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更新日:令和3(2021)年6月25日

ページ番号:7289

ガーベラ養液栽培に発生する株枯れ症状の原因と対策

1.ガーベラ株枯れ症状とは

切り花として人気があるガーベラは需要が増えており、周年出荷されています。

千葉県内のガーベラのロックウール栽培では、10年ほど前から株枯れ症状による生産量の減少がみられ、経営上の大きな問題になっています(写真1)。株枯れ症状を起こす原因の1つとしてガーベラ株枯病菌(Haematonectriaipomoeae)が知られています。本菌は、橙赤色の子のう殻を形成することが特徴で(写真2)、病原性は弱く、これまで接種による激しい病徴の再現はできませんでした。

写真1_ガーベラ株枯れ症状

写真2_腐敗したクラウンに形成されたガーベラ株枯病菌の子のう殻

2.ガーベラ株枯れ症状の発生要因は培地の過湿と病原菌

ロックウール栽培のガーベラで試験を行ったところ、培地の水分を適湿で管理した区では株枯病菌の接種の有無にかかわらず株枯れ症状の発生は認められませんでした。しかし過湿で管理した区では、病原菌を接種しなくても過湿により主根の腐敗や地上部の生育不良が見られました。さらに株枯病菌を接種すると、症状が激しくなり枯死株の発生頻度も高まりました(表1)。このことから、培地の過湿によって株枯れ症状が発生し、ガーベラ株枯病菌が感染することで発生が著しくなることが明らかになりました。

表1_培地の水分状態とガーベラ株枯病菌の接種がガーベラ株枯れ症状の発生に及ぼす影響

培地の水分状態

ガーベラ株枯病菌の接種

適湿

-1)

-

過湿

++

1)-:健全、+:生育不良、++:著しい生育不良又は枯死

3.株枯れ症状を防止する対策技術

(1)培地の選択

生産ほ場におけるロックウール培地の水分含量(体積水分率)は80から90パーセントと過湿になるため、ロックウール栽培では、定植2年目には80パーセント以上の株が生育不良になるか又は枯死し、栽培を継続するのが困難になります。一方、ヤシ殻繊維培地を用いたプランター栽培では、水分含量を30から40パーセントと低く維持することができるため、定植2年目までの生育不良株及び枯死株の割合を20パーセント以内にとどめることができます(図1)。

図1_培地が異なるベンチの定植2年目のガーベラ株枯れ症状の発生状況(現地)

(2)排水対策

ヤシ殻繊維培地によるプランター栽培ではロックウール栽培よりも排水性は改善されますが、プランター底部が過湿になる場合があります。そこで、プランターの側面下部にスリットを切って排水ひも(テープ状のかん水マット)を垂らすと排水が促されて、プランター底部の過湿を防止することができます(図2)。これによって株枯れ症状の発生をさらに抑制することができます。

図2_プランター側面下部に排水ひもを設置した模式図

 

初掲載:平成26年1月

農林総合研究センター
暖地園芸研究所野菜・花き研究室
上席研究員
海老原克介
(電話:0470-22-2963)

 

お問い合わせ

所属課室:農林水産部担い手支援課専門普及指導室

電話番号:043-223-2911

ファックス番号:043-201-2615

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