法(硫黄脱窒法)を用いました。この細菌は排水中に常時存在しており、水の中に酸素が無い条件下(嫌気状態)で硫黄を使って硝酸性窒素を除去します。

3.脱窒処理に利用する資材について

硫黄脱窒に必要な硫黄資材には、固形状の粗砕硫黄及び粉末硫黄を使用しました(写真1,2)。粗砕硫黄は工業用製品の原料として、粉末硫黄は農業用に土壌pH調整用資材として流通している資材です。なお、粉末硫黄を使用する場合は、そのままでは水に馴染まないことから、あらかじめ家庭用中性洗剤などで親水化処理を行う必要があります。

写真1粗砕硫黄
写真1.粗砕硫黄

写真2粗粉末硫黄

写真2.粗粉末硫黄

4.開発した脱窒処理システムの概要

脱窒処理システムには、土木工事用土砂沈殿分離タンク(水有効容積500リットル)を脱窒反応槽として、2槽連結させて使用しました(図1)。このタンクの内部は、2枚の仕切板により3区画に分けられており、一方から流入した水は上下迂流方式で自然流下します(図2)。そのため、タンク底面に硫黄資材を充填しておくことで、流入した水は硫黄と自然接触し、脱窒反応が開始されます。

図1脱窒処理システムの概要
図1.脱窒処理システムの概要

図2脱窒処理システムの断面図

図2.脱窒処理システムの断面図

5.脱窒効果

養豚浄化槽から排出される処理水を対象として、脱窒反応槽(資材には粉末硫黄を使用)に336~1460mL/分、水有効容積あたりの水理学的滞留時間(HRT)0.5~2.1日で連続投入しました。その結果、試験開始51日目以降に脱窒処理水の硝酸性窒素濃度は一般基準である100mg/L以下まで低減できました(図3)。窒素除去率では最大80%程度まで上昇しております。

図3脱窒処理システムによる脱窒効果

図3.脱窒処理システムによる脱窒効果

6.おわりに

上記の脱窒効果で51日目以降に脱窒が活発化した理由には水温の影響があげられます。51日目までの平均水温は10.0℃で、それ以降は15.4℃で推移しました。脱窒を行う細菌の活動は水温の低下に弱いといえます。その他にも、排水中のリン濃度や炭素濃度などが脱窒効果に影響を及ぼすことから、これら脱窒条件を精査するとともに、冬期の保温対策についても検討を進め、早期の実用化を目指します。

 

初掲載:平成27年12月

畜産総合研究センター
企画環境研究室
研究員
長谷川輝明
電話:043-445-4511

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