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更新日:平成30(2018)年3月23日

ナシ黒星病の薬剤防除における耐性菌対策

1.国内外におけるDMI剤とQoI剤に対する耐性菌の発生状況

本県のなしの病害防除は表1に記したDMI剤及びQoI剤に依存した体系になっています。

一方では、近年国内でDMI剤耐性の黒星病菌が確認されました。また、QoI剤の耐性菌は海外でリンゴ黒星病において報告がありますし、国内ではリンゴ炭疽病やナシ炭疽病で報告されました。

なお近年流通し始めた農薬のうち、オンリーワンフロアブルやオーシャイン水和剤はDMI剤です。ファンタジスタ顆粒水和剤はQoI剤です。

このように、DMI剤やQoI剤に対する耐性菌発生への注意が必要な状況にあります。

表1_各殺菌剤の分類、使用回数の目安及び耐性菌の報告

系統

殺菌剤の例(商品名)

防除指針における使用回数

耐性菌の報告

黒星病

炭疽病

DMI剤

マネージDF、スコア顆粒水和剤、インダーフロアブル、アンビルフロアブル、オンリーワンフロアブル、オーシャイン水和剤

3

国内4)

登録なし

QoI剤

アミスター10フロアブル、ストロビードライフロアブル、ナリアWDG1)、ファンタジスタ顆粒水和剤

2

海外5)

国内

AP剤2)

フルピカフロアブル、ユニックス顆粒水和剤47、ユニックスZ水和剤、プラウ水和剤

1

なし6)

登録なし

SDHI剤3)

アフェットフロアブル、フルーツセイバー、ナリアWDG1)

1

なし

登録なし

 

注1)

ナリアWDGはQoI剤とSDHI剤の混合剤である。

2)

ユニックスZ水和剤及びプラウ水和剤はAP剤と有機硫黄剤の混合剤である。

3)

アフェットフロアブルとフルーツセイバーは濃度は違うが同一成分である。

4)

国内:国内のナシ栽培で耐性菌の発生の報告がある。

5)

海外:海外のリンゴ栽培で耐性菌の発生の報告がある。

6)

なし:現在のところ、耐性菌の発生の報告はない。

2.AP剤及びSDHI剤の黒星病に対する防除効果

前述の耐性菌の発生を抑制するためには、DMI剤やQoI剤の使用を最小限度にとどめ、ベルクートフロアブルやチオノックフロアブル等の保護殺菌剤を加用する対策があります。また、異なる作用機構を有する薬剤を防除体系に導入することも重要です。

現在、ナシ黒星病に登録のあるDMIやQoI以外の系統の薬剤としてAP剤及びSDHI剤があります(表1)。これらの黒星病に対する防除効果を調査したところ、両系統の薬剤ともに黒星病に高い防除効果が認められました(表2)。

表2_各殺菌剤のナシ黒星病に対する防除効果

供試薬剤

希釈倍数

平成22年

平成23年

平成24年

平成25年

発病度

防除価

発病度

防除価

発病度

防除価

発病度

防除価

フルピカフロアブル

AP剤

2,000

-

-

0.8

93.0

-

-

-

-

ユニックス顆粒水和剤47

AP剤

2,000

-

-

0.1

98.8

-

-

-

-

ユニックスZ水和剤

AP剤

500

-

-

-

-

0.9

96.7

1.6

92.2

アフェットフロアブル

SDHI剤

2,000

-

-

-

-

2.8

89.6

-

-

チオノックフロアブル

保護殺菌剤

500

6.9

64.6

1.6

85.4

-

-

-

-

ベルクートフロアブル

保護殺菌剤

1,500

-

-

0.7

93.8

2.9

89.3

4.1

79.8

無処理

 

 

19.6

 

11.2

 

26.8

 

20.2

 

 

注1)

供試品種は「長十郎」を用い、区制は1区2樹3反復(一部1区1樹3反復)とした。

2)

発病度は高い程発病が激しいことを、防除価は高い程その薬剤の効果が高いことを示す。

3.防除指針における薬剤の利用法

近年本県では黒星病の多発生が続いていることや、1で述べたような国内外での耐性菌発生の報告を受けて、AP剤やSDHI剤の県防除指針への導入を検討しました。現在両系統とも、なしでは耐性菌の報告はありませんが他の作物においては報告されています。

そこで平成26年版千葉県防除指針では、AP剤は保護殺菌剤との混合剤であるユニックスZ水和剤を用いることにしました。4月には主にDMI剤を用いていること、及び登録内容や防除効果等を踏まえ、5月中旬の臨機防除用としてこのユニックスZ水和剤を位置付けたものです。

平成25年は開花が非常に早く、4月中旬までに受粉作業が終了した園が多かったようです。このような園では、防除暦上の散布時期と比べて実際の散布時期が10日間(1回分)早まったと思われます。この場合にも5月中旬までに追加散布をすることで、防除暦が想定する散布時期と実際の散布時期との「ずれ」の解消が期待できます。

一方SDHI剤については、平成25年度版県防除指針に記載しているナリアWDGの成分の一部として既に含まれている状況であり、平成26年度版県防除指針に新たな追加はしていません。

4.おわりに

黒星病に効果が高くかつ新規の作用機構を有する薬剤の開発は、今後しばらくは期待できないと思われますので、現在用いている薬剤について、前述の点に注意して耐性菌の発生を出来るだけ遅らせる必要があります。商品名が異なっても同じ系統の薬剤が多いので、それぞれの薬剤がどの系統に属しているかを把握して利用しましょう。

また、園内の発生状況を常に把握し、耕種的防除を積極的に取り入れ、薬剤防除に依存し過ぎないように注意して、黒星病を効果的に防除しましょう。

※農薬は初掲載(平成26年4月)時点の登録内容をもとに作成しております。農薬の使用にあたっては、ラベルおよび最新の登録内容を確認し、安全に使用してください。

初掲載:平成26年4月

農林総合研究センター
病理昆虫研究室
研究員
金子洋平
電話:043-291-9991

よくある質問

お問い合わせ

所属課室:農林水産部担い手支援課専門普及指導室

電話番号:043-223-2913

ファックス番号:043-201-2615

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