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更新日:平成30(2018)年3月23日

ナシ葉を加害するチャノキイロアザミウマの生態と防除対策

平成20年ごろより、千葉県のナシ園では新たな害虫チャノキイロアザミウマ(写真1)による新梢の葉の被害(写真2)がみられるようになりました。多発すると早期落葉を引き起こす原因となります。平成22年9月号ではその被害の発生状況について紹介しましたが、その後の調査や研究によって、この害虫の生態や防除対策が明らかになりました。

図1_チャノキイロアザミウマ成虫

写真1_チャノキイロアザミウマ成虫

図2_ナシの新梢葉の被害

写真2_ナシの新梢葉の被害

1.ナシ園での生活環~年間を通じて園内に生息

チャノキイロアザミウマは果樹類のほか、アジサイやイヌマキ、ツバキなど多くの植物に寄生するため、これらで増加した虫がナシ園に侵入することが疑われていました。しかし、アザミウマは園内の土壌中で越冬し、年間を通じてナシ園に生息していることがわかりました。
越冬した成虫は4月上旬ごろにナシの柔らかい新葉に移動して増殖を開始し、その後、新梢の新たに開いた柔らかい葉に寄生します。春季はまだ低い密度ですが、気温が高くなる6月下旬ごろから急激に増加して新梢葉に被害を引き起こすようになります(図1)。
新梢の伸長が止まって硬い葉が増えると、8月ごろをピークにして密度が減少しますが、まだ新葉の展開が続いている一部の新梢に集中して寄生します。幼虫は落葉期の11月ごろまでに、ナシ樹から地面に移動して越冬すると考えられます。

図1_ナシ新梢におけるチャノキイロアザミウマの発生消長(千葉市、平成24年)
図1_ナシ新梢におけるチャノキイロアザミウマの発生消長(千葉市、平成24年)

2.防除対策

1.有効な薬剤

殺虫剤の防除試験を行ったところ、ハチハチフロアブルやコテツフロアブル、新規薬剤のディアナWDGの効果が高いことがわかりました(図2)。
ナシ防除暦では、コテツ剤とハチハチ剤を、同じく新梢葉に寄生するニセナシサビダニも防除対象として、それぞれ5月と6月に採用しています。
ディアナ剤はチョウ目害虫にも高い効果が期待できるため、平成26年版の防除暦ではシンクイムシ類も防除対象として、7月にアザミウマが多発したときに使用する剤として新たに採用しました。

※農薬は初掲載(平成26年5月)時点の登録内容をもとに作成しております。農薬の使用にあたっては、ラベルおよび最新の登録内容を確認し、安全に使用してください。
図2_各薬剤のチャノキイロアザミウマに対する防除効果(千葉市、平成22年)
図2_各薬剤のチャノキイロアザミウマに対する防除効果(千葉市、平成22年)

2.多発園では増加前の体系的な防除が有効

通常であれば防除暦に従って防除することで、落葉するような被害は防ぐことができると考えられます。
しかし、アザミウマの密度が高く、早期落葉するほど増加した園では、急増する6月ころには卵、幼虫、さなぎ、成虫の各生育ステージが混在しています。
この時期に殺虫剤を散布しても、卵やさなぎが残るため効果が低下することから、密度の低い時期から防除を始めることが必要です。
6月上旬はナシ葉上で産まれて増殖した(第1世代)成虫が羽化する時期です。まずこの時期に防除を行い、さらにその10日後を目安に、次に発生する(第2世代)幼虫を対象に体系的な防除を行うと、その後のアザミウマの増加をよく抑えることができます(図3)。

図3_第1世代成虫と第2世代幼虫の発生時期に行う体系防除の効果
図3_第1世代成虫と第2世代幼虫の発生時期に行う体系防除の効果

3.おわりに

チャノキイロアザミウマは1mmに満たない小さな害虫のため、密度の低い時に発生を確認することは困難です。
また、気温の高低によっても第1世代成虫の発生時期が早まったり遅くなったりします。
そのため、毎日の気温をモニタリングしてナシ樹でアザミウマが発生する時期を予測し、防除に適した時期を示すことができるシステムを開発しているところです。

初掲載:平成26年5月

農林総合研究センター
病理昆虫研究室
主席研究員
大谷徹
電話:043-291-0151

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