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更新日:令和3(2021)年6月25日
ページ番号:7291
海外では日本の伝統的な植木・盆栽類への人気が高まっており、千葉県は全国の輸出額の4割を占める重要な生産拠点となっています(図1)。しかし、輸出量の増加とともに、検疫で土壌中から植物寄生性線虫が検出される事例が多発し、早急な対策が求められています。植木圃場からは様々な植物寄生性線虫が検出され、その中でもオオハリセンチュウ(図2)は検出率が高く、輸出相手国で最も警戒されている線虫です。千葉県農林総合研究センターでは、植木輸出促進に向け、オオハリセンチュウに対する薬剤防除技術を確立しました。
図1植木・盆栽類の輸出額の推移
図2オオハリセンチュウ
根巻きした植木の根部を薬剤に浸漬する「根部浸漬処理」によるオオハリセンチュウ防除効果を検証した結果、MEP乳剤及びベノミル水和剤において高い密度低減効果が確認されました。一方、別の植物寄生性線虫であるネグサレセンチュウに対して、効果が確認されているホスチアゼート液剤は、オオハリセンチュウに対しては密度低減効果が確認されませんでした。また、オオハリセンチュウに効果のあったMEP乳剤とベノミル水和剤はネグサレセンチュウに対する効果は認められませんでした。これらのことから、発生種によって防除薬剤を適切に選択する必要があります(表1)。
表1樹木類の線虫に使用可能な農薬の登録内容(令和3年6月時点)
対象線虫 |
一般名(商品名) |
希釈倍数 |
使用方法 |
---|---|---|---|
オオハリセンチュウ |
MEP乳剤 |
500倍 |
30分間 |
ネグサレセンチュウ |
ホスチアゼート液剤 |
1000倍 |
10分間 |
オオハリセンチュウに対してMEP乳剤及びベノミル水和剤を使用した場合、効果の得られ方が異なります。それぞれの特徴は以下の通りです。
対象となる植物寄生性線虫の種類やそれぞれの薬剤の特徴を把握して適切な処理を行うことにより、検疫における線虫検出リスクを下げ、千葉県ブランド植木の信頼性向上につながることが期待されます。
初掲載:平成26年9月
農林総合研究センター病理昆虫研究室
研究員
武田藍
(電話:043-291-9991)
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