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更新日:令和元(2019)年9月26日

稲刈りが終わったら「水田の土づくり」

稲刈りが終わって「ほっと一息」。お疲れ様です。

忙しい仕事が終わったばかりですが、今年の反省をもとに「水田の土づくり」に取り組みましょう。

1.水稲が生育中に吸収する窒素の6割は「土」から

約60%は土壌有機物に由来する、いわゆる「地力窒素」で、残り約40%が施肥窒素と考えられています。

このため水稲は無施肥でも地力窒素が効果を発揮するので、ある程度の量を収穫できますが、より多くの収量を確保するには施肥が必要です。すなわち「分げつ」を促進し「穂数」を確保するための「基肥」を施用します。また「幼穂形成期」には「もみ数」の減少を抑え、登熟を良好にするための「穂肥」を与えます。このように、施肥によって収量増を図ることは重要な技術です。

一方で、生産の土台である地力窒素の減耗を補い、その他の様々な土壌の性質を改善して「水田の生産能力」を大きくすることも、生産のための基礎体力を増進させる貴重な技術です。このように「農地の基礎体力を増進させる」ことが土づくりです。水田の土づくりは、稲刈り後の今が着手時期です。

2.土づくりを行うには

(1)これまでの稲作を反省する

いくら丹精しても、その年の天気や管理のタイミング等によって水稲の作柄は変動します。変動の中で「圃場の体力」の状況を見抜かなければ、適切な対策をとることができません。このためには、圃場や稲の様子を観察し、今年の稲作を反省することが必要です。

稲の生育状況(茎数、草丈、葉色、倒伏程度等)、圃場の土性(砂質、壌質、粘質等)、中干し時の溝切りや暗渠等の排水条件、雑草の発生状況、施肥の量やタイミング等、及び収量・品質を総合的に検討しましょう。

(2)土壌の改良目標を確認する

前述の観察・反省に基づいて対策をとることが基本ですが、土壌については「目で見ても、そのままでは分かりにくい」ものです。このため測定や分析を行い、目標とする数値等と比較することが必要です。

農協等を通して「土壌分析」をしてもらうときも、このような改良目標の数値と照らし合わせて処方箋等の改善対策が立案されます。

主要なものは次のとおりです。

ア.地力増進法に基づく「地力増進基本指針」

表1.水田の基本的な改善目標

区分

土壌の種類

土壌の性質

灰色低地土、グライ土、黄色土、褐色低地土、灰色台地土、グライ台地土、褐色森林土

多湿黒ボク土、泥炭土、黒泥土、黒ボクグライ土、黒ボク土

作土の厚さ

15cm以上

すき床層のち密度

山中式硬度で14mm以上24mm以下

主要根群域の最大ち密度

山中式硬度で24mm以下

湛水透水性

日減水深で20mm以上30mm以下程度

pH

6.0以上6.5以下(石灰質土壌では6.0以上8.0以下)

陽イオン交換容量(CEC)

乾土100g当たり12meq(ミリグラム当量)以上(ただし、中粗粒質の土壌では8meq以上)

乾土100g当たり15meq以上

塩基状態

塩基飽和度

カルシウム(石灰)、マグネシウム(苦土)及びカリウム(加里)イオンが陽イオン交換容量の70~90%を飽和すること。

同左イオンが陽イオン交換容量の60~90%を飽和すること。

塩基組成

カルシウム、マグネシウム及びカリウム含有量の当量比が(65~75):(20~25):(2~10)であること。

有効態りん酸含有量

乾土100g当たりP2O5として10mg以上

有効態けい酸含有量

乾土100g当たりSiO2として15mg以上

可給態窒素含有量

乾土100g当たりNとして8mg以上20mg以下

土壌有機物含有量

乾土100g当たり2g以上

-

遊離酸化鉄含有量

乾土100g当たり0.8g以上

  • 注1主要根群域は、地表下30cmまでの土層とする。
  • 注2日減水深は、水稲の生育段階等によって10mm以上20mm以下で管理することが必要な時期がある。
  • 注3陽イオン交換容量は、塩基置換容量と同義であり、本表の数値はpH7における測定値である。
  • 注4有効態りん酸は、トルオーグ法による分析値である。
  • 注5有効態けい酸は、pH4.0の酢酸-酢酸ナトリウム緩衝液により浸出されるけい酸量である。
  • 注6可給態窒素は、土壌を風乾後30℃の温度下、湛水密閉状態で4週間培養した場合の無機態窒素の生成量である。
  • 注7土壌有機物含有量は、土壌中の炭素含有量に係数1.724を乗じて算出した推定値である。

イ.千葉県の「土壌化学性物理性診断基準」

イネの好適pH領域:微酸性~弱酸性[pH(H20)5.5~6.5]

表2.水稲栽培土壌化学性診断基準

交換性陽イオン(mg/100g)

可給態P205
トルオーグ法mg/100g

可給態SiO2
(mg/100g)

CaO

MgO

K2O

225~365

(45~65)

40~80

(10~20)

10~50

(1~5)

5~20

10~25

数値はいずれも作付前(施肥前)の状態を示す。

土壌:陽イオン交換容量20me/100gの場合(カッコは飽和度)

表3.水稲の土壌物理性診断基準

減水深・透水性
上部50cmの最小透水係数

地下水位(cm)

地表排水

20~30mm/日

50以下

日雨量・日排水

(3)地力窒素の減耗を補う

ア.有機物の無機化について知っておく(酸素がある条件下)

土の中の有機物はそのままでは作物が吸収することはできませんが、微生物が分解することで、植物が吸収・利用できる無機態窒素になります。この微生物の分解活動により生成された無機態窒素のことを地力窒素と言います。

冒頭に述べたように、水稲の生育はこの地力窒素に大きくお世話になっていますが、分解・吸収されれば土壌中から減耗してしまいます。だから地力窒素の減耗を補うために有機物の投入は重要です。

なお、微生物は無機態窒素を取り込みながら活動するので、分解の最中は無機態窒素が「見かけ上減少して、場合によると植物の必要量に不足する」ことがあります。このような減少を「窒素飢餓」といいます。窒素飢餓による作物への悪影響を避けるために、微生物の「えさ」になる化学肥料を施用することがあります。

イ.堆肥等の有機質資材の特徴と施用の考え方

土づくり資材:「無機態窒素の取り込み量」>「無機態窒素の放出量」

肥料的な資材:「無機態窒素の取り込み量」<「無機態窒素の放出量」

「土づくり資材」と「肥料的な資材」の境は、おおむね炭素率(C/N比)30です。有機物は分解するにつれて炭素率(C/N比)の数値は小さくなります。

C/N比が30以下の堆肥等については、すき込んだ時から無機態窒素が放出されます。すなわち、数値が小さいほど肥効がすぐに現れる即効型です。

C/N比が30以上の有機質資材は、すき込むと土壌から無機態窒素を取り込むので貯蓄型です。数値が大きいほど分解に要する無機態窒素の取り込み量が多くなります。

表4.有機質資材を土壌に施用した場合の窒素分解特性(千葉県施肥基準)

区分

C/N比

土壌中での分解

有機質資材の例

窒素放出

10前後

施用年の窒素放出が多く、有機質肥料的

土壌有機物増加効果少ない

乾燥鶏ふん、野菜残さなど

10~20

施用年に窒素放出あり肥料の減肥が必要

乾燥牛ふん、豚ぷんなど

10~20

施用年にある程度窒素放出

土壌有機物増加

通常の中から完熟たい肥

20~30

肥効少ないが、土壌有機物増加

バークたい肥

窒素取り込み

50~120

施用年の窒素の取り込みが大きいが、数年後から窒素再放出

稲わら、麦わら、とうもろこし茎等

20~140

連用でたい肥類近くになる

未熟たい肥、水稲根など

200以上

窒素の取り込み大きい

おがくずなど

ウ.稲わらのすき込み

稲わらの炭素率(C/N比)は約60で、すき込み直後は無機態窒素が取り込まれます。

すき込み数か月後には炭素率(C/N比)30まで低下し、無機態窒素の放出が取り込みより上回ります。

以上のことから稲わらは分解しやすい有機質資材といえます。しかし、移植前までに分解しやすい有機物が多く残った場合、湛水した還元状態の土壌で活躍する微生物が、有機物をエサに活動し、メタンガスや硫化水素を生成します。結果として水稲の生育不良を引き起こします。

そのため、稲わらをほ場にすき込む場合は、収穫後から10月までに、出来るだけ早くすき込み、地温と酸素がある条件下での分解期間を長くとります。

エ.千葉県内に流通する家畜ふん堆肥の情報源

水稲作にとって最も手近な有機物は稲わらであり、稲の地下部です。耕作しながら有機物を補うことができますが、状況によっては他の有機物を利用することもあり得ます。

「千葉県ホームページ」の「千葉県堆肥利用ネットワーク」(https://www.pref.chiba.lg.jp/chikusan/taihiriyou/index.html)では県内の家畜ふん堆肥の特性や購入法等の情報を提供しているので、活用してください。

初掲載:平成25年9月

香取農業事務所改良普及課
北部グループ
普及指導員
清宮宏貞
(TEL.0478-52-9195)

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所属課室:農林水産部担い手支援課専門普及指導室

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