ここから本文です。

更新日:令和3(2021)年6月25日

ページ番号:7293

校庭の芝生化に適した踏圧に強い芝草

1.はじめに

近年、都市部を中心に学校や幼稚園の校庭・園庭(以下「校庭」という)を芝生化する取組が始まっています。校庭の芝生の維持管理で最も問題となっているのが踏圧による芝生の裸地化です。芝草は、品種によって耐踏圧性が異なります。特に、利用頻度が高い校庭では踏圧に対する耐性の高い芝草の植栽が必要です。品種をうまく使い分けることで、踏圧による芝生の裸地化は軽減できます。

ここでは、校庭の芝生化に適した踏圧に強い芝草について紹介します。

2.踏圧障害に強い芝草

(1)暖地型芝草

暖地型芝草の踏圧障害に対する耐性を回復の早さで比較すると、ハイブリッドバミューダグラスがコウライシバやノシバに比べて耐性が高く、踏圧の激しい校庭に適しています(写真1-1、1-2、1-3)。

写真1-1暖地型芝草の踏圧傷害に対する耐性の違い(8月中旬撮影)ハイブリッドバミューダグラス

写真1-1
暖地型芝草の踏圧傷害に対する耐性の違い(8月中旬撮影)
ハイブリッドバミューダグラス

写真1-2暖地型芝草の踏圧傷害に対する耐性の違い(8月中旬撮影)コウライシバ

写真1-2
地型芝草の踏圧傷害に対する耐性の違い(8月中旬撮影)
コウライシバ

写真1-3暖地型芝草の踏圧傷害に対する耐性の違い(8月中旬撮影)ノシバ

写真1-3
暖地型芝草の踏圧傷害に対する耐性の違い(8月中旬撮影)
ノシバ

注)踏圧処理は、3から8月に軽トラックで芝生上を往復することで行った

(2)ウィンターオーバーシーディング用寒地型芝草

ウィンターオーバーシーディングは、毎年9月中旬から10月中旬に暖地型芝草の上に寒地型芝草の種子を追い播きする技術です。ウィンターオーバーシーディングのためには、専用の寒地型芝草(主にペレニアルライグラス)が販売されています。

踏圧障害が激発している校庭では、ウィンターオーバーシーディング用寒地型芝草の中から踏圧障害に強い品種や系統を選択します(写真2-1、2-2)。

写真2-1寒地型芝草の踏圧傷害に対する耐性の違い(1月下旬撮影)踏圧耐性:強い

写真2-1
寒地型芝草の踏圧傷害に対する耐性の違い(1月下旬撮影)
踏圧耐性:強い

写真2-2寒地型芝草の踏圧傷害に対する耐性の違い(1月下旬撮影)踏圧耐性:弱い

写真2-2
寒地型芝草の踏圧傷害に対する耐性の違い(1月下旬撮影)
踏圧耐性:弱い

注)踏圧処理は、12から1月に軽トラックで芝生上を往復することで行った

3.芝生化に適正な校庭の規模と芝草の種類

生徒1人当たりの校庭面積を元に植栽する芝草の種類を使い分けましょう。生徒が運動する場所の面積(校庭+体育館)を生徒数で割った値が4平方メートル以上あれば、校庭の芝生化は可能です(表1)。

ハイブリッドバミューダグラスは踏圧に対する耐性が強く校庭の規模を選びませんが、コウライシバやノシバは踏圧に対する耐性が弱く、生徒1人当たりの校庭面積は10平方メートル以上必要です。7平方メートル以下では、養生期間を長く設ける、裸足で活動するなど、利用制限を強める必要があります。4平方メートル以下では校庭の芝生化は困難です。

表1_芝生化に適正な校庭の規模と芝生の種類

生徒1人当たりの校庭面積

芝草の種類

備考

15平方メートル以上

コウライシバ、ノシバ、ハイブリッドバミューダグラス

 

10から15平方メートル

コウライシバ、ノシバ、ハイブリッドバミューダグラス

コウライシバ、ノシバでは利用制限

7から10平方メートル

ハイブリッドバミューダグラス

利用制限

4から7平方メートル

ハイブリッドバミューダグラス

利用制限
裸足による活動

4平方メートル以下

芝生化困難

 

利用制限:踏圧による障害回避のため養生期間を設ける。特に、4から5月の萌芽期は使用を控える。

4.踏圧程度の高い校庭における芝生管理の留意点

  1. 芝草は刈り高30ミリメートル以上では踏圧に対する耐性が低下する傾向があるため、刈り高は15から20ミリメートルで管理します。
  2. ウィンターオーバーシーディング用寒地型芝草では、茎密度を高めてやることで踏圧に対する耐性が高まるため、一般的な播種量平方メートル当たり40グラムに対し60グラムと多めに播種します。
  3. 12月以降休眠期の芝生地の乾燥は、踏圧に対する耐性を著しく低下させるので、散水して乾燥を防ぎます。
  4. 校庭における芝生の裸地化の原因は、過度の踏圧にあります。裸地化してしまう校庭では踏圧による障害が出た時点で、使用を中止し肥料や灌水など適切な管理を行い芝生を養成する必要があります。

5.おわりに

校庭の芝生化は全国的に推進されてきています。適切な品種と管理とで芝生化を成功させましょう。

初掲載:平成26年3月

農林総合研究センター生産技術部
花植木研究室
主席研究員
加藤正広
(電話:043-291-0151)

お問い合わせ

所属課室:農林水産部担い手支援課専門普及指導室

電話番号:043-223-2911

ファックス番号:043-201-2615

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?