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更新日:平成22(2010)年7月29日

フィールドノート 丈夫な乳牛を育てるためのポイント

1. 長命連産となる秘訣

北海道ナショナルショーで3回のグランドチャンピオンとなり、ハーゲンの系統で11代にわたり改良を重ねてきた北海道豊富町の佐藤信夫氏のお話を聞く機会があったので紹介します。

秘訣はごく当たり前の日常における「健康に管理すること」に尽きますが、お話の一つ一つに重みを感じます。

佐藤氏は「健康で長命連産する」ことこそ、重要である。長命連産の意味を改めて確認すると、「経営安定には効率よく、長命で、事故なく働く牛をつくること」で、どんな経営をするかによっても「求める牛」が違ってくる。

佐藤氏の目標とする生涯能力は「6産7万キログラム」で、(1)遺伝力を高めること、(2)トラブルなく働くに重きを置き、管理技術と加味合うことが重要であるとしています。

2. 短命の意味するもの

最近は能力が向上し、初産から乳が出て、本当にうまく管理し切れているか

  • (1)乳房に内圧がかかりすぎて、3産まで持たないのが現状である
  • (2)初産の乳量目標は8,000キログラム水準で良いのではないか
  • (3)2回搾乳でも、内圧をかけず乳房が長持ちさせる
  • (4)各産次の乳量は12,000キログラムのベースにおく

しかし、現実には1万キログラムにも達せず乳牛をリタイヤする状況にあり(体細胞問題など)、「効率よく飼いやすい」の視点から考えると、現在2.5産にあるなら、その原因は何かをきちっと突き詰め、管理者がどこに問題があるか、チェックする必要があります。

3. 管理のポイント

第一に乳房炎対策を徹底すること

  • (1)ミルカー点検・操作、搾乳技術、搾乳環境を再確認し改善する
  • (2) 牛のコンディションをきちっとみる
  • (3) 肢蹄の強化、乳器の質、底面の高さなど、改良と一緒に取り組む

第二に育成方法・その管理技術を再確認する

  • (1) 育成時期に合わせ、「たくましさを植えつける」育て方をもう一度見直す
  • (2) 牛群検定情報では毎月どの牛が分娩を迎えるかシートが送られるので、意識して分娩に立ち会えるように観察する。
  • (3) 分娩がストール、フリーバーンとまちまちである場合が多い。よって家族や従業員が誰もが視られる体制をとる(お産のトラブルを最小限にするため)

第三に初乳の重要性を認識する

  • (1) 初乳は15分から30分以内に飲ませる。
    最近は8時間以内も推奨されているが、なぜ30分以内にこだわるか。
    病原体が体に入ったとき、それをやっつける働きをするのが「抗体(免疫グロブリン」)で、仔牛は抗体を母牛からもらわずに生まれてきます。
    生まれた子牛は、そのままでは病原菌に感染してしまう危険があります
    子牛の免疫グロブリンの吸収は、腸の構造の変化から出生後12時間を過ぎると吸収はほとんどなくなります。努力目標として、出生後出来るだけ早く、1~2時間以内に飲ませることが重要です。
  • (2) 知らないうちに分娩があるのを避け、なるべくお産に「あえて立ち会う」
  • (3) 初乳は僅か2キログラム以内/回で、濃厚です。千葉県内のW氏は比重に着目し飲ませています。比重計を購入し、薄い初乳(比重1.2以下)か、濃い初乳(1.22以上)かを調べジブロック袋に1リットルづつ発酵初乳で冷凍保存しています。

(*NOSAI・堀北獣医師、千葉センター大塚普及指導員らの紹介)

カウハッチ ハウス牛舎

写真 カウハッチを並べた(左) ハウス牛舎(S市O氏:屋根白々コート5(0.15FF防滴)

豊富な敷き料(搾乳牛舎) ゆとりのあるパドックと育成舎

写真 豊富な敷き料(搾乳牛舎)と、ゆとりのあるパドックと育成舎(I市、I氏)

ほ乳~育成期間と諸注意

育成目標

4. 分娩前の管理

分娩15日前に成牛搾乳舎へ移し、乾乳中は絶対オーバーコンデションにさせない。特に体脂肪が多い場合、一乳期の乳量の立ち上がりが仮に高いとしても、トラブルや短命の確率が高くなる。このため、給与では長めのグラスを乾乳中に与え、乾乳中には「搾乳中に濃厚飼料で反応する胃の状態」からスイッチさせ、草食動物としての胃に状態を戻す感じだ。いわゆるセンイを大事にすること=乾物よりセンイと濃厚飼料のバランスをとるということになる。

5. 分娩後のピーク乳量とトラブル解消の管理

1乳期の理想が12,000キログラムであれば、ピーク乳量は50キログラムでよい。

ピークが高い場合、仮に15,000キログラムと高くなっても、問題は繁殖がうまくいく頭数や確率は低くなることが多い。

  • (1)牛に気持ちよく働いてもらい(人も同じ)、ストレスを与えない、特別管理をしないなどにより、5産になっても飛節より乳器が高いこと
  • (2) 乳房トラブル回避の関係から、肢角度が立ちすぎるくらい改良が進んでいる
  • (3)牛乳処理室(真空ポンプ)に近い方へ分娩牛は全て並べ替え(圧の変動が少ない方に乳量の多い牛を入れる)、乳房トラブルを防ぐ
  • (4) 分娩牛が同時に南側に配置される(日光が射し、新鮮な空気が入る)
    産次の高い牛が入ることになる。初産は体力があり反対側に入る。
  • (5) パイプラインで搾るが、4乳区が均一性に優れる牛は少ないことから、「この牛は右から搾ればベストか、左からにすべきか、」をみて並べ方に注意する

6. まとめ

  • (1)健康であることがトラブル回避のもと
  • (2)反すう動物であることを忘れるな
  • (3)基本実行でベストにしていく
  • (4)いろいろ試した中で何が問題か、何がよかったのかの交通整理が必要

フィールドノート3月 畜産
農業改良課技術指導室
主席普及指導員 磯野弘司
TEL 043-223-2913
掲載日:平成20年3月3日

よくある質問

このページに関するお問い合わせ

所属課室:農林水産部担い手支援課専門普及指導室

電話:043-223-2911

ファクス:043-201-2615

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