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更新日:平成22(2010)年7月29日
平成14年、千葉県産「コシヒカリ」において、乳白粒等の白未熟粒が多発したことによる、玄米外観品質の低下が大きな問題となりました。白未熟粒発生の原因は出穂後の高温だけでなく、登熟期間中の窒素栄養不足もその一つであり、この対策として穂肥の施用法が重要であることが明らかになってきました。しかし、穂肥は施用時期を間違えると、倒伏や食味の低下が起こります。そこで、「ふさおとめ」と「コシヒカリ」について、白未熟粒を発生させず、食味も低下させない穂肥の施用時期について紹介します。
ヘイホーメートル当たり籾数が増加すると未熟粒割合が増加することはすでに明らかにされていますが、穂肥施用による籾数の増加程度やこれに伴う未熟粒割合の増加との関係は、「ふさおとめ」と「コシヒカリ」で異なります。
「ふさおとめ」は、穂肥の施用時期が穂数や一穂籾数の増加に及ぼす影響は小さく、適正な基肥窒素量を施用すればヘイホーメートル当たり籾数が過剰になることはありません。このように、「ふさおとめ」は、未熟粒発生へ及ぼす穂肥の影響が小さい品種です。
「コシヒカリ」は、図1に示したように、穂肥の施用時期が早くなると二次枝梗籾の割合が増加しました。二次枝梗籾は、穂軸から枝分かれした一次枝梗からさらに枝分かれした枝梗に着く籾です。二次枝梗籾は、一次枝梗籾に比べて同化産物(デンプン)を貯蓄する際は劣勢にあるため、未熟粒の割合も高くなります。したがって、穂肥の施用時期が早くなるほど、未熟粒になりやすい二次枝梗籾の割合が高くなって外観品質が低下することになります。

玄米中粗タンパク質含有率(以下、玄米タンパク)は8パーセントを超えると食味が低下するといわれています。図2に示したように、「ふさおとめ」、「コシヒカリ」ともに穂肥の施用時期が遅くなるほど玄米タンパクが高くなり、「ふさおとめ」では出穂前10日以降に、「コシヒカリ」では出穂期以降に穂肥を施用すると玄米タンパクが8パーセント以上となる危険性が高くなりました。

未熟粒割合と玄米タンパクを高めない穂肥の施用時期は、「コシヒカリ」では出穂前18~10日となります。一方、「ふさおとめ」では、穂肥を出穂前10日以降に施用した場合には玄米タンパクが上昇し、出穂前35日頃の施用では倒伏が助長されて外観品質が低下するので出穂前25~18日が好適な施用時期となります。
また、いずれの品種も、幼穂形成期の過繁茂によっても未熟粒が発生するので、基肥窒素の適正施用によって生育量を好適な範囲に調整したうえで、正しく穂肥を施用することが重要です。
フィールドノート2月 水稲
農業総合研究センター生産技術部
水田作研究室
研究員 吉野 裕一
TEL 043-292-0016
掲載日:平成20年2月1日
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