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更新日:平成22(2010)年7月29日
千葉県の南房総地域は行楽地であり直売は活況を呈しています。
そこで、少加温で栽培でき、生産量が少なく高級、高品質果実生産が可能で長距離輸送に向かないといった視点で、多種の熱帯・亜熱帯果樹の中からアテモヤとパッションフルーツを選びました。
これらの果樹は、香りと酸味があるため加工にも向きます。試験を開始したばかりで未解明な部分も多いですが、ご紹介します。
シャカトウとチェリモヤを掛け合わせたバンレイシ科の種間雑種です。
果実重は0.4~1キログラム程度、果皮は緑色で果肉は白く、半割りにしてスプーンですくって食べます。とても甘く、香りがたいへん良いのが特徴です。特徴的な栄養成分として、ナイアシンが含まれています。

図1 収穫間近のアテモヤ
(平成19年11月)

図2 ハウス内のアテモヤ
(暖地園研・平成19年7月)
越冬には5度以上が必要ですので露地栽培はできません。なお、結実期の最低気温は12度です。栽培は比較的容易ですが、暑さに弱いため、夏には30度以上にならないように遮光します。棟高の低いハウスでは、夏季の高温を防げないと良品生産が困難です。
苗木は、チェリモヤの実生にアテモヤの穂を接木して作りますが、苗木を販売している農園もあります。代表的な品種は「ピンクスマンモス」、「ヒラリーホワイト」などです。
苗木植え付け後3年目以降に結実させます。結実させるには、人工受粉が必要で、6~7月の夕方から夜にかけて週に何回か行います。その後、1結果枝あたり1果程度に摘果します。収穫期は11~12月です。
適する土壌は幅広いですが、排水の悪いほ場は不適です。病害虫はカイガラムシ、ハダニに注意が必要です。国内では沖縄県、鹿児島県、三重県が主産地で、1キログラム当たり概ね3千円以上で取引されています。
千葉県では、果実の生育後期が高温とならず、じっくりと育てることができるため高品質な大果が生産できます。
また、この果実は追熟が必要ですが、追熟後の棚持ちが短いため、消費地に近い本県では、新鮮で完熟した果実を、食べ頃の状態で、消費者に直接提供することが可能です。
すばらしい香りとさわやかな酸味が特徴のこの果物は、ブラジル南部からパラグアイ、アルゼンチン北部が原産で、トケイソウ科のつる性多年生草本です。特徴的な栄養成分として、カロテノイド、ビタミンC、リノール酸(種子)が含まれています。

図3 パッションフルーツの果実と縦断面

図4 パッションフルーツろ地栽培 逆L字仕立て
(暖地園研)
収穫期は、ハウス栽培で5~7月と2~3月の年2回採り、露地栽培では8~11月の1回採りです。暑さに弱いため、露地栽培でも盛夏期は、開花が休みとなります。
毎年苗木を植え替えます。これは防除困難な病気があることと、若い樹は作業が楽でかつ果実品質が良く収量も多いためです。収穫は、植えつけてから1年以内に始まります。
苗木は挿し木で育成しますが、市販もされています。なお、ウイルス病の発生地域からの苗の入手は避けなければなりません。
土壌は選びませんが、肥沃な土を好みます。また、特に果実の生育期間は、水を切らさないことが必要です。
安定結実のためには人工受粉が必要です。また、生育が旺盛なのでこまめな枝管理を行います。
千葉県の肥沃な土壌や気象条件は、大果で高糖、低酸の高品質な果実生産に適しています。また、既存の主な産地と収穫期がずれることも本県の利点です。
これらの果樹は、まだ価格も高く、実際に生果を食べた経験のある方は少ないと思いますが、今後はそのおいしさや機能性から需要も増えると期待できます。そのため、県内全域で少しずつ栽培が広がっています。
フィールドノート1月果樹
農業総合研究センター暖地園芸研究所
上席研究員 椎木 千晴
TEL 0470-22-2961
掲載日:2008年1月1日
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