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ホーム > しごと・産業・観光 > 農林水産業 > 農業・畜産業 > 普及・技術 > 千葉県農業改良普及情報ネットワーク > フィールドノート履歴一覧 > フィールドノート平成26年 > いぬまきを加害するケブカトラカミキリの生態と防除
更新日:令和3(2021)年6月25日
ページ番号:7290
ケブカトラカミキリは体長が8から14ミリメートルの小型のカミキリムシです(写真1)。
幼虫が「いぬまき」や「なぎ」の形成層部分を食害すると樹勢の低下や退緑が生じて、数年で枯死に至ります。
幼虫の食害は樹木の外見からは分かりません。被害の有無は「成虫が発生するときに樹皮を食い破ってできる直径3ミリメートル程度の穴(写真2)」で確認します。
1年の大半を樹体の内部で過ごしているので、虫の姿を見ることができるのは「成虫が発生して交尾・産卵する4月から6月」に限られます。
千葉県では平成20年に初めて被害が確認されました。平成25年現在では、匝瑳市、横芝光町、山武市、及び多古町で被害が確認されています。
写真1_ケブカトラカミキリ成虫
写真2_成虫が食い破ってできた穴
被害の拡大を防止するためには、被害を早期に発見して、成虫が発生する以前に伐採・処分することが重要です。伐採・処分の注意事項は次のとおりです。
生きた木にしか産卵しないので、枯死して数年経った株にはケブカトラカミキリはいません。
樹体内にケブカトラカミキリが生息している生木、又は枯死直後の株を伐採しましょう。
伐採後放置すると翌春に成虫が発生し、他のいぬまきに広がる可能性があります。
伐採後には焼却、破砕、又は薬剤によるくん蒸処理をして樹体内の成虫や幼虫を駆除しましょう。
くん蒸剤としてはカーバム剤(商品名:ヤシマNCS)が農薬登録されているので使えます。
※農薬は初掲載(令和3年6月)時点の登録内容をもとに記載しております。農薬の使用にあたっては、ラベルおよび最新の登録内容を確認し、安全に使用してください。
加害が少ない場合には生育している株への薬剤散布も有効です(表1)。ただし、株への薬剤散布は「樹体の中にいる成虫や幼虫には効果がない」ため、成虫が発生するタイミングに合わせて散布しないと防除できません。
また、成虫は発生直後から交尾・産卵するので「産卵前に退治する」ことが必要です。成虫の発生時期は年次変動が大きく、また薬剤の残効は2週間程度と短いので、その年の成虫発生時期を推定し、薬剤散布を複数回行うことが重要です。
なお、成虫発生時期は、ケブカトラカミキリ防除支援情報システム「けぶかとらなび」(図1)を利用して推定することができます。ケブカトラカミキリ防除支援情報システム「けぶかとらなび」は千葉県農林水産部担い手支援課(技術振興室、tel.043-223-2907)に利用申請することで入手できます。
一般名(商品名) |
希釈倍数/使用方法 |
適用害虫 |
作物名 |
---|---|---|---|
MEP乳剤80 (商品名:スミパイン乳剤) |
50~150倍/樹幹散布 成虫の発生初期又は直前に6回以内 |
カミキリムシ類 (スギカミキリを除く) |
樹木類 |
エトフェンプロックスマイクロカプセル剤 (商品名:トレボンMC) |
2,000倍/散布 6回以内 |
ケブカトラカミキリ |
いぬまき |
エトフェンプロックス乳剤EW (商品名:トレボンEW) |
2,000倍/散布 6回以内 |
ケブカトラカミキリ |
いぬまき |
※農薬の使用にあたっては、ラベルおよび最新の登録内容を確認してください。
図1_「けぶかとらなび」の出力画面
いぬまきは千葉県内で生け垣や庭木に多用されているほか、生産も盛んに行われている重要な樹木です。ケブカトラカミキリによる被害の拡大を防ぐには「被害を早期に発見し防除する」ことが重要です。
千葉県では各農業事務所が防除の指導を行っています。御遠慮なく御相談ください。
初掲載:平成26年2月
農林総合研究センター生産環境部
病理昆虫研究室
研究員
武田藍
(電話:043-291-9991)
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