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更新日:平成30(2018)年4月11日

ナシの減化学肥料栽培技術

1.はじめに

近年、肥料価格の高騰から減化学肥料栽培への関心が高まっています。また、なし栽培においては、食味向上を期待して有機質肥料・資材を積極的に利用しようとする機運があります。そこで、なしの減化学肥料栽培技術について紹介します。

2.化学肥料の削減による影響

減化学肥料栽培には、化学肥料を削減して施肥量自体を減らす方法と、化学肥料の削減分を有機質肥料・資材で補填する方法があります。

なし栽培では、化学肥料を削減して施肥量を減らしても、生育や収量に特に問題がみられない場合があります。例えば、「豊水」成木園で、13年間継続して有機質肥料・資材を主体に年間窒素成分施用量を10アール当たり10キログラムとした区は、化学肥料主体の配合肥料で年間窒素成分施用量を10アール当たり20キログラムとした区と比較して、収量や果実品質に差がないという結果が得られています。

一方、「幸水」の新植園で、化学肥料主体の配合肥料を用い、定植時から施肥量を慣行施肥基準の2分の1としたところ、定植3年目から樹の生育が劣り、5年目にかけてその差が拡大することが確認されています。

窒素成分施用量が樹全体の窒素吸収量に満たない場合、樹はその不足分を土壌中の有機物に由来する窒素で補っていると考えられます。しかし、土壌の有機物含量が少なく窒素肥沃度が低い園地や、根群の発達が不十分な若木の場合等は化学肥料の削減による不足分を補うことができず、生育や収量に悪影響が生じると推測されます。こうした条件下では、土壌診断により土壌の肥沃度を把握するとともに、有機質肥料・資材を適切に使用した施肥設計を行って削減分を補填することが重要です。

3.有機質肥料・資材の施用には「エコFIT」を活用

化学肥料削減分を有機質肥料・資材で補填した場合の影響を、「幸水」の若木園で調査しました。化学肥料由来の施用量(窒素成分量)を全窒素成分施用量の概ね半量とする化学肥料減量区、全量を有機質肥料・資材で施用する有機区、全量を化学肥料主体の配合肥料で施用する対照区の3区を設け、5年間継続して同様の施肥を行いました。年間窒素成分施用量は各区共通で、樹齢に応じて10アール当たり15~22キログラムとしました。基肥を11月下旬、追肥を4月中旬と9月上旬の2回に分けて施用しました(表1)。その結果、樹の生育量、収量(表2)及び果実品質に差はみられませんでした。また、土壌化学性にも大きな変化はありませんでした。

有機質肥料・資材に含まれる成分量の全てが樹に有効ではないので、有機質肥料・資材を化学肥料の代わりに利用する場合は、全成分量ではなく肥効率を掛けた有効成分量をもとに施用量を決める必要があります。こうした計算は複雑ですが、千葉県施肥設計支援システム「エコFIT」を用いると、パソコンで簡単に行うことができます。「エコFIT」の入手については、千葉県庁農林水産部担い手支援課技術振興室(電話:043-223-2907)に御照会ください。

表1試験開始から5年目の施肥量(キログラム/10アール)

基肥又は
追肥

資材名

施用量

窒素有効
成分量


基肥

牛ふん堆肥

341

0.8

5.3なたね油かす粉末

221

9.4

追肥

なし専用1号

98

11.8

 

合計

22.0

うち化学肥料由来窒素

10.6

化学肥料由来窒素成分比

48パーセント



基肥

牛ふん堆肥

341

0.8

5.3なたね油かす粉末

221

9.4

追肥

5.3なたね油かす粉末

278

11.8

 

合計

22.0

うち化学肥料由来窒素

0.0

化学肥料由来窒素成分比

 

0パーセント



基肥

なし専用1号

85

10.2

追肥

なし専用1号

98

11.8

 

合計

22.0

うち化学肥料由来窒素

19.8

化学肥料由来窒素成分比

90パーセント

注1)基肥は11月下旬に、追肥は4月中旬と9月上旬の2回に分けて施用した
注2)窒素有効成分量は、施用量×全窒素成分含量×窒素肥効率で算出した

表2施肥方法を異にした「幸水」若木の年次別収量

年度

樹齢
(年生)

収量(キログラム/樹)

平均果重(グラム)

化学肥料減量区

有機区

対照区

化学肥料減量区

有機区

対照区

平成20年

7

3.9

4.2

4.6

273

265

277

平成21年

8

10.3

11.4

10.1

309

312

307

平成22年

9

9.2

8.8

10.1

284

281

285

平成23年

10

25.7

23.7

24.7

287

283

288

平成24年

11

8.4

8.5

7.4

337

346

329

注1)収量は全収穫果の重量とした
注2)平均果重は収量を収穫果数で除して求めた
注3)各年度とも分散分析により試験区間に有意差なし
注4)平成22年及び24年は黒星病の発生により収量が低下した

4.おわりに

化学肥料削減の影響を受けやすい若木園でも、「エコFIT」で算出した適正量の有機質肥料・資材を施用することで、減化学肥料栽培が可能であることがわかりました。この結果を参考に、なしの減化学肥料栽培に挑戦してみてください。

初掲載:平成26年10月

農林総合研究センター
果樹研究室
上席研究員
押田正義
電話:043-291-9989

よくある質問

お問い合わせ

所属課室:農林水産部担い手支援課専門普及指導室

電話番号:043-223-2912

ファックス番号:043-201-2615

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