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更新日:令和3(2021)年9月9日

ページ番号:7252

樹木の大型挿し穂の利用による挿し木

1.大型挿し穂による樹木の繁殖について

樹木の種類によっては、通常10から15センチメートルの挿し穂を利用して挿し木が行われていますが、より大きな挿し穂(20から25センチメートル)で繁殖が可能な樹種もあります。一般的に繁殖が容易な樹種であれば、適用できそうです。

潤沢に挿し穂が確保できる母樹がある場合に適しており、採穂できる母樹が少ない場合には、繁殖本数が少なくなるなどあまり適していません。

大型の挿し穂での繁殖は、小型の挿し穂に比べると、挿し木時の穂の大きさが大きいことに加え、生育も若干旺盛で1年から1年半程度の育苗期間が短縮される傾向にあります。

今回は、イヌツゲとイヌマキ、キャラボクでの事例を紹介します。

2.挿し木時期

一般的には、芽が動いていない時期(3から4月)や新芽が固まった時期(6から7月、9から10月)が挿し木可能時期です(春挿しは前年枝、秋挿しは当年枝を用います)。

3.挿し穂の取り方と挿し木

(1)挿し穂の取り方と調整

春挿しの場合は充実した前年枝を、秋挿しの場合は充実した当年枝を用います。穂の長さは、木質化していないところから概ね20から25センチメートルの長さに取り、冷たい水で1時間ほど水揚げをします。

(2)挿し木床の作り方と挿し木

(1)用土

露地にブロックなどで枠をつくり用土を深さ15センチメートル程度の深さになるように入れます。用土は、赤土にピートモスを20から30パーセント程度混ぜると、鉢上げの際に断根も少なく良いでしょう。山砂でも同様の効果があります。また、挿し木床は、挿し木をする前に潅水し、湿らせておきます。

(2)挿し木床への挿し木

挿し木間隔は、イヌツゲやキャラボクでは5センチメートル程度、イヌマキでは7センチメートル程度と葉と葉が触れ合わない程度が理想です。

深さは5センチメートルほど挿します。挿す場所にあらかじめ棒などで穴をあけておくと、挿した際に挿し穂の切り口の傷みを最小限に抑えられます。

(3)挿し木後の被覆

挿し木後、丁寧にかん水し、挿し穂と土を密着させます。

ポリビニールなどのビニールで被覆を行い、その上からさらに30センチメートル以上離して、遮光率85パーセント程度の遮光ネットで遮光するための被覆を行います。

4.順化

十分な発根が確認できたら、湿度と光の順化を行います。

春に挿し木したものは、9から10月には発根しています。翌年の3月以降の鉢上げが良いでしょう。一方、秋に挿し木したものは、翌年の初夏(6月)に発根しますので、9月には鉢上げ可能ですが、春挿しと同様に翌年の3月以降の鉢上げが良いでしょう。

密閉挿しのトンネル内は弱光・高湿度条件下にあるため、トンネル内の発根苗をいきなり外気にさらすと葉焼けや萎れの原因になります。

そこで、発根を確認したらトンネルの天部を1メートルに1箇所10センチメートルの×印状の切れ込みを入れ、一週間後に50センチメートルに1箇所約20センチメートルの大きさに広げ、そのまま2週間ほどで湿度に対する馴化ができます。(※ビニールを再利用する場合は、徐々にビニールの裾を開けていくことで同じように馴化できます。)湿度の馴化はこれで終了です。

次に、光の馴化は85パーセントから60パーセント程度の遮光資材に取替え、3週間ほどで馴化できます。

5.鉢上げ

根の先端を傷めないように丁寧に掘り上げ、鉢上げをします。特に、イヌツゲなどのツゲ類は、根を乾かすと活着が極めて悪くなるので、挿し木床から鉢上げする間に根が乾かないように注意する必要があります。

鉢上げ後は、しばらくの間は、半日陰で管理をすると良いでしょう。

トンネル内部の挿し木の様子

トンネル内部の挿し木の様子

大型挿し木と小型挿し木の鉢上げ後の生育比較

左:大型挿し木、右:小型挿し木の鉢上げ後の生育

 初掲載:平成24年9月

海匝農業事務所改良普及課

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