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更新日:平成22(2010)年7月29日

フィールドノート 銘柄豚肉「ダイヤモンドポーク」専用飼料ができるまで

-養豚における飼料自給率向上の一方策-

自給率を話題にすると畜産物は常に負のイメージがあります。特に養豚や養鶏では人間が主食とする穀類を消費するので昨今の食料不足の状況ではやり玉にあげられてしまう場面があります。とは言え、豚や鶏が成長するには、穀類、いも類、種実類といったデンプンを多く含み栄養価の高い飼料を給与する必要があります。

そこで今注目されているのがエコフィードです。弁当、給食、総菜などの食料の残りを家畜の飼料としようとする動きが全国で見られています。残った食料を使えば一時的に畜産物の自給率も向上するかもしれません。しかし将来的には残さを出さないようにしていくことは当然のことと考えられますのでエコフィードに回る量もだんだん減っていくと思われます。

それでは、畜産物の自給率向上のためには、特に養豚や養鶏ではどうしたらいいのでしょうか。

一つは、今年度から全国的に話題となっている飼料用米の活用が考えられます。この著しい飼料高騰を背景にまた、湿田の転作作物として期待されるなど、栽培面積も増加しています。給与に関しては基本的なデータの蓄積もあり、問題のない飼料であることはわかっていますので、生産量から言って日本の畜産物自給率向上の切り札とも言えるかも知れません。しかし、問題はなんと言っても価格が高いことです。

次に考えられるのは生産量の多い、いも類の活用です。特に千葉県は、カンショの生産量が鹿児島、茨城に次いで多い県です。カンショは、いままで生食用とデンプン用の生産が主でした。しかし、デンプンの流通が自由化となったためその需要が見込めなくなった現在、新たな利用として飼料用が考えられます。昔、カンショは残飯と炊いて豚に給与していた大事な飼料でもあり、養豚とは切っても切れない関係でした。その関係は、統計上いまでもカンショ生産県が養豚産業の主要県であることで示されています。課題は、規格外品の回収方法と飼料化の方法です。

また、サトイモとジャガイモもデンプン含量が高いので有効な飼料になると考えられます。生産量もサトイモは全国で1位、ジャガイモは7位と上位の生産量を誇っています。しかし、ともに水分含量が80%以上と高いこと、また高温期の収穫にあっては、カンショに比べ腐敗が早いのが難点となります。また、カンショ同様、規格外品の回収方法と飼料化の方法が課題です。他にも、千葉県として特徴をもった農産物の飼料化を考えれば知名度の高い落花生があります(表1)。

表1 県内における豚の飼料として利用可能な作物

県産カンショの飼料化への取り組み

畜産総合研究センターでは、平成18年度より先端技術を活用した農林水産研究高度化事業として養豚の自給率向上と高品質豚肉生産を目指して規格外カンショやカンショ残さを利用した飼料化への取り組みに関する研究を(独)畜産草地研究所、福岡県、熊本県等と行ってきました。当センターの研究内容は日本でも飼養頭数の少ない中ヨークシャー純粋種を使い、ロース芯が霜降りとなる技術を開発しようとするものです。

1 試験方法及び結果

方法:肥育後期に飼料中のリジン濃度を要求量の70%にした飼料を給与するとロース芯の筋肉内脂肪含量が高くなり霜降りの豚肉を作ることができる技術を応用し、中ヨークシャー種の肥育後期飼料にカンショを5%、10%、15%配合した3区を設定しその肉質について調査しました。

結果:カンショの配合割合を高くすると、筋肉の中の脂肪の量が高くなり、それとともに豚肉そのものはやわらかくなることがわかりました。背脂肪中の脂肪酸組成については、飼料中のカンショの給与割合が高くなるに従って、飽和脂肪酸割合が増え、脂肪融点が高くなるとともに、脂肪色もL*値(明度)が高くなり、a*値(赤色度)、b*値(黄色度)が減少し、白さが増す傾向が認められました。よって、カンショを10%以上配合することにより、特徴ある豚肉を生産できることがわかりました(写真1)。

写真1:カンショ10%区 筋肉内脂肪含量10.5%の肉

写真1:カンショ10%区
筋肉内脂肪含量10.5%の肉

2 カンショ飼料の生産

国内で県産カンショを使った豚専用飼料の生産を行い流通させることは全国で初めての試みでした。このカンショの飼料化を手がけていただけたのが、富津市でエコフィードを生産している不二窯業(株)フジエコフィードセンター(写真2)です。ここで、乾燥粉末のカンショ飼料ができあがりました。また、霜降り肉を生産するためには、飼料中のアミノ酸のリジンを調整する必要がありました。そこで、フジエコフィードセンターで生産しているパン屑主体のエコフィードにカンショを20%混ぜ、アミノ酸などのプレミックス類を調整した肥育後期用の飼料が完成しました。現在、これは千葉県がトップブランド豚肉としてPRしている「ダイヤモンドポーク(中ヨークシャー種)」の専用飼料となっています。

カンショ生産者からのカンショの購入についても昨年初めての試みで、まだ改善点もあるようですが、いままで流通に乗らない規格外の農産物を利用して飼料化したことは大変意義のあることと考えます。

表1に示した作物以外にも家畜にとって利用が可能なものもあると思います。また、乾燥やリキッドと言った飼料化の方法もその技術は日進月歩ですので、県内エコフィード製造業者等と協力し、畜産物の自給率向上を関係者全体で考えていければと思います。

写真2 フジエコフィードセンターに集められたカンショ

写真2:フジエコフィードセンターに
集められたカンショ

フィールドノート8月 畜産
畜産総合研究センター生産技術部
養豚養鶏研究室
主席研究員 高橋 圭二
TEL 043-445-4511
掲載日:平成20年8月1日

よくある質問

このページに関するお問い合わせ

所属課室:農林水産部担い手支援課専門普及指導室

電話:043-223-2911

ファクス:043-201-2615

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