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更新日:平成22(2010)年7月29日

フィールドノート ナシの高接ぎ

-カリクギを利用した迅速な腹接ぎ方法について-

1.目的

今回の高接ぎ(腹接ぎ)の目的は、結果枝を作るためのものです。古くなった主枝、亜主枝は思うように結果枝が出ません。接ぎ木をすることにより、理想的な場所へ結果枝を作ることができ、収量も上がります。数多く接ぎ木をすることになるので、接ぎ木テープの代わりにカリクギを用いて迅速に接ぎ木を行う方法をご紹介します。なお、この方法は、市原市梨研究会が埼玉県の篤農家から学び習得した技術です。

2.必要な道具

  • (1)接ぎ木用小刀 刃の厚さは薄く、刃渡りが長い方がよいです。良く研いでおきます。
  • (2)竹べら 先端を鋭く削っておきます。
  • (3)癒合剤
  • (4)釘 (商品名:カリクギ 型番K1 0.81×22ミリメートル)
  • (5)金槌 (カリクギが打てる小さな金槌)
  • (6)せん定用鋸
  • (7)せん定鋏
  • (8)粗皮削り器

3.穂木の準備(時期:2月中旬)

(1)時期

自発休眠が打破し、かつ樹液が上がる前が、穂木の最適採取時期です。

(2)利用部位

えき花芽が少なく、黒星病の秋防除を徹底した前年枝。基部の太さ1.5~2センチメートル。

(3)保存方法

切り口に水分の蒸散防止のためにボンドを塗っておきます。乾燥しないように枝全体を大きなポリ袋で密封し、冷蔵庫(5度前後)に入れて保存します。冷蔵庫がない場合は、北側日陰の縁の下でも良いです。

4.腹接ぎの実際

(1)時期

3月彼岸過ぎ~5月上旬が適期です。できれば3月彼岸過ぎ~3月いっぱいで終わらせます。それ以後は、活着しますがその年の伸長が短くなります。

(2)穂木の調整

まず右膝を立て、使用する葉芽が下になるように穂木を持ちます。裏の葉芽の基部直上あたりに小刀をあてます。切り口の角度は、30度程度の鋭角になるようにします。

穂木を切る時は、小刀の刃の根元から先を使うように、持っている枝を引きながら切ります。その際、小刀は膝に固定し、動かしません(写真1)。

さらに小刀で切った反対側を形成層が見えるくらいに軽く切り返えします。

最後に葉芽を1つ残し、3~4センチメートルの長さに穂木を切ります(写真2)。

穂木を切る姿勢

写真1 穂木を切る姿勢

調整した穂木

写真2 調整した穂木

(3)台木の調整と接ぎ木の方法

  • ア 台になる主枝・亜主枝に粗皮が発達している場合は、白い表面がやや見えるまで、粗皮を削ります(写真3)。
  • イ 形成層に到達する深さまで、鋸で筋を入れます。概ね刃の深さです(写真4)。
  • ウ 鋸で入れた筋に、形成層が見えるように小刀で谷状に切り込みを入れます(写真5)。
  • エ 穂木の幅、長さに合わせて、樹と水平に2本、小刀で形成層までしっかりと切り込みを入れます(写真6)。
  • オ 谷状に切り込みを入れた場所から、竹べらを形成層と木質部の間に入れ、注意深くゆっくりと形成層を剥ぎます(写真7)。

接ぐ位置の粗皮を軽く削る

写真3 接ぐ位置の粗皮を軽く削る

鋸で切れ込みを入れる

写真4 鋸で切れ込みを入れる

谷状の切り込み

写真5 谷状の切り込み

穂木の幅に切れ込みを入れる

写真6 穂木の幅に切れ込みを入れる

  • カ 穂木の葉芽が隠れないように、剥がした樹皮の先1~2センチメートルをせん定鋏で切ります(写真8)。
  • キ 穂木の切り返し先端が台木の形成層と密着するようしっかりと穂木を差し込みます(写真9)。
  • ク 穂木が飛び出さないように指でしっかりと押さえ、カリクギを打ちます(写真10)。

竹べらで剥ぐ

写真7 竹べらで剥ぐ

葉芽の出る場所を切る

写真8 葉芽の出る場所を切る

穂木をしっかり差し込む

写真9 穂木をしっかり差し込む

カリクギをしっかり打つ

写真10 カリクギをしっかり打つ

  • ケ 癒合剤で穂木の頭と周囲をしっかりと保護し、できあがりです(写真11)。
  • コ 上手く活着をすると、しっかりと新梢が伸び、予備枝として利用できます(写真12)。
  • サ 誘引する際、剥離が不安な場合は、活着した枝をヒモで固定してから誘引します(写真13)。

隙間なく癒合剤を塗る

写真11 隙間なく癒合剤を塗る

剥離が不安な時はヒモで固定

写真13 剥離が不安な時はヒモで固定

活着して新梢が伸びた穂

写真12 活着して新梢が伸びた穂

フィールドノート2月果樹
千葉農林振興センター振興普及部
改良普及課市原グループ
普及指導員 斉藤 俊一
TEL 043-300-0950
掲載日:平成20年2月1日

よくある質問

このページに関するお問い合わせ

所属課室:農林水産部担い手支援課専門普及指導室

電話:043-223-2911

ファクス:043-201-2615

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